表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

まるくてさんかくでしかく

作者: やまもも
掲載日:2026/01/18

先生はああした方が良いと言う。

お母さんはこうして欲しいときっと思っている。

お父さんはそうじゃないと思っているにちがいない。

友達はこうあるべきだと思っている。

ぼくは、ぼくは・・・

僕らは「かたち」という存在。


僕はまだ、名前のないグネグネしたかたちをしている。

形に名前はないけど、僕を呼ぶときはステラってみんな呼ぶよ。


早く立派な大人になって、パパみたいな綺麗な三角に、ママみたいな綺麗なひし形になる!

だから今日も学校に行って、たくさんのことを学ぶんだ!


1限目・・・

「ここの物語のこの子は涙を流してますね、この気持ちは”悲しかった”のが正解ですよ」

僕はまた間違えちゃった…。

この子はうれしくて悲しくて、どうしようもなかったから涙が零れたんだと思ったけど、

選択肢にすらなかったなあ。誰かの気持ちを想像するのって難しい。


2限目・・・

「6個のリンゴのうち4個をまるまるさんがとったなら、さんかくさんがもらえるのは残りの2個ですね」え、まるまるさん、先に4個とっちゃうなんてずるいよ。さんかくさんと喧嘩になっちゃうんじゃないのかなあ。

「ステラ、確かにそうかもしれないけど、この科目で学ぶことはそれではないの」

できてないのは僕だけだ、もっと頑張らなきゃ!


3限目・・・

ボールが飛んできて、咄嗟に目をつぶってしまった。

「ねえステラ、ちゃんとやってよ!」

ごめん、僕なりにちゃんとやってるんだ…!次こそは、次こそは頑張るから!


4限目・・・

「ステラは絵が上手ね、他の科目もきっとできるようになるはずだから、お家で絵を描くのもいいけどしっかりお勉強もしましょうね。」


――――――――――――――――――

僕は必死に頑張った。

みんなはどう考えるか、普通ならどうするか、何を頑張るべきか、


考えて考えて考えて―――


ここは引っ込めて、ここは先生や友達に削ってもらい、ママとパパににここを引っ張ってもらった。

ついに僕は立派な正五角形になった。

これで、立派な大人になったんだ。


「さて、みんなももう立派な『かたち』になったね。

では、卒業を記念して、将来何をやりたいかみんなの前で発表しましょう!」


みんなが次々に夢を語っていく。

次は僕の番だ、よしっ!僕も立派な「かたち」だから、自信をもって発表するぞ!


「はい!僕の将来やりたいことは、・・・僕は、ぼくは、、、」


―僕は何をしたかったんだっけ。

なんのために、頑張っていたんだっけ。

いい「かたち」になって、どうするんだっけ。


なぜだか目が熱くなって、涙がこぼれそうだった。

ハナが、すっと手を挙げた。

ハナの「かたち」の名前は分からないけど、とても綺麗だった。


「ステラは、お絵描き、好きだったよね!」


にかっと笑った。

目の前の光景がぱっと明るくなった。


ハナのそのまぶしい笑顔も描きたいと思った。

今の輝いて見える景色も描きたいと思った。

先生の真剣な横顔も、優しいみんなの目も、

ずっとずっと、描きたかった。


僕は嬉しくて、くやしくて、涙がでてきた。

見られたくないから、誰も見えないところまで走った。

転んでは立ち上がり、ぶつかっては走り、

とうとう国の端っこの、海まできていた。



太陽が海に反射して、ゆらゆらと輝いていた。

僕は枝を拾い、夢中で砂浜に絵を描いた。

水面に反射する僕の絵だ。


もう正五角形なんかじゃなかった。ぶつかって転んで、五角形はとんがり、角の間は凹んでいた。


でも海に映る僕は、とてもきらきらと輝いていたから。

読んでくださってありがとうございます、感想・コメントもよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ