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僕のくノ一戦姫  作者: ぽっくん
孤独のくノ一
14/26

道中3

連休中に投稿したかったのですが…

あの後も色々話しながら進んだ。護符を使った魂術である「護符術」についてとか、雪音さんには妹さんがいる事とか、僕と師匠との仲についてとか。

以外だったのは雪音さんが僕の友達の風見くんについて根掘り葉掘りとまではいかなくても、いろいろ質問された事だ。例えば「いつから友達になったのか」とか「学校ではどんな感じなのか」等々。僕を監視している間に風見くんにも何かあったのかな?……まさか、雪音さんは風見くんに興味が…ってそんな事あるわけ無いか。無いよね? 


こんな感じだったけど、雪音さんと話しながら歩くのは楽しかったし、雪音さんのことも知れて一石二鳥だった。

おかげで苦もなくあっさりと尾根(おね)に到達して、今は下り坂を歩いている。

気がつくと濃かった霧も晴れていて、上を見上げれば葉を掻い潜った日の光が見える。隙間から覗く日光が爛々と輝いて綺麗だ。


霧が晴れたお陰でちらっと火楽離山の頂上も見えたけど、頂上付近の垂直に切り立った断崖絶壁が遠目から見ても凄かった。あれが火楽離山の有名な「火曻(ひのぼ)りの崖」か。ここで多くの人魂の目撃情報があるらしい。(風見くん情報)

ていうか、あの崖は絶対に登れないでしょ。誰が登れるの?…


あっ…雪音さんなら登れそう。



「翔太くん、キツくないですか?」


変な思考に耽っていると雪音さんから声を掛けられる。時折、雪音さんが僕の事を気に掛けてくれるのだ。やっぱり雪音さんは優しい人。


「大丈夫で…」


「大丈夫です」と言おうとした時に異変は起きた。道の前方から黒い(もや)がこちらに向かって流れてきているのが見える。夢の中の黒い球から溢れ出ていた瘴気(しょうき)にそっくりだ。

悪寒が走る。足が固まる。

前方から嫌な感じがしてならない。


「どうかしました?」


雪音さんには黒い霧が見えていないのか、怪訝な表情を僕に向けた。


「その…この先から嫌な感じが…」

「嫌な感じですか? 私は何も感じま…」


雪音さんも前方から「震感」で何かを感じ取ったのか、言葉の途中で口を(つぐ)んだ。そして、目を見開いて前を見つめていた。


「霧が晴れたせいで物の怪が私達の居場所に勘付き始めてるのかもしれません」


緊張感のある声。さっきよりも雪音さんの声のトーンが低い。それに、優しい目つきから険しい目つきに変わった。


「翔太くん、少し近道しますよ」


そう言って体を右に向ける雪音さん。その視線の先には登ってきた斜面と同じ様な急斜面。針葉樹独特の細い幹が密集して、坂の終わりが見えない。


「これを下るんですか?…」


声が引き攣る。無理もない。これを登山素人の僕が下るのは無謀すぎる。


「そうです。少し急ぎますよ」


そう言って雪音さんは荷物からロープを取り出した…そのロープで何をするんだろう?


「おんぶして下るので、翔太くんはこの刀を背負って私に乗って下さい」

「えっ…あっはい」


雪音さんが肩に掛けていた刀を僕に手渡して、背中を向けて屈んだ。

雪音さんにおんぶしてもらう事に対して抵抗が無い訳では無いけど、今はそんな事を言ってる場合じゃ無い。今の間にも黒い靄がゆっくりとこっちに向かって流れてきているから。


「しっ失礼します…」


意外とずっしりしている刀を肩に掛けて、恐る恐る雪音さんの背中に乗った。ほんのり伝わる雪音さんの体温。華奢な体のはずなのに、僕の背中よりも広く感じる。


「立ちますよ」


雪音さんが僕の体をロープで固定し終わったのか徐に立ち上がった。ロープのお陰で昨日よりも安定している。


「翔太くん、しっかり捕まってて下さいね」


その言葉に僕は雪音さんの肩をしっかりと掴む。



そして、このニ秒後、漏らすかと思う経験をするのだった。



☆☆



「この川沿いに進めば尾篠美です」


やっと火楽離山麓の川沿いに出た。ここまで長かった。そして、あれはヤバかった。本当にヤバかった。最早絶叫マシーンと言っても遜色(そんしょく)ない。もし、この世に高速下山協会なるものがあれば、その協会の人達をも驚愕(きょうがく)させる速さだと思う…。とにかくヤバかった。

それに、叫びそうになるのを必死に我慢するのも大変だった。叫んだら物の怪にバレてしまうから。

冗談抜きで本当に漏らしそうだった…ギリ漏らしてないけど。物の怪から離れられたから良かったものの、雪音さんから降りた直後は少しの間活動不能に(おちい)った。この時、例のごとく雪音さんにめっちゃ謝られた訳だけど。


高速下山した後も二回ほど例の黒い霧に遭遇した。その時は流石に雪音さんも気を遣ってくれたのか幾分かゆっくりになった。本当にありがたい…

でも「絶叫! 雪音さんコースター」にはもう二度と乗りたくない。


そんな事よりも、あの黒い霧についてだ。雪音さん自身は本当にあの黒い霧が見えていないみたいだった。僕から雪音さんに詳しく話したけど、原因は分からないみたいだった。物の怪が関係してる事には変わりないと思うけど。

なんで急に変な物が見える様になったんだろう…

まぁ、いっか。あと少しで尾篠美だし。


緋色に染まる空を見つめながら二人して河原を歩く。時々、喋りながら。


「予定より少し早く着きそうですね」

「そうなんですか?」

「はい。完全に暗くなる前に私の家に着けると思います」

「それはやっぱり雪音さんのお陰ですね」


少し冗談混じりに返した。


「あれは本当にごめんない…」


雪音さんはまだ気にしているのか、肩を窄めてしまう。


「アハハ…冗談です。冗談です。もう気にしてないですから」

「もう。翔太くんは意地悪です」


プイッとそっぽを向く雪音さん。拗ねてしまった。


「ごめんなさい、ごめんなさい」

「そんな翔太くんにはこうです」

「えっ!? 冷たっ!」


僕の首に雪音さんの冷えた手。急な事で肩がビクってなった。その後、震えとなって冷たさが全身を駆け巡る。


「ふふっ。お返しです」


歯を出して、してやったりと雪音さんが笑った。


「酷いです、雪音さん」

「私に意地悪をする翔太くんが悪いんです」


またしても唇を尖らせてプイッとそっぽを向く。雰囲気からして本気で怒ってはいない。寧ろ、楽しんでる様に見える。

なんというか、今の雪音さんからは出会った時のような鹿爪らしさは無くて、ありのままの雪音さんって感じだ。


「さっ、私の家まで頑張りましょう」


僕の少し前を雪音さんが歩いていく。足を止めていた僕も歩みを再開して、雪音さんの背中を追った。

早く帰ってお風呂に入りたい。ふわふわのお布団で寝たい。


そんな呑気な事を考えているのも束の間だった。

僕は気付かなかった。四方八方を黒い霧が取り囲んでいる事に。



物の怪から簡単に逃れられるはずが無かったんだ。

次回予告


トゥルルルトゥルルル〜♪


やめて!


悪い奴の唆しによって凶暴化してしまった物の怪の攻撃を受けたら、強力な呪いを受けて弱りきった雪音さんの体なんて簡単に壊れちゃう。


お願い死なないで雪音さん。


あなたが今ここで倒れたら翔太くんはどうなっちゃうの?


魂力はまだ残ってる。


ここを耐えれば物の怪に勝てるんだから。


次回


雪音死す


○。○○ ○○○○○


ナレーション:エタりん


---


エタりん:なにを俺に読ませとんや、あぁん!?


ぽっくん:いや〜 ナイス次回予告


エタりん:ってお前、雪音の姐さんを○すんか?


ぽっくん:いや、この話の最後のイチャイチャで主人公が許せなくなったから、不幸にしてやろうかと…


エタりん:そんな感情任せでええんか?


ぽっくん:良いんだよ、俺の満足小説なんだから


雪音さん:良くありません! 勝手に私を○さないで下さい! それと、翔太くんはいい子です!


ぽっくん:はいはい、分かったから。雪音さんは元の世界に帰ろうか。


雪音さん無事に元の世界に帰還。


エタりん:…


ぽっくん:なんか言えよ。


エタりん:雪音の姐さん…俺が、俺がエタらせるから、死なないでくれ。


ぽっくん:なにカッコつけてんねん。


---


またしても酷い内容の茶番にお付き合い下さりありがとうございます。



誤字脱字、表現の誤り等が有れば報告の程よろしくお願いします。


この作品を評価、ブックマーク、この後書きの下にある「勝手になろう勝手にランキング」というところをクリックして頂けると作者の励みになります。エタりんの仕事を抑制できます。


宜しければお願いします。



それではまた次のお話でお会いしましょう。


ちなみに、次回予告は嘘予告です。

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