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魔法世界の最強剣士  作者: 夜本なつ
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4話 生後一歳の爺

 会話文が少しずつ増え始めて書きやすくなった感がありますね。

 アレクは魔法を使えるのでしょうか!?あらすじを読めばお察しですね。


 次の日の朝、アレクは早速行動を起こした。

 もはや日課となっている書庫に足を運び、昨日聞いたアメリアの言葉を思い出す。

 魔力制御ができた後、簡単な詠唱魔法が一般的とのことだ。魔力制御というのはあの渦巻く魔力の再現ができれば魔力を制御してると言えるのだろうか。

 魔力の動かし方自体は前世から知っている。身体強化も魔力を身体に巡らせるという一種の操作だし、気配遮断する時の魔力を体の中に収めるというのも操作の一つだ。

 前世というアドバンテージもあり、恐らく魔力制御はできていると思う。そしたら次は魔力を動かして詠唱をすれば魔法を使えるのか。


 では早速、昨日見た魔力の流れを思い出し、掌の上に魔力をうずまかせる。魔法陣の本にも詠唱することで魔力を魔法陣に変化させる、と記されていた。


「ひのせいれいよ、ここに『ふぁいや』」


 ……何も起こらない。魔力の動きも昨日のを再現できていたし、これで私は火属性適性ではないということなのだろう。

 他の属性の詠唱魔法はなんというのだろう。やはりここはアメリアか。


「あめりあ、ほかのまほうはどうやる?」


「他の魔法というと、他属性の詠唱ということでしょうか?」


 アメリアの問いに頷くことで答える。こいつは私が一歳にも満たない赤ん坊であることを忘れてはいないか?


「でもアレク様、詠唱を知ってても魔力を動かせなきゃ意味ないんですよ?」


 この問いには先ほどと同じように掌の上で渦巻かせた魔力を見せることで答える。


「なっ……!この歳にしてもう魔力制御を……!?いやでも赤髪は知性が高いっていうし……」


 よくわからないが納得してくれたみたいだ。赤髪がなんとかと言っていたが、この歳で自我が確立しているのは絶対におかしいと思うぞ。


「あぁ、詠唱でしたね。火属性は昨日言った通り、火の精霊よ、ここに『ファイヤ』」


 アメリアが詠唱の言葉をいうが、当然魔法は発動しない。やはり魔力を操作していないと魔法は発動しない、ということか。


「風の魔法は、風の精霊よ、ここに『ウィンド』、水は水の精霊よ、ここに『ウォーター』、土は少しだけ違って、地の精霊よ、ここに『ロック』って唱えるんですよ。もちろん私は火属性適性しかないので『ファイヤ』しか使えないんですけどね」


「うん、ありがと」


「いやっ、そんな私にありがとうなんて——」


 隣でなぜかもじもじしているアメリアは放っておいて、早速他属性も試してみる。


「かぜのせいれいよ、ここに『うぃんど』」


 これも何も起こらない。では次。


「みずのせいれいよ、ここに『うぉーたー』」


 ……これも何も起こらないということは私の適性は土属性ということか。『ロック』とはどのような魔法なのだろう。とりあえず使ってみるか。


「ちのせいれいよ、ここに『ろっく』」


 魔法を使えるということに少しわくわくしながら唱えてみるが……何も起こらない。

 これは私の魔法の使い方が間違っているのか、それとも私に適性がないのか。魔法適性がないってあるのか?

 まだ何かを呟きながら体をくねくねさせているアメリアに再び声をかける。


「あめりあ、まほうてきせいがないってことはある?」


 私の言葉でやっと現実に帰ってきたようだ。


「魔法適性がない人なんて私は見たことも聞いたこともないないですね……。今ご時世どこに行っても魔法能力は要求されますし、魔法適性がないとなると生きていくのにかなり不便になりそうですよね」


 ふうむ、魔法適性がないのは前例なしか。ただ転生しているという時点で私はかなり例外なので適性なしというのも視野に入れるべきかもしれない。私の魔法の使い方が間違っていたのならそれに越したことはないのだが。


 そういえばこの時代に来てから一度も剣を見てきない気がするのだが、魔法体系が成長しすぎて剣が廃れているなんてあり得るのだろうか。


「けんはないの?」


「券?あ、剣のことですか。絵本にあったからですかね。この時代に剣は護身用としてくらいしか需要がないですし、昔は流行っていたそうですが、今は魔法の方が一般的ですね」


 そう、か。この時代では剣は広まっていないのか。3000年後の世界の剣術がどうなっているのかすごい興味があったのだが、残念だ。

 まて、この世界で魔法がそんなに重要なら魔法適性がないかもしれない私、さてはやばい?

 剣を振ってこの世界を生きていこうとは思ってはいたが、そんなに剣が廃れて魔法が重要視されているなら生きていくのが大変かもしれないな。


 将来なにか職を得なければいけないが、どの職にも魔法が求められるとなると不安だな。前世のように何かを極めるという選択肢もなくはないが、せっかく二度目の人生を得たのだからできるだけ楽しく自由に生きていきたいと思っている。


 まあなんにせよある程度成長するまでは今と同じように、魔力を増やしつつ、本を読んで知識を深めていこう。身体の問題的にまだ剣を触れそうにもないし、本来勉強に使う時間を剣や魔法魔術の実験に使えるからな。

 こういう時に前世の知識があるというか、かなり早い段階で自我が確立していると時間の有効活用ができている感じが出ていいな。




 時は経ち、アレク一歳の誕生日。時が経ったとは言っても、十数日くらいしか経っていないのだが。

 アレクは自分が生後何ヶ月なのか知る術もなく、「誕生日おめでとうございます」と使用人たちとすれ違うたびに言われて、やっと自分が一歳になったと知った。


 一歳になってもすることはいつもと変わらない。赤ん坊の学習能力は想像以上で、十数日の間でも文字学習がかなり進んだ。そのため以前よりも早く一冊の本を読み終えることができるようになり、この時代の地理や歴史、魔法のより深い知識が身についてきた。


 そして時は夕食。アレクの誕生日と言うことで家族はいつもよりも豪華な食事を用意している。オークの肉と思わしき巨大な肉塊に、この領地の特産品の一つらしい野菜をふんだんに使ったサラダ。それに加えて前世では見たことがないのだが、パン生地に似たものを円形にしてその中にトマトソース、チーズ、ソーセージなど具材をたくさんのっけた上に高温の窯で焼き上げたピザと呼ばれている物さえある。

 なんと豪華な食卓なのだろう。


 ただもちろん一歳になったばかりの赤ん坊がそんなご飯をともに食べられるわけもなく、いつもよりは豪華で美味しそうな離乳食がアレクの前には置かれている。

 こいつら私の誕生日なのをいいことに豪勢な食事を食べおって、と心の中で悪態をついたが、声には出さずにしておいた。


「アレク、一歳の誕生日おめでとう」


 そう父が言うと、母と兄たち、使用人たちもがおめでとうと祝ってくれた。

 本当はもうこれで九十年くらい生きているのだが、四十を過ぎてから歳も数えてないし、祝われるなんて久しぶりだが、なかなかに悪くない。私の精神が少々アレクの肉体に引っ張られているのかもしれない。


 今日も普段と変わらず書庫に引きこもっていたため、実はすでに眠い。肉体の活動できる時間は限られている上に、魔力の消費のために起きている間は少しづつ魔力を放出しているのだが、放出し続けると言うのも集中力を伴う上に、魔力が少なくなっても疲れる。

 だから毎日朝起きて書庫へ、本を読み進めながら魔力を消費し昼食後、魔力が尽きると同時に昼寝夕方前くらいに起きてまた本を読みながら魔力消費して夕食後睡眠という、縛られているのだか自由なのだかわからない生活を送っている。


 疲れている故に夕食のことしか考えられないし、家族たちが喋っているのも普段あまり聞かない。今日も同じように一日が終わると思ったが、父が突然放った言葉に私は否応なしに反応させられた。


「アレクよ、一歳だからまだわからないかもしれぬが、何か欲しいものはあるか?子爵家当主として息子の誕生日くらい欲しいものを買い与えてやれるくらいの資産はあるぞ」


「もう、そんな堅い言葉遣いじゃなくていいじゃない。アレクが可愛いからなんでもお父さんが買ってくれるってよ〜」


「なっ、フレン——」


 全くこの夫婦は微笑ましいな。父が母にだけは頭が上がらないのは見ていてとても面白い。


 欲しいものと聞かれ、私の欲望は一秒も待たずに答えを出した。

 この世界で生まれ変わってから早一年、魔力を増やしたり本を読み耽ったり、一歳も満たずして言葉を発して驚かせたこともあったが、やはり決定的に足りないものがある。


「けんがほしいです」


 そろそろ禁断症状が出始めてもおかしくないほどにアレクは剣を欲していた。家族の前では喋らないようにする、という心がけを全て無に帰しても気づかないほどに、アレクは剣を振りたかったのだ。


「あ、あ、あ——」


 家族と使用人(次男のゲイルを除く)が総じて口を開け、驚きの表情でアレクを見つめていることに気づいたアレクも、そこで口を開いた。


「あっ——」


「アレクが——」


「アレク様が——」


 この時よりアレクは一歳で会話を成立させる「神童」としてアルネスト王国の貴族および王族の間で名を馳せたのであった。


 最後に登場したアルネスト王国というのはケルヴィン家が仕える王国ですね。もう少し成長したら他の貴族たちも出てくるかも……?

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