表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/67

転生手順#4「女性胸部供養と母の修羅場」


「転生手順#4を提示します」


──やけに静かで、重みのある声で今日は語りかけてくるな。


例えるなら──牛量級……いや、重量級の女性胸部。

やや重さで肩こり、といったところか。



「実家の仏壇に、“今までお世話になった胸部の皆様” を祀りなさい」


……問わねばなるまい。


「……ごめん、いま仏壇って言った?」


「供養は形からです。敬意のない欲望は、永遠に触れることを許されません」


──ふっ……常に女性の胸部へ祈りを捧げている俺には容易いこと。


……だと思っていた。帰省するまでは。



実家は古風な家で、祖父の代からの立派な仏壇がある。


朝から線香の香りが漂うリビングで、俺は正座していた。

となりには母。何も知らずに、俺の帰省を歓迎していた。


忘れてたわ。両親いるじゃん!



「どうしたの、急にそんな神妙な顔して?」


頼む、一人にしてくれ!


「母さん……俺、人生で一番大事な供養があるんだ」


「なに? 友達でも亡くなったの?」


母の神妙な面持ちに……俺は誠意で応えなくてはならない!



「過去にお世話になった “女性の胸部” を供養したいんだ」


「…………………………へ?」


「だから! 過去にお世話になった “女性の胸部” を供養したいんだ!」



言葉の意味が母の脳を3周したあと、ようやく反応が返ってきた。


「ちょ、ちょっと待って? なに? 女性の胸部を供養って何? は? なっなに言ってんの!? しかも2回!?」


「落ち着いて! 俺は今、極めて正しく清廉に女性の胸部と向き合ってる!」


「こわっ! こわいって! 何その言い方!? なんでそんな悟り開いたみたいな顔してんの!?」


「合法的に、神聖に、そして未来のために──これは俺にとって必要な “儀式” なんだ!」



母が言葉を失った。

恐らく息子の雄々しくも清らかな魂に、心打たれたに違いない。


俺は黙って仏壇の引き出しから白い半紙を取り出す。

そこに丁寧に記した。



『女性胸部供養:記憶に残る全ての双丘に敬意と感謝を』


そして、そっとお線香を立てる。



母は、ずっと俺を見ていた。


そして、ぽつりと呟いた。


「……あんたさ。変わらないわね、昔から」


「え? 昔から?」


「小学生のとき、あんた授業参観で “将来の夢” って言われて、“大人のお姉さんに囲まれて暮らしたい” って言ってたのよ」


「う、覚えてたのか……」



「でもさ。自分の欲望に真面目で拗らせて腐ってるの、あんただけよ。……ここまで来て貫くなら……そう、それは信念ね。

供養なら……いいわ。やりなさい。とことんね」



母の赦しが下りた。


これが俺の “女性胸部供養” の正式な承認である。



仏壇には、1枚の紙が供えられた。


『ありがとう、たくさんの女性胸部たち。

君たちがいたから、俺はここまで歩いて来れた。

そしてこれからも、君たちを見つめながら歩いて往く。──』



転生手順#4──完了。


ナビゲーターGPTが静かに告げる。


「合格。では次の手順を提示します」



✅ 予告風


転生手順#5:

「女性の胸部に関する自作ポエムを3編、恥を捨てて朗読せよ」


ナビゲーターは微笑んだ(声が微笑んだ気がした)。


──朗読の舞台はまさかの公園。

次回、“女性の胸部と詩とオッサン” が織り成す公開処刑編!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ