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センジョウノキーボード

作者: 雪つむじ
掲載日:2017/06/30

とんとん、こちらでよろしいですか?

暗闇に浮かび上がるその様は、まるで摩天楼のよう。

こぼれるように浮かび上がるその光は、天井を照らす。

どうして僕たちは、こんなことになったんだろう。

どうして、こんなに暗闇に怯えるようになってしまったのだろう。

いや、違う。

明るい所へ行けばいいのだ。

どんなに暗くても、いったん蛍光灯を付ければそれでおしまいだ。

そんな事は、問うまでもなくわかっている。

しかし、違う。

明るい所では、書けないこともある。

それはまるで検閲の様に、発想を奪い、ありきたりなものへと変えていく。

僕たちは声をあげたかった。

生まれ変わるような発想がほしかった。

そのためには、バックライトで光るキーボードが必要だったのだ。

暗闇の中でも、間違えることなくタイピングができるというこの発明は。

僕たちの心の声を、窓の外へと伝える術を与えた。

ドアの向こう側に漏れ出でる明かりに心を痩せさせることもなく。

まだ起きていたのと、激しくドアをノックされることもなくなった。

暗闇の中で、一心不乱にキーボードをタイプする。

カタカタと、秒針が動くよりも早く。

思いついては書き連ね、思いあぐねては消していき。

食料は、まだある。

時間の許す限り、打ち込める。

まだだ、まだ、眠らない。


どのくらい経っただろうか。

キーボードが、ぬるっとした。

はっと、今手を付けたものを確認する。

暗くて良く分からない。

慌ててティッシュを探す。

ガタン、と、ペットボトルが倒れ。

端から明かりがにじんでいく。

慌てて、電気をつける。

手を付けていたのは、あろうことかフライドチキン。

倒れたのは、スプライト。

集中するあまり、周りが見えなくなってしまっていたのか。

まさか。

まさか、こんな事態になるなんて。

てらてらとした油にまみれたキーボードが、泡を立てて沈んでいく。

そう言えば、二酸化炭素には消毒作用はあったのかな。

違う、それは過酸化水素水で、どちらにしても、キーボードには致命傷を負わせるのには十分。

タオルを、タオルを投げるんだ。

画面には、ああああああああああ……

まるで代弁するかのように。

暗闇の中で、そこまでしか頭が回らなかった。

僕は、寝ていたのかもしれない。


シリコンカバーをしておけば、よかった……

お付き合いいただき、ありがとうございました。

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