転生その4
気付けば僕は薄暗い空間に居た。周りの様子は暗くてよく分からない。キョロキョロしていると、目の前に扉が見えた。木製の何処にでもある扉だ。
扉に近付きノブに手を添える。
カランカラン。
カウベルの音が聞こえた。扉がゆっくりと開いた。
中には薄暗い空間と間接照明が。カウンターがあり、カウンターの前には数脚の椅子が並んでいる。
僕はbarに来たみたいだ。カウンター内にはバーテンダーがいる。
「いらっしゃい」
「あっ、どうも」
声を掛けられ戸惑っていると、カウンターの一番奥に人が一人座っているのを見つけた。
僕が見ていたのに気付いたその人は、僕に向かって手招きをする。
手招きに従ってそちらに移動する。
呼んでいた人は老人だった。
綺麗な白髪でオールバック。ピシッとしたスーツを着て、煙草を吸っていた。柔和な笑顔で僕を見ている。
「まあ座りなさい」
老人は自分の隣の席をポンポンと叩く。
「失礼します」
席に座った僕に
「何を飲むかね?」
「え、えっと・・・」
「マスター、この青年にウイスキーを。ロックで良いかね?」
「は、はい。ありがとうございます」
差し出されたウイスキーを一口
・・・少しキツいけど美味しい。高いんだろうな。どうしようお金持ってないよ。
「大丈夫。ここはお金要らないから」
! 考えている事が分かるのか?
にこやかにこちらを見ている。
「ああ、自己紹介がまだだったね。私はお前さん達の言う所の神様って物だよ」
? 今神様って!
「そう、神様。だから今君が考えている事が分かったんだよ。信じられないなら、神様らしい事をしてみようか?」
老人は僕の前に自分の手を差し出す。
そしてゆっくりと掌を見せると
ボッ
掌に小さな火が灯る。
手を閉じてまた開くと
パシッ!
今度は小さな雷が掌を舞っている。
手を閉じ
「まあ手品みたいな物だが、これで信じて貰えるかな?」
コクコクッ
僕は頭が取れるほど頷く。
「さて、ここからが本題だ。私が君をここに呼んだんだ。少しばかり謝りたくてね」
? 謝る?
「あの・・・それはどういう事ですか?」
「ああ、それを今から説明しよう。実はな・・・」