番外編ー転生者とバタフライエフェクト①ー
ネタが出来たから投稿しました。
生徒会が持つ特権の一つに『専用サロン』という物がある。
本来なら、これは生徒たちの手本となるべき生徒会役員たちが気軽に他の生徒たちと私的な交流を持つため用意された部屋である。
しかし、そんなものは建前であり実際に使われるのは攻略対象がヒロインと秘密に交流を持つために使われるのが乙女ゲームの常である。
ただし、サロンは攻略対象ばかりの特権では無い場合も存在する。
例えば、悪役令嬢が生徒会に与しており、サロンを与えられている場合もあるのだ。
そして、現在は放課後。サロンの中にはヒロインではない女の子が優雅にお茶を愉しんでいた。
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放課後、いつも通りサロンに着いた私はカップに紅茶を注ぎ一息ついた。
本来なら自分で紅茶を淹れたりすれば、マナーだなんだと咎められ兼ねないけど、ここは私専用のサロン。
私から招き入れなければ人が入って来ることなどないので気にしない。
人に淹れて貰う紅茶も悪くは無いのだけど、何分凝り性なものだから、紅茶の淹れ方一つにもこだわりがあるの。
流石に『気軽に交流』を目的とするサロンでたかだか紅茶一つの為にぎこちない空気を作る気もないからあまり人を呼ばないようにしていたら、『私からサロンに招かれる事が学園内で最上のステータス』になってしまったけど、おかげで一人思考に耽る空間が出来たから気にしないでおくわ。
そんなどうでもいい事を考えつつ、今日あった出来事について思考を纏める。
そう。今日、妹の親友である彼女に覚えた違和感について…
「遂に記憶が戻ってしまったようね。あの子とも仲がいいようだから出来れば事を構えたくは無いのだけど…
もし、あの方を『攻略』すると言うのならば容赦しないわ。
だって、あの方の隣にふさわしいのは私だもの。
それでもあの方を奪うと言うのならば…
悪役らしく真っ向から潰してあげるから覚悟なさいね、ヒロインさん?」
凛とした声が誰もいないサロンに響く。だが、彼女の声は確実にヒロインに向けられていた。
ーそんな微妙に思惑のすれ違う二人の会合まで、後少し。
読んで頂きありがとうございました。続きは近日中に投稿予定(白目)ですw