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始まりはいつもあの光で
一瞬の出来事であった。
それを核と認識できたのは、教科書や映画などで見たのことのある特徴的な雲の形が見えたからだ。
高く伸びる黒い塊は時折稲光を纏わせながら私を見下ろしている。
初めて見たそれは、私が想像していたよりも大きく、またグロテスクなもののように感じられた。
だがそれでいて、ひどく神秘的であるとも感じていたのに気づいた。私の身体は、その黒い化け物に釘付けになってしまったのだ。
その時だった。キノコ雲から、眩い光が発せられたのだ。
初め、私は目の前が真っ白になったのだと思った。圧倒的なスケールの暴力に、私の思考が焼き切れたのだと思ったのだ。
だがそれはすぐに違うと分かった。自分が光の中にいるのだと認識出来たからだ。
その事を確認する手立ては一切無かったのだが、私には不思議な確証があった。
私は光の中に閉じ込められたのだ。
そうハッキリと、私の意識が告げていた。
不思議と眩しいとは感じなかった。白く光る空間の中にいるような、初めて味わう光だった。
だが私のそんな思考を遮るかのように、私の視界は再び眩い光に包まれたのであった───