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ヒロイン転生の経緯と結果

 アレ?ここはどこ?


 私は部屋でゲームをやってたはずなのに、何でこんな何もない真っ白なところにいるの?!


 って、私がパニックになってると後ろから声を掛けられたの。


 恐る恐る後ろを見るとそこにはなんかよくわからないけど、いかにも神々しいです。みたいなオーラを纏ったお爺ちゃんがいたの。


 そこで私は気付いたわ。これはもしや、神様転生なんじゃないかと。


 そして、お爺ちゃん(やっぱり神様だった)の話を纏めると、


 神様として仕事中、ミスをしてうっかり私を殺してしまった。


 さすがに申し訳ないから転生させてあげる。

 

 幾つか特典も付けてあげる。


 って感じだったの。


 これは、キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!

 

 それなら、今ハマってた乙女ゲーに転生ね。


 もちろん主人公としてよ!じゃなきゃ逆ハー出来ないもの。

 それに、主人公は平凡な女の子とか言いながらかなり可愛いし。この容姿は捨てがたいわね。


 次に、主人公の家は平凡な家庭だったけど、ある程度歴史と財力のある家の出身にしてほしいわね。

 せっかく逆ハー築いても彼らの家に反対されて駆け落ちとか、小説とかゲームの中ならまだしも、さすがに現実じゃねぇ…

 っていう訳で向こうの親も認めてくれるだけの力がある家庭が欲しいわね。


 後、記憶はゲームが始まる高校入学式に蘇るようにして頂戴!

 赤ちゃんの時から記憶があって羞恥プレイとかマジ無いから。


 それと、努力すれば努力するほど報われるようにして頂戴!

 ボタンひとつで学力が上がるとか現実味が無さすぎるのよねぇ…っていうかそんなの甘えだし。

 だから、取り敢えず努力はするからそれに見合った結果を頂戴!


 そうねぇ…こんなもんかしらね。

 あっ、最後に両親に先立ってしまって御免なさい。我が儘娘だったけど大好きだったよって伝えてくれる?

 幸せを願ってもいいんだけど、娘が死んだからお詫びに幸せにします。とか変じゃない?だいたい、幸せなんて人それぞれだし。

 よし、今度こそ何もないわね。

 それじゃ、転生よろしく!さぁ、待ってなさい!リアル攻略対象達!私の魅力で一人残さず落としてあげるわ!!



「…………と、思っていた時期が私にも有りました」


「…………突然どうした?」


 桜の花びらが舞う校門の前で思わず呟くと、隣の幼なじみが心配そうに尋ねてきます。

 口調が口調なだけに冷徹とか『氷帝』とか言われているらしいですが、彼の本性を知る私からすれば、『ヘタレでオタクの中二病』が妥当な評価ですね。

 ファンクラブがあるらしいですが、彼の口調が実は好きなマンガキャラクターの真似と知ったら彼女達はどう反応するのですかね?」


「…………お前、さっきから考えてることが口から漏れてるぞ?それと、ファンクラブを解散させようと奴らにカミングアウトしたことはあるが、奴らは『その程度は常識』って真顔で言ってきた。『その痛々しさもまた魅力』ともな。

 ……全く、プライバシーとはなんだったんだろうな…」


 …………成る程、彼女達は想像以上の強者だったと。まあ、確かに学園アイドル(イケメン)にプライバシーなんて、あって無いようなモノですよね。納得です。


「しかも、それをクラスの男子にも聞かれてな…

 今では学校全体に広まって先輩後輩関係無く皆が『氷帝(笑)』と呼んでくる…

 私は転校した方が良いのかもしれないな…」

 

 攻略対象が転校したがる場面から始まる乙女ゲーですか。なかなか新しいですね。

 ですが、


「転校する前に口調は直した方がいいですよ?氷帝(笑)様 ?」


「…………よし、そこに座れ。そして全力で殴らせろ」


「……ワァ、バイオレンスデスネ。ダレカー、タスケテクダサーイ。氷帝(笑)サマニオソワレルー」


 桜が咲き乱れ、美しく飾られた校門で、近くを通りかかった人でさえ、思わず頭を押さえる程、鈍い音が鳴り響いた。これが私の、入学式の思い出です。



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