仔犬
誕生日の次の日。 窓から差し込む朝日で目が覚めた。 昨日は本当に幸せな日だった。
ふとベッド近くの床を見ると、小さな塊が見えた。
真っ白な柔らかそうな毛並み。愛くるしい顔立ち。もふもふの尻尾。
昨日プレゼントに貰った仔犬だ。
仔犬は何だか嬉しそうに尻尾を振りながら僕を見ている。
僕はベッドから降りて仔犬の前にしゃがみ
笑顔。
仔犬は千切れんばかりに尻尾を振って
「キャン!」
どうやら挨拶をしてくれたみたい。
少しの間仔犬とスキンシップを計り、ふと疑問に思った。
君はオス? それともメス?
考えていたら仔犬はもじもじ(そんな風に見えたんだよ)しながら後ろを向いて、尻尾を上げた。
・・・付いてないね。 ということは、君はメスだね。
仔犬は “もう終わり!”みたいな仕草で上げていた尻尾を下ろす。
名前を付けないとね。女の子だから可愛い名前が良いよね。
僕は結構な時間を掛けて名前を考えた。 何個か候補が上がるが、どうやら気に入らないみたいで仔犬は首を横に振る。
もしかして言葉理解出来てる?
僕の考えている事分かるんだ?
肯定する様に首を縦に振る。
そうかぁ、分かるんだぁ。 何気に凄くない? この世界の犬は分かるんだなぁ。
名前について悩んだ挙げ句、僕は1つの結論に至る。
そうだ、丸投げしよう。
僕はよたよたしながら何とか紙とペンを引き出しから取り出して、紙に字とは言えない文字を書いていく。(この世界のあ~ん迄を僕なりの今書ける字で)
よし書き終わったぞ。
その紙を仔犬の前に置くと
たし、たし、たし
器用に前足を使って文字を指差し(?)ていく。
ス・ノ・ウ
なるほど。君はスノウが良いのかい?
肯定の頷き。
よし、君は今日からスノウだ。
スノウは千切れんばかりに尻尾を振って喜んでいた。
これから楽しくなりそうだ。
後で考えると、この出来事は普通じゃ無いことが分かり、少しだけゾッとした。




