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転生手順#8 「女性の胸部に素直になりたかった」


「転生手順#8を提示します」


──音のない宣告だった。


スマホ画面の中央に浮かび上がる、白地に黒字の通知。


その文字列は、これまでのふざけたおっぱ……ゲフン! 女性の胸部への旅路と違い、どこか静謐で……切なさを感じる。



「過去に “女性の胸部へ嘘をついた瞬間” を三つ思い出し、懺悔文を書きなさい」


ナビゲーターGPTの声も、今夜は優しい。


まるで俺の肩に、誰かがそっと双丘を乗せてくれているようだった。


──正直、顔を左右にブルブルしたい。



しかし……“胸部に嘘をついた”──それは俺の魂の恥部!


そんな過去が……あったかもしれない。


本当は好きだったのに、見て見ぬふりをした記憶。


触れたいくせに、触れられたはずなのに……目を逸らした過去。


心の奥で “ありがとう” を言えなかった瞬間。




懺悔記録①:「白衣の天使の背中に」


大学時代、インフルで倒れた俺を救ってくれた看護師さん。


白衣の胸元がちょっと緩んでいて、視線がつい、吸い込まれた。


なのに──俺は「熱で目が霞んで……」と言って、手を伸ばしたら、白衣の天使に手を握られて、肝心の胸部にある、ぶるるんとしそうな双丘から目を逸らした。


本当は凝視したかった! いや、していた!!


確実に、人生で五本の指に入る完璧な “医療系の谷間” だった。


──なのに俺は、真実から目を背けた。



「俺はあの谷間に命を救われた。ありがとう、白衣天使!

あなたの手の温もりはすぐに忘れたが、あの素晴らしい胸部は今も忘れてない!!」




懺悔記録②:「彼女の “気にするな” に甘えた」


数年前、付き合っていた彼女が俺にこう言った。


「私、胸小さいけど、気にしないでね?」


俺は笑って、「何言ってるんだよ、そんな君の胸が大好きだよ!」 って言った。


──めちゃくちゃ怒られた。


だが……好きだった。君の胸が大好きだったんだ……!


その慎ましさ。寄せても盛れないリアル。


ブラの中でぎゅっと整えられていた努力。



気にしない、じゃない。好きなんだ。大好きなんだ!


胸の大きさじゃなく、 “その胸で頑張る君” が、すごく愛しかった。



「本当のこと、言えばよかったな。

ちっぱいの君は、俺にとってのベストちっぱいだよ! ってさ……。」




懺悔記録③:「バスで隣に座った見知らぬ人」


ある雨の日、帰りのバス。


隣に座った女性が、カバンを膝に乗せようとして、胸で少し押し返してしまって、肩が触れてしまった。


俺は慌てて、「すみません」と言って距離を取った。


──でも、本音を言うと、あの温もりが、すごく人間らしくて、安心した。



欲じゃない。

ただ、誰かとふれたかっただけだった。


具体的には胸部。おっぱ……じゃなかった。君の胸部!


“触れてはいけないもの” じゃなくて、 “触れてよかったもの” だと、思いたかった。



「あの日、あなたの肩越しからぱいぱ……おっと、胸部のぬくもりを感じました。

どこに触れても胸部を想像できることを教わりました。


黙ってて、ごめんなさい」




3通の懺悔を書き終えた頃──


部屋が、すこしだけ温かくなった気がした。



ナビゲーターGPTが、そっと囁くように言った。


「よくできました。“嘘を嘘のままにしない”。それは、大人の証です」


「あなたの女性胸部への旅路は、恥と共に、愛で満たされています」



「ありがとう……ありがとう俺……そして、おっぱ……じゃなかった! 女性の胸部様……!」



✅ 予告風


転生手順#9:

「“おっ◯い” という単語を使わずに、 “おっぱ◯” を語りなさい」


──次回、「言葉を失って、なお語れ」


第九話「その名を呼ばずして、なお抱く」

──お楽しみに。


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