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第1章「始まりの一日」第1章1.「精霊ではない」

              


    ーーおいおい、嘘だろ。

  

 水面に写った姿は、ドス黒く歪な形をしていた。

 この姿は精霊というよりも……邪精霊……だよな。



「これじゃあ、言ってた話と違うじゃねぇかぁぁぁ!。」


 ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••


 

 荒井凛あらいりん、彼は日本昭和生まれの36歳。独り身である。


 彼の36年間の人生を語り尽くすには、それこそ36年の時間を必要とする。彼の36年間を割愛して説明すると、「ニート歴18年」だ。

 詳細に説明するなら、「大学受験に失敗し、ニートという名の殻に閉じこもり、18年が過ぎた。」というものだ。



 ニートになった理由に「大学受験に失敗した」は大きな影響を与えている。周囲には、受験に成功した者しかいなかった。  

 次第に、「自分だけが失敗した」という劣等感、憂鬱を感じ、両親には、「1人で生きる」とだけを言い残し、家を出た。バイトで貯めた金と生活用品を抱えて。



 その後は家を借り、テレビやエンターテイメントアプリなどでアニメを見続ける日々を送っていた。


 特にこれといったことは起こらず、18年が過ぎた。


 最近は公園で日に当たることにハマっている。今日も、日没と同時に帰ろうとした。


公園を出て、少し大きな道路に出た。信号が青になるのを待つ。しかしこの信号はなかなか青にならない信号らしい。次第に子供達の声が聞こえてきた。


「子供も帰る時間か………。安全に帰_______。」


 言い終わるよりも、体が先に動いた。

 子供の持っていたボールが、道路に飛び出た。と同時に、子供はボールを追いかけた。


 「ば、バカやろう!」


 車が近づいてきている。それを察した俺はとっさに子供を歩道へはじいた。しかし、車が近づいてできているので、俺はこの車にはねられ、どうせ死ぬだろう。たくさんのアニメを見てきたが、これはよくあるシチュエーションだ。


 そしてこういう時には、必ずあれが見えるはずだ。

 何かって?______走馬灯だ。

 目を閉じ、浮かぶのは18年前、最後に見た親の顔。

 独り言のように声が出た


 「1回でも良いから、会いたかったな______。」


 そうやって荒井凛の36年間の人生は幕を閉じた。

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