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魔法世界の最強剣士  作者: 夜本なつ
9/13

7話 現代の教育事情

 もはや三日に一回投稿ですって保険かけた方がいい気がしてきた弱い作者を許してくれ……

 フレッドの後ろをまだ発達しきっていない両足で歩いていき、着いたのはフレッドの勉強部屋だった。

 部屋はあまり広くなく、部屋内の家具も机と椅子、本棚とあまり大きくない黒板だけという簡素ではあるが、勉学に集中できそうな部屋だった。

 これはきっと魔法だけでなくしっかりとした知恵を身につけてから世に出て欲しいという父の気持ちの現れだろう。しかも次期当主になるだろうフレッドは最低でも父と同等、もしくはそれ以上に賢くならないと父のような領地経営はできないからな。


 部屋には私が屋敷で何度か見かけて、フレッドについて話を聞いたことがある家庭教師がすでに待っていた。


「あれ?アレク様も授業をお受けになるのですか?」


 まだ若いくせに渋いいい声を出すなこの男と思いつつ、その質問にはフレッドが答えた。


「アレクが興味があるらしいから連れてきたけど、いいよね?」


「ええ、それはもちろん。ですが進度はフレッド様に合わさせていただきます。学園入りに合わせて初等部の内容を終わらせる予定なので、アレク様には難しいかも知れませんがアレク様もそのうち最初から教えますんで安心してくださいね」


 ほう、この家では初等部入学前には初等部の内容を終わらせるという方針を取っているのか。

 フレッドは魔法があまり得意ではないらしいので、勉学では学園でいい成績をとって欲しいという魂胆か、父を越えるには初等部でのんびり勉強してる場合じゃないといったところだろうか。


「だいじょうぶ、じゃまはしないしきょうみがあるだけだから」


「うんうん、アレク様はもう人ができてらっしゃっていいことですな。アレク様も紙にお書きになりますか?必要なら机も持ってきますが」


「いらないよ。きいてるだけでじゅうぶんだし、わからなくてつまらなかったらかってにかえるよ」


「承知しました。ではこちらの椅子へ。そのままでは痛いと思うので毛布を下に敷いておきましょう」


 私の身長だと椅子は高くて座れないので、家庭教師に抱き上げられて椅子の上に座る。


 フレッドは早生まれの五歳で、もうすぐ年が変わり六歳になって学園に入学する。なのでこれからやる内容は初等部の内容の終わりあたりということになる。

 私は一応前世は商人の生まれだったので最低限の知識くらいはあると思っているのだが、それも昔のことなので忘れているかもしれない。

 だからこの時代の教育内容がどのようなものか今のうちに知っておいて損はないだろう。


「では始めていきます。まずはフレッド様、さっきの確認をします。今から四則演算の問題を何問か出すので解いていってくださいね」


 そういって黒板にカッカッと音を立てていくつか数式を書いていく。

 書き終わると私の方を向き、言った。


「そういえばアレク様の前では名乗ったことがなかったですかね。私、ケルヴィン家の家庭教師として雇っていただいてるキーンと申します。フレッド様が問題を解いているいる間にこの国の教育についいてお話しします」


 チラッと黒板に書いてある数式を見ると、前世で習ったことがある問題ばかりだったので、さすがに私は初等部以上の学力はあって安心した。だが3000年も経てば学問も増えているだろうし、私が全くわからない学問もこれから出てくるだろうと思うと少しだけついていけるか心配になる。


「この国王都にでは魔法学園というものがあり、初等部、中等部、高等部と各三年間多くの生徒が通っています。入るためには試験が必要で、中等部から、高等部からと言った入学もまた同様です。中等部高等部からの入学試験は定員もそうですが試験がすこし難しくなっているので、多くの入学生は初等部入学を目指しますし、サンドリア様も絶対に初等部入学させろと私との契約書に書いてありますね」


 魔法学園というものが王都にある、ということくらいしか学園のことは知らなかったので、三つに分かれていることすら知らなかった。


「しょとうぶににゅうがくできれば、こうとうぶそつぎょうまでいけるの?」


「いい質問ですね。もちろん初等部に入学できたほとんどの者が高等部まで進み、卒業していきます。ですが学園には定期考査というものがあり、定期考査で悪い成績を取り続けると見込みなしとみなされ、退学することになります。だから入学できたからといって安心はできませんし、入学後の勉強についていけなければ退学ということもありうるので入学後の勉強もしっかりとしなければいけませんね」


 入学できたからといって卒業まで保証はされないのか。では初等部の内容を終わらせるフレッドは中等部までは確実に入れるというわけだな。


「アレク様は魔法学園と聞くと魔法を学ぶ場所だとお思いになるかも知れませんが、実は魔法を学び始めるのは中等部からなんです」


 そこまで言ったところでフレッドが解き終わったようだ。


「アレクちょっとごめんな。キーン、終わったぞ」


「お、思ったより解くのが早いですね。アレク様少し待ってくださいね。ではフレッド様、こちらに中等部入学の過去問題がありますので解いてみてください。少々難しいですがフレッド様に教えたことを組み合わせていけば解けるはずですよ」


 そう言って三枚くらいに重なった紙をフレッドに渡した。


 そういえば、この時代では製紙技術がかなり発達しているらしい。前世では紙はとても希少なもので、貴族しか紙は使ってなかったし、本ともなればそれは高価なものだった。

 だがこの時代では平民が普通に買えるくらいには紙の価値は落ち、学園入学の勉強は平民でもできるようになっているのだ。


「では続きをお話ししましょう。魔法学園と銘打ってますが、初等部では本格的な魔法の練習はしません。魔術の練習や簡単な詠唱魔法の練習はしますが、子供に魔法は過ぎた武器ですし魔法はとても危ないものなので、初等部のうちは本格的な授業をしないとの国の方針なんです。他にも初等部と中等部高等部の違いがあって、魔法理論や薬学、魔獣学など有名どころはみんな中等部から高等部のうちに習うものです。初等部では四則演算や王国周辺の地理歴史など、全ての学問の基礎的な部分を学ぶ場となっています」


 有名どころと言われたが、魔法理論も薬学も魔獣学とやらも聞いたことがない。そもそも前世で学問なんて全然発達していなかったし、興味もあまりなかったから初めて聞くものばかりだ。

 あくまで前世で興味がなかっただけで今世では興味ありありである。


「そして今フレッド様に教えているのが全ての学問の基礎といわれる数学です。とはいっても初等部で学ぶ数学なんて基礎もまた基礎なのであまり難しくもないんですけどね」


 私は前世では中等教育までしか受けてないので、前世と学ぶ範囲は多く異なるだろうが、高等部に入る頃には年甲斐もなく苦労しているかもしれない。

 初等部での勉強の内容では新しい発見は少ないかもしれないが、中等部や高等部では私の知らない学問、つまり知識がゴロゴロ転がっているらしいので今からすでに少し楽しみだ。


「王国の教育事情はここらへんですかね。他の国、帝国なんかは初等部からどんどん魔法の授業をして強い子を育てるという方針を取ったりもしているらしいですが、やっぱり強い力にはそれを扱うだけの知恵も必要だと思うんですよね」


 私もその通りだと思う。過ぎた力は破滅を生むとはエルフの聖女の言葉だったか。

 いくら筋肉をつけようが相手の罠に嵌ればその力は存分に発揮されない。相手よりも賢くなければその力は十全に発揮されないのだ。


「おや、その表情は同意しているのですかな。やはりアレク様は賢いですね。私は力がある人間よりも知恵がある人間の方が好きなんですよ。知恵も一種の力ですからね。そういうわけでフレッド様はその問題解けていますか?」


「分かるものと分からないものがあるね。大半は分かっているつもりだけど、ほら、この問題とかここから何をすればいいのか分からない」


「ふむ、一応フレッド様は中等部からの入学試験を受けても合格できそうですね。この問題は、そうですね、ふた捻りくらいしないと難しいかもしれませんね」


 ほう、初等部卒業並の学力を持つフレッドが分からない問題か。興味がある。


「みたい」


 そう言うとフレッドが紙の一枚を持って私の前に差し出した。


「ほら、ここの問題だよ。多分この前の答えを使って解くと思うんだけど、ってアレクには流石に難しいかな」


 そう言って見せてきたのは図形の問題。

 このくらいなら前世で学んだが、時間が経ち過ぎているので記憶は曖昧だが……ふむ、意外とまだ分かるものだな。


「これじゃなくてこっちのこたえつかって、ここがわかるからここのながさと……」


 ペンを使って指したり、書いて自分なりに説明してみる。答えが合ってるかは分からないが考え方は合ってるはずだと思うのだが。


「っ!そうか!そうするとここが分かって答えが出るのか!アレクお前やっぱり頭いいな!」


 珍しく普段は温厚で落ち着いているフレッドが大声を出して褒めてくれて少し嬉しく感じている自分がいる。


「ほう、これは驚きましたね。この問題は学校側が解かせる気が薄い、いわゆる満点を阻止する問題だと思うのですが、まさかアレク様が解いてしまうとは」


 確かに前世の中等教育がなければ解けなかったかもしれない。


 転生して剣の技術くらいは役に立つかと思ったが、こんなにも前世の教育が役に立つとは思わなかった。

 前世の記憶、というアドバンテージだけだと思っていたが、意外にも前世でやった努力は巡り巡って自分のところに帰ってくるのかもしれないな。


「ではアレク様が想像以上に頭がいいことがわかったので今日は中等教育の内容を先取りしてみましょうか」


 結局その日は魔法理論や薬学の基礎、深掘りした地理歴史の授業を受けていろいろな新しい知識を付けれた。


 まだまだ六歳まで時間はあるが、剣や魔法だけでなく学問という点でもこの世界で楽しめると思うと、よりこの世界で生きていくのが楽しみになった。


 そろそろ閑話で今まで説明しきれてないところの補完をしていこうかなと考えてます。

 ゆっくり話を進めていく予定ですが、楽しみに待って次も読んでくれたら嬉しいです!

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