何でこのオネエはこんなにイケメンなんだ!
「眩し…」
太陽の光で目が覚める。
異世界に来て3日目。
2人1部屋で、サチコさんと同じ部屋で寝た。
念のため…念には念を押して身体のチェック…
OK 問題なし。
今日はクエストをいくつかクリアして武器を買う予定だ。
「タロー君。早速クエストに行くわよ。」
「そっすね。」
ギルドには貸し出し武器があるので剣を借りることにする。
俺は剣を、サチコさんはメリケンサックを借りる。
サチコさんは拳で戦うみたいだ。
俺は剣を借りたが、魔法も使うつもりなので、魔法剣士ってヤツだ。
「さて!魔物狩りに行くわよ!」
「そっすね。」
サチコさんと俺は昨日まで彷徨っていた森に行く。
今回の依頼は兎、狼の討伐だ。
ちなみに昨日俺が襲われた狼は魔獣というやつで魔族の眷属となった動物を指すらしい。
そして、サチコさんと俺は現在、狼と交戦している。
「タロー君!そっちへ行ったわ!」
「はい!」
俺は覚えたての身体強化の魔法で補助し、狼の首元に剣を叩き込む。
「よしっ!」
「凄いわ!タロー君。」
「いえ、!サチコさんのお陰ですよ。」
サチコさんはさっきから俺の成長を促す為にわざわざ狼に峰打ちしたりしていた。
そういうところがサチコさんのイケメンなところだ。
「さて、兎と狼の討伐は完了ね。すぐに帰りましょ。」
「そっすね。」
依頼内容は兎を6匹、狼を4匹討伐する事だ。
にしても、クエスト初日はサチコさんのおかげでイージーゲームだったなぁ…
アレだな。
国民的ボールからモンスターを出して戦うゲームでレベル100のモンスターを序盤から持ってるような気分だな。
するとサチコさんが急に右腕で俺を制す。
「ど、どうしたんですか?」
「タロー君…これは…」
前をよくみると黒いオーラを纏った熊がいた。
この黒いオーラは昨日見た狼のと同じだ。
つまりこいつも魔獣…
魔獣化した動物は何倍にも力が増し、知能もかなり上昇するらしい。
「不味いわね…この熊さん昨日の狼さんよりも強いわ…」
それはわかる。見た目で。
「後ろから奇襲を仕掛けたらどうですか?」
「タロー君。熊の鼻は凄くいいのよ。私が後ろに回ったところですぐバレちゃうわ。」
なるほど…
奇襲作戦は駄目か…
「とりあえず鑑定します。【鑑定】」
熊のステータスをみる。
力は強いみたいだが、速さは思ったよりないみたいだ。
だが、スキル【暴走】というのを持ってるみたいだ。
「タロー君。私に任せて。すぐに倒してあげるわ!」
「サチコさん!あの熊スキル持ちです!気をつけてください。」
サチコさんの拳はとてつもない風圧の元に起き、熊の腹部に突き刺さる。
す、スゲー。
「まだまだ行くわよ!」
サチコさんはとてつもない速さでクマを翻弄し、少しずつだが、ダメージを与えていく。
すると鑑定スキルに異変が起きる。
熊のスキル欄の【暴走】の文字が黄色く点滅する。
これは…
「サチコさん!よくわからないですけどこの熊の【暴走】スキルが発動するかもしれません!気をつけてください!」
熊の【暴走】スキルの文字が赤く変わる。
「!アシストありがとう!タロー君!」
熊も速さを得たようだが、サチコさんが躱すだけでズッこけたり、知能がかなり低下しているようだ。
「これでトドメよ!」
サチコさんの一撃が熊にヒット。
熊はふらふらとし倒れ、ピクリとも動かなくなる。
た、倒した…のか…
「お、お疲れ様です。サチコさん。」
「私だけの力じゃないわ。タロー君のナイスな警告があったお陰よ。」
いやぁよかった~。
熊の登場に一時はどうなるかと思ったが、なんとかなったようだ。
安心のあまり足の力が抜ける。
「でも、この熊どうやって持って帰るのかしら?」
俺はこんな困った時用のギルド、初心者用説明書を見る。
「え~と、持ち運べないような獲物を仕留めた場合、ギルドカードにある通信機能を使って依頼という形にすれば、持ち帰ってくれるみたいですね。」
「じゃあそれをお願いしようかしら。」
金はかかるみたいだが、魔獣の熊だ。
持ち運びの料金を差し引いても少しは金になるだろう。
「じゃあ、帰りましょうか。」
「そっすね。」
俺とサチコさんはギルドから持ち運びの依頼を受けている冒険者に熊を持ってもらい街に帰った。