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第三幕‐5

 公園とかでよく見る光景だなぁ、と千敦が呑気に思っていると横から深い溜め息が聞こえてくる。見るとこの間の再現のように、悲しそうな顔をして2人を見つめている莉穂の姿があった。


 うこのことを高城と呼んだり、その一言や行動に一喜一憂するところからも、莉穂が特別に思っていることは何となく分かっていた。まぁどういう意味で特別なのかは突っ込んで聞いてはいけない気がする。何となく耽美の予感がするから。


 莉穂は千敦の視線に気づくと、慌てて咳払いをしてからどうかしたか? と極めて冷静な声で尋ねてくる。


 「いや、あの……佐渡ヶ谷先輩にとってうこは特別なんだなぁと思いまして」


 千敦が至って普通にそう答えると、莉穂の顔は一気に赤くなり顔を真横に向ける。


 「と、と、特別だなんて、そんな……」

 

 その声は上擦り、目線も辺りを彷徨っていてかなり動揺しているのが分かる。

 莉穂はいつも冷静で落ち着いた大人な女性という感じなのに、今は赤い顔してあたふたしている。そういうところは年相応で、ちょっと上から目線だけど可愛いなと思ってしまった。

 

 「違ってましたか?」

 

 間。

 

 「……いや、関岡の言う通りだ。私は高城を特別視している」

 

 少し低い声で淡々と話す様はいつもの莉穂だった。

 けれど顔は依然として赤く、少しだけ目線は横に逸らされている。その様子に千敦が少しだけ笑ったら即座に笑うな! と怒られてしまった。

 

 「私は1人っ子だし、こういう性格だから下級生に懐かれる体質でもない。でもそんな中で高城は普通に私に懐いてくれた」

 「まぁあいつは誰にでも話しかけるし、色んな意味で距離が近いですからね」

 「あぁ。だから高城は……私にとって妹みたいな存在なんだ。だから、その……あんまり他の奴と仲が良いと、何だか妹を取られたみたいでな」


 そう言って莉穂は照れくさそうに笑う。

 でもその何気ない微笑みは絵画のように美しく、千敦は思わず呆然と見惚れてしまったが、すぐに口元を押さえられてしまったためあまり見れなかった。


 「せっきー! サド先輩ー!」


 声のする方を見ると、廊下の端でうこが左右に大きく手を振っている。

 

 「行くか、関岡」 

 

 莉穂の声は優しく、その目もとても優しい。

 

 「うぃす!」

 

 関岡は大きく頷くと、莉穂と共に廊下の端に向かって走り出した。 

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