『君も一週間でプロ作家になれる!~書籍化RTA作家が教える最強なろう攻略法~うなぎ式メソッドで最速デビュー! あなただけに教える秘密のスーパー執筆術』
さて、皆さん。
このエッセイのタイトルとあらすじはいかがでしょうか?
ええ、もちろんジョークです。
そんなものが、あるわけないですね。
もし、「しめた! これで俺も書籍化作家だ!」って、少しでも考えた人は詐欺に気を付けてください。
このエッセイのタイトルに示されているような言葉を使ったコンテンツは、詐欺である可能性が結構高いです。
甘い言葉には惑わされぬよう、きちんと精査をして、本当に気を付けてくださいね。
おそらく、多くの人はただの興味本位でこれを開いたと信じていますが。
さて──ただのタイトル詐欺では悲しみだけが広がって地球を押しつぶしかねないので、少しだけ真面目にお話しようかと思います。
いま、これをご覧の皆さまは興味や期待、あるいは「逆張りしてやろう」なんて悪意を抱いてこれを開いたと思います。
それこそが、実はなろう攻略法の鍵だったりします。
強力な印象をもったワードを多く並べて、興味を引くタイトルを示す。
なにはともあれ、まずは作品ページを開いてもらうことが重要なんです。
中には「長文タイトルは悪い文化!」という人もおられると思いますが、少ない情報量で読者を惹きつけるには、物語を作るとは別の才能が必要です。
あなたにそれが備わっているとの自負があるなら止めやしませんが、長文タイトルはなろうにおいてユーザーフレンドリーな方式でもあります。
特に忌避感がないなら、ガンガン活用するといいでしょう。
次にあらすじ。
これも、わかりやすく情報量は多めにしましょう。
よく、「ネタバレになるから~」なんて言い訳じみたことを言って、内容の空いたあらすじのまま公開する方もいますが、そんなあらすじを載せてしまったことで読者の気が引けないなんてことになったら、大事にしてた秘密自体が無駄になります。
いいですか、読者を釣り針に引っ掛けようと思えば「どのように面白そうなのか」を示さねばなりません。
内容については、中盤くらいまででもいいのでどんなイベントがあるかを上手くまとめるのがいいでしょう。
あらすじの最後に「──開幕!」してもいいですが、どんな風に面白いことが開幕するのか、容易に想像がつくようにしてください。
ちなみに「──何を見、何を得るのか?」は正直避けたほうがいいと思います。
むしろ、そこをタイトルやあらすじでわかりやすく読者に示してください。
何するかわからん小説を読んでるほど、読者も暇じゃないんですよ。
時間は有限、コンテンツは無限。
なろうだけでも95万以上の作品がありますからね。
そこから自分の作品を読んでもらおうって時に、よくわからん要素は排除した方が親切ってもんです。
タイトル、あらすじで興味を持ってもらってようやく中身──作品そのものを読んでもらえます。
ここまででわかると思いますが、時折耳にする「内容が本当にいいものは必ず人気が出る」ってのが、おそらく誤りだろうってこと。
誰も読んでない小説の中身が面白いかどうかなんて、わかりゃしませんからね。
そう、それで『中身』の話です。
これに関しては、好みがあるので安易に「面白くしろ」というのは言えやしません。
私がとやかく言う事でもないでしょう。
あなたが思うままに物語を描けばいいと思います。
ただ、あなたが書籍化を狙う作家であるとすれば、いくつかのお作法については守ったほうがいいでしょう。
『文頭を一文字開ける』
『三点リーダーは偶数個のセットで』
『疑問符や感嘆符の後に文章が続くときは1文字あける』
……等ですね。
それはユーザーへの気遣いであるとともに、それを目にするかもしれない編集さんへのアピールでもあります。
そんなもの気にならないほどあなたの物語が独創性とアイデアに満ちて面白いと言うならいいのですが、『同じくらいの誰か』と競合するときにそれで土がつくなんてこと、ないとは言えないでしょう?
さらにwebにおいては投稿頻度がものを言います。
新作は毎日更新?
生ぬるいです。
新作なら一週間の間、毎日三話は更新してください。
一日一万字程度あるといいですね。
これは書籍化RTA作家としての経験則です。
あなたが編集者だとして……そう、『10万字の商売になりそうな面白い物語を探す人』だとして、狙った作品が何字くらいあれば目測が立つかを考えてみてください。
ある程度まとまった文字数、予測される展開が必要でしょう?
さらに、更新をすることでなろうのトップページにも短時間でありますが、タイトルが掲載されます。
ここでもタイトルの重要さがうかがえますね。
はい、あとは──天に運を任せましょう。
ここまで読んで、「なにこれ、あたりまえのことじゃん」って思った人。
あなたはとても正しい。
必ずヒットする方法なんて、私にもわかりゃしないんですよ。
たまたまうまくいった例が、いくつかあるだけ。
あっぷあっぷしながら、当たり前にできる努力を重ねた結果、書籍化できてるってだけなんです。
最近、「PVのために悪魔に魂を売る」なんて言葉を耳にしましたけど、悪魔だって高品質な魂のが欲しいはずです。
当たり前にできる努力は全部きちんとできるような……優良な人間の魂が。
それをせずに対価を求めたって、大したPVは稼げそうにないですね。
さてはて、つらつらとお話してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
書籍化作家とて、特別なことは何もしていないってことが露見しただけですね、えぇ。
それでも、読まれたあなたの一助になることがあればいいと願っております。
もし、書籍化しましたら私にサイン本をください。
献本在庫の処理に一役買って見せますよ!
それでは、また。
いずれの機会に。