表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

堺県まちかど人情記

卒業制作のトーテムポールから始まった学校史を辿る冒険

作者: 大浜 英彰

挿絵の画像を作成する際には、「Ainova AI」を使用させて頂きました。

 堺市立土居川小学校に通う月石明花(つきいしめいか)ちゃんには、ずっと気になっている事がありました。

 それは校庭の片隅に佇む、奇妙な柱の事です。

 不気味な顔みたいな模様が彫られ、オマケに塗料が落ちて(まだら)になっているため、子供達は怖くて誰も近寄りません。

 だからこそ、明花ちゃんは増々興味が湧いてくるのでした。

挿絵(By みてみん)

「乃紀ちゃん、千里ちゃん。あの不気味な柱の謎を私達で突き止めようよ。」

 ある日の放課後、クラスの友達に切り出したのでした。

「賛成!」

「異議無し!」

 友達二人も乗り気です。

 何も知らないままでいる事に、二人とも我慢がならなかったんですね。

 こうして三人の女子生徒達による、謎解き探検隊が結成されたのです。


 手始めに三人は、先生達に聞いてみる事にしました。

 だけど明花ちゃん達の小学校は市立なので、先生達もそう長く務めている訳ではありません。

「僕が赴任した頃には既にあったと思うよ。」

 小学校で一番年上の校長先生も、首を傾げるばかりです。

 行き詰まったかに思えた謎解き探検隊ですが、そこで乃紀ちゃんに良いアイデアが浮かびました。

挿絵(By みてみん)

「私には柱の凸凹(デコボコ)が字に見えるんだよね。紙を当てて鉛筆で擦ったら、字が読めるんじゃない?」

 図工の得意な猪地乃紀(いのちのき)ちゃんは、石碑の字を写し取る「拓本」という技術を知っていたのです。

「字が出てきたよ、明花ちゃん!」

「へえ…『六年一組卒業制作・友情のトーテムポール』だって。」

 しかし、それ以上の事を調べるのは難しそうです。

 何しろトーテムポールに刻まれていた卒業年度は、今から何十年も昔なのですから。

 市史や大昔の卒業アルバムを調べても、校庭のトーテムポールの情報なんて載ってません。

 明花ちゃん達が諦めかけていた、その時でした。

吹田栄喜穂(すいたえきほ)…この人、私の御祖母ちゃんだ!」

 昔の卒業文集を広げているのは、数世代前から堺に住んでいる吹田千里(すいたちさと)ちゃんです。

 何と千里ちゃんの御祖母ちゃんも土居川小の生徒で、トーテムポールを卒業制作にしようと言い出した一人なのでした。


 そうして千里ちゃんが御祖母ちゃんにトーテムポールの一件を伝えた事で、事態は大きく動きました。

挿絵(By みてみん)

「御祖母ちゃんが昔の同級生に呼び掛けてくれたお陰で、トーテムポールの補修と再塗装が行われる事になったんだ。私達も手伝わないとね。」

 みんなの力で真新しく修理されたトーテムポールは、凄く嬉しそうです。

 三人の女の子達の学校史を辿る冒険は、みんなにとっても素敵な思い出になったのでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
3人の女の子の可愛らしい好奇心が学校の歴史を掘り起こした。 素敵ですね。
不気味な柱の謎をたどる冒険楽しかったです! 「拓本」というのですか!図工の得意な猪地ちゃんのアイデアが童心を呼び起こしてくれて、拝読していてわくわくが増しました! 綺麗に手入れされて、思い出が継がれて…
読ませていただきました。 私が小学生の頃、よく学校の校庭隅に謎のトーテムポールがありました。 あれってなんだろう?と当時よく思ったものです。 あとでなんとなく、昔の先輩たちが卒業制作したものだと知っ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ