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空白のエクソドス  作者: 葛城透
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6


ー千尋の部屋 AM5時ー


千尋ちひろ?」


そめるの黒髪が揺れる。

千尋の部屋の前に立ち止まり、ノックする。


「寝てるのかな? ………あれ、鍵かかってない。は、はいるよー。」


ゆっくりとドアを開ける。

朝の穏やかな日の光が、千尋の黄金色の髪を照らしている。


「綺麗………。」


そっと髪に触れる。

なんでいつも、千尋ちひろは何も言ってくれないんだろう。

もっと千尋の力になりたいのに………。

拳に力がはいる。

力なく千尋を見つめる。そして………。

吸い込まれるように、千尋に口づけをしようとしたそのとき………。


「んっ? そめる? 何してるんだ?」


翡翠色の瞳に見つめられ心臓が伸び跳ねる。


「わっ!!!!」


顔を真っ赤にし、思い切り後ろに倒れ尻もちをつく。

千尋は、大きく伸びをしながら起き上がると眠そうな目でそめるを見る。


「もうこんな時間か。朝礼一緒にいこう」


「う、うん」


夜叉の巣は、夜叉の部族が住む、しゅんという地域の中央にある。

巣に住んでいる者は、パイロット、役人、魔術師など等級階級の者である。

家族は、春の砂漠地帯に住んでいて,本人のみ住んでいる者もいれば家族で巣に住むことが許されてる者たちもいる。


この星はほぼ砂漠なので、住める地域がかぎられており、

春夏秋冬という名の4つの国に分かれている。


春夏秋冬の順で国は並んでおり、


夜叉やしゃと敵対しているぬえが住んでいる地域はとうである。


ー巣 大広間ー


毎朝、おさによる朝礼が行われる。

日々の出来事の報告が長や、副長から行われる。


「昨日、残念ながら我が同胞から憎獣がでてしまった」


おさの天霧海が重々しく口を開けた。


憎獣ぞうじゅうが出始めたのは10年ほど前になる。憎獣は外見の恐ろしさから名づけたのだが、普段は森の奥に住んでおり、人に危害を加えることはなく,稀に農作物や家畜をあらす程度であった。その正体は研究したが謎のままな部分が多い……。憎獣はこちらから危害を加えなければ襲うこともない」


「憎獣は元々人間だったのでしょうか。人間に戻す方法はないんですか」


千尋は、自分の動揺を悟られぬように表情に細心の注意を払いながら質問した。


「憎獣については、生物学者が研究している。人間に戻せるなら1番いいのだが……憎獣は危険だ。あまり踏み込むな。不吉なことが起こる予感もある。皆,何か変わったことがあれば、すぐに私に報告してほしい。今日も皆に幸あれ。」


逞しい海の背中は部屋に向かい消えた。

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