転生その2
気付いたら僕は受け付けみたいな所の前に立っていた。
中にはYシャツとスラックスを着た事務員さんらしき人が椅子に座ってパソコンを打っている。
あっ。ブラウスにスカート姿の女性の姿も見える。
皆忙しそうに書類やら本等を抱えてあっちこっちと動いている。
まるっきり市役所だ。
一つだけ違うのは
事務員さん達の背中には真っ白な翼があり、頭には金色の輪っかがある事。
受け付けには長蛇の列が出来ていて、忙しそうに事務員さんが応対している。僕は列の真ん中位にいるみたい。
もしかしてここは・・・
そう思っていたら
「兄ちゃん!後ろつかえてるんだからさっさと動きなよ!」
後ろからおじさんに怒られました。
おじさんは白い浴衣みたいな服を着て、
頭には三角の頭巾をしている。
これはどう見てもあれだよね。
死んだ後に着る死装束だよね。
「あっ、すみません。お先にどうぞ」
「おっ、すまねぇな兄ちゃん。こちとら待たされるのが一番嫌いだからよ」
おじさんを先に行かせ、僕は列の最後尾に並ぶ。
間違いない。ここは死後の世界で、あれは受け付けだ。
あれぇ?僕は何時死んだんだ? 痛みも無いみたいだし、傷も見当たらない。それに僕が着ている服は黒いビジネススーツと革靴だ。皆とは違う。
そんな事を考えてると、僕の順番が来た。
「あのぅ」
「はい。貴方は・・・誰ですか?」
「え?」
「私達天使はその人の顔を見るだけで誰で、どの様に死んで、何処に次は行くのかが分かるのですが、貴方は分かりません。 貴方は誰ですか?」
やっぱり天使だったんだ。 でも、分からないってどういう事?
「申し遅れました。私は赤坂優と申します」
ポケットから名刺入れを出して名刺を差し出す。
名刺を受け取った天使さんは
「これはご丁寧にどうも・・・ってえ~~っ!」
え?なになに?どうしたの?
「いやいやおかしいでしょ! 普通ここに来る人は何も持っていないはず! だって火葬してから来るんだから!」
そうなの?
「じゃあ事故で命を落とした人はどうなるのでしょうか?」
「その場合はここには来ません。直接あの世に行きます。 全裸で」
「じゃあ僕は?」
「だから驚いてるんですよ! 嗚呼どうしたら良いのやら?」
だいぶ困っている様子。どうしよう?
たっぷり悩んでいる天使さん。あれから10分程たって、後ろがつかえて皆イライラしている。
あっ、後ろで怒鳴り声がする。 何かごめんなさい。
「・・・とりあえずこちらの別室に。 上司に相談してきますので。」
天使さんの案内で別室に通される。
疲れた顔して部屋を出ていく天使さん。
・・・・・何かすみません。