第一部あとがき
あとがき
最初に言っておきますが、私はどちらかといえばあとがきが嫌いな人間です。ではなぜ書くのかというと、一部に需要があるかもと思ったからです。興味ない方は飛ばすなりなんなりしてもらえれば。
真実、という言葉ほど矛盾した概念はないでしょう。別にあの国民的ミステリー漫画に対抗しているわけではありませんが、ある事象に対する答えは常に複数存在します。科学的証拠も関係ありません。人の数だけ観測される世界が存在する以上、そこを治めるルールもまた人によって様々であり、答えは人によって違う。それでいいのです。1+1が2になるのは面倒な数学の世界だけで充分。まあ、その数学も答えの唯一性を保つことにより、世界共通言語としての立場を確立しているわけですが、歴史的に見ればついこないだにその不完全性が証明されてしまいました。数字は万能ではなかったのです。ちなみに、1+1が2になることは証明されているので、疑わなくて大丈夫です。何を言っているのかわからない? そう言われても困ります。私だってわかりません。数学は突き詰めれば哲学です。ちなみに物理は数学になって、化学は物理になります。端的に言って意味が分かりません。
正しさの脆弱性は、そのまま善悪の不確かさへと繋がっていきます。ありとあらゆる物語で取り上げられている題材なので、わざわざ説明するまでもありませんが、人の性質を二元論で片づけるのは非常に難しいというのが一般的な結論です。この問題に対する解答も様々で、「人間はみんな善人だよー」と主張する性善説に、「悪しかねえじゃんバーカバーカ」とか言っている性悪説もいらっしゃれば、「考えるだけ無駄だ今を楽しめ」とかいう最高に頭のいい結論もあります。私はどちらかといえば一番最後です。人生楽しい方がいいですからね。残念ながら本作の主人公はそういう生き方をできないみたいですが。というわけで、『誰が一番正しかったのか』。ユートピア・アラートでした。
ここまで読んでくれた全ての方に感謝を。少なくとも四部までは今までの調子で行けると思います。御影奏多という面倒くさい自称思春期少年を、生暖かい目で見守っていただけると幸いです。
ではでは。今回は、このあたりで筆を置かせていただきます。
……配信スピードが速い? は、ハハハ! 高速執筆が得意なんデスヨー。(※事前に原稿用意していた)




