第9話 街中
第9話 街中
「化け物」が起き上がりそうだったので、二人(正太とじゅん)はその場から離れた。
数分後、二人は道路の脇の道を歩いていた。辺りを見ても、他の人たちは普通に生活をしているので何だかさっきまでのが、信じられないぐらいだった。
そして、二人は近くにあったコンビニへと入った。「化け物」から隠れるという意味でも、とりあえずそこが良かった。レジでは店員さんが「いらっしゃいませー。」と言っていた。並んでいる漫画などを適当に取って、二人は立ち読みをした。コンビニの窓から見える外はいつもと変わらず、道路では車が走っていて歩道では小さい子を連れた母親や他の学校の学生が歩いていた。しかし、その普通の光景がいきなりひどく残酷な光景へと変わっていった。道路では、あの「化け物」が車を投げ飛ばし、歩道では「化け物」がうじゃうじゃいて追いかけ回されている人達でいっぱいだった。
二人は、すぐさまコンビニから抜け出し「化け物」がうじゃうじゃいる所から離れた。二人は、目的も分からずとにかく走った。走っていくうちに段々とひとけのない場所まで来ていた。二人は、そこで少し休むことにした。正太は、一通り落ち着いて辺りを見ることにした。そこは見知らぬ所で、家がポツンと一軒建っているだけだった。しかも、もう誰もいなさそうな古い家だった。屋根は剥がれて落ちていたり、玄関のドアは歪んでいたりだった。するとじゅんが、「あそこの家にとりあえず隠れよう!」と言った。正太は、あんなボロイ所に入りたくはないと思ったが「分かった。」と言って、じゅんと二人でその家へと向かった。家の玄関扉はキィィと音がなった。中は、思ったより広くて、昔誰かが住んでいたのだろうという感じだった。じゅんが扉をしめて、「とりあえず、ここで隠れていよう。」と言った。「分かった」と正太は言うと、少しホッとした。ここなら、確かに誰もいないし「化け物」もここまで来ることはあり得ないだろうと思ったからだ。
しかし、ここは安全ではなかったと後悔した。突然上の天井から重たい何かが落ちてきたと思ったら、それは今一番会いたくない「化け物」だった。二人は慌てて扉へ向かったが、一人躓いて転んだ。それはじゅんだった。正太は、じゅんの方へ戻ろうとしたがもう遅かった。じゅんの片足は「化け物」に掴まれていた。「はやく、、逃げるんだ!」じゅんが言った。「だから、一緒に逃げようよ!」正太は、泣きそうだった。「おれは、もう駄目だ、、。」じゅんは、自分の片足を見た。「そんな、、。」正太は、じっとしていた。「おまえは、逃げ切れよ!どっかでちゃんと仲間作れよ!」じゅんがそう言うので、正太の目からは涙がこぼれ落ちた。すると、じゅんは「化け物」に引きずられ正太の前から消え去った。このとき、なぜか「化け物」は正太には目も向けなかった。