表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

オナジユメ

光に包まれている村。人々の悲鳴。兵士に押さえつけられている子供達。

そして、それを見つめる人影。

男なのか、女なのか。大人なのか、子供なのか。

わからない。見えない。ただ、表情はぼんやりだけど見える。

無表情・・・いや、少しだけ悲しそうな、表情だ。

「それ」はこちらに向かって歩いてくる。

少しずつ、ゆっくりと。何かを言いながら。


「ーーーーーーーー。」


聞こえない。悲鳴はよく聞こえている。

「それ」の声だけが聞こえない。


「ーーーーーーーーーーー。」


聞こえない。

近付こうとしたその時、突然後から肩を掴まれた。


「起きろ!」


突然の大声に驚き、歌乃は体を起こした。

長い髪が大きく揺れる。

いつの間にか寝ていたらしい。


「・・・すごくうなされていたぞ。」


歌乃を起こした男が心配そうに歌乃を見つめる。


「また、あの夢か?」


「・・・うん」


歌乃は少し間を空け、うなずいた。

また。そう、この夢を見るのは何回目だろう。

こんな夢を見ているのだから気持ちがいいわけがない。

それは誰もがそうだ。しかし、それ以上に。

ひどく申し訳ない気持ちになる。

人の悲鳴、憎しみの顔。恐怖の顔。そして聞こえない声。


「いい加減に村長に相談したらどうだ?もう何回も見ているなら何かの暗示かもしれないぞ?」


若干笑い混じりに助言する男。


「・・・うん。今日の夜話してみる。ありがとう、グレイン」


小柄で銀の短髪。青色の瞳。歌乃の幼馴染み的存在の少年のグレイン。

歌乃とグレインは昔から何をするにも一緒だった。


「髪も顔もひどいことになってんぞ。ヨダレも垂れてる。とりあえず顔洗ってこい」


「うわ!ちょっと見ないでよ!変態!」


「おまっ・・・時間になってもこないから心配して起こしに来てやったのに何だその態度!」


「え?・・・うわ!もうこんな時間じゃん!!やばいよ、開店に間に合わない!」


赤色の長い髪を振り回しながら歌乃は慌てる。髪と同じ赤色の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。

走って洗面所に消えていった。


「用意は全部終わってるぞ!!村長にももうお前を起こしたらすぐ出ると伝えてある!つまりあとはお前の用意だけだ!!」


グレインはそう叫ぶと溜め息をついた。


「こりゃギリギリになるなぁ・・・」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ