表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空白のエクソドス  作者: 葛城透
11/18

11


ーーーかいが襲撃される前日ー巣の目の前に広がる野原ーAM10時ーーー


とてもよく晴れた日で空の青色が眩しい。

しのぶは毎日の日課である、花摘みをしていた。


「あっ。この花、そめるちゃんが好きな花だ」


砂漠化してしまった星のため草花の種類は少ないのだが自然が残る場所には花々を見ることが可能だ。


緑の草花にくれないがとても目立つ。


緋花ひか

ポツリと呟く。


小ぶりの緋色の花。燃えるような赤色。シロツメクサを赤くしたような花だ。


そめるの目の色と似ていて、そめる本人もこの花を気に入っている。

(押し花の栞を持ち歩いている)


「花たちは毎日綺麗にただ、咲いているなあ……」


巣に住んでいる、小さい子やお年寄りなどあまり遠くへ行けない人たちは花を持ち帰るととても喜んでくれる。僕にできる些細なことだ。


僕は起動きどうすることができない。


力もなく頭がいいわけでもない。何の取柄のない僕。ただ、そめるちゃんの傍にいたい。

そめるちゃんを守りたい。

こんな僕にできることは限られてるけど、最近元気のないそめるちゃんの笑顔が少しでも多く見れるきっかけになってくれればと思う。


緋花ひかをハサミで切り取る。


そめるちゃん喜んでくれるかな」


そめるの好きな花を持ち帰ることの嬉しさで口元が緩む。


ーーーーーー巣ー弓道場------


弓道着に身を包み髪を一つに束ねる。射る瞬間は全神経を的一点に集中させる。


緋色の瞳が真っ直ぐに見つめる。


ヒュンッ


染らしい迷いがない真っ直ぐな矢は的の中心を貫いた。

矢を射るときは心の迷いがあると真っ直ぐ飛ばない。


邪念を捨てて目の前の的に全神経を集中させる。


そめるちゃん!」


聞きなれた声が響く。


「忍! どうしたの?」


「弓の練習がそろそろ終わるころかなと思ってね」


「さすがしのぶ! 私のことお見通しだね」


太陽のような笑顔を向けられると心が晴れる。


「これさ、そめるちゃんが喜んでくれると思って……」


背中に隠していた摘んだばかりの緋花ひかそめるに差し出す。


「わ~ありがとう! 緋花ひかくれるのしのぶだけだよ~嬉しいな。ジャムとか作ってみようかな」


無邪気にはしゃぐ染。忍は口元が緩んだ笑顔を見せる。


染とこうして笑いあっていたい。いつもと同じ平和な日々がずっと続きますように。


染と他愛もない話をしながら忍はそう願っていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ