ななちゃんと、クリスマスツリー
「ほんとに、きしゃん、かたじゅけまちゅか?」
クリスマスツリーを眺めながら、ななちゃんは名残惜しそうに聞きます。
そこへ大きな箱を持って現れたパパ。
「よいしょっと。じゃあ、パパはツリー本体を片付けるから、かなは電飾をお願いね。ななには、オーナメントを片付けてもらおうかな」
「おぉぉ? なんでちゅか?」
「オーナメントっていうのは、飾りのことだよ。ななに出来るかな?」
かなちゃんの補足により、自分が何をするのかわかったななちゃん。
飾り付けをしたときは、とっても楽しかったのに、お片付けはどうして楽しくないのだろうと、ななちゃんはオーナメントを手にしながら思うのでした。
「しゃんたしゃん、ばばぁい。トナカイしゃん、ばばぁい。まぁる、ばばぁい」
箱へとしまう前に、ひとつずつお別れの挨拶をしているのですが……。
「ぱぁぱっ! めっ! しょれなながしゅるのだから!」
“なながしゅるのだから──”
それは、ツリーのオーナメントの主役ともいえる、てっぺんの大きなお星様のこと。
「ちれぇでちゅ。おほししゃま、ちらちらかわいのこと、ありがとごじゃまちゅ」
ななちゃんはおもむろに立ち上がると、背伸びをしながらお星様を、高く掲げました。
「パパ、ママ、かなしゃんも、おほししゃまに、ありがとちてくだちゃい」
ななちゃんの言葉に、3人はお星様へ感謝の気持ちを伝えます。
パパは──
「お星様、ありがとうございました」
ママは──
「また来年まで、ゆっくり休んで下さい」
かなちゃんは──
「お疲れさま。ななを笑顔にしてくれてありがとう」
そして、しばし考え込むななちゃん。
「いっちばぁんのしとはぁぁ! かなしゃんでちゅ!」
「やった。一番は何かもらえるの?」
「これあげまちゅ」
ななちゃんが差し出したのは、手に持っていたお星様でした。
「ちゅぎのくりしゅましゅまで、もっててくだちゃい。おほししゃま、ばばぁい。おかたじゅけおちまい!」
お星様を手にしてかなちゃんは……。
(絶対無くせない。これは……絶対に無くせないわ)
ひとりで1年間、プレッシャーを背負うことになりましたとさ──