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食事はファミレスで

「はい、はい。あっ、そうですか……。わかりました」



はあっ、とため息をつきながらケータイをを切った。


紫苑に言われたとおりにバイトを探しているのだが、全然だめだ。

ちなみにさっきの電話で4件目である。

バイトなんてすっと決まると思ってたのになぁ。


家に泊めてもらっている紫苑には迷惑をかけたくないから、早いところ稼がないといけないのに。

俺って駄目な男だな。



「たっだいまー、って何あんた沈んでんのよ?」


「いや、何でも……」


「今、里佳たちが来てるよ。あんたと話がしたいってさ」


「えっ!?」



ドアの向こうから2人が姿を現した。



「おい、一也!どういうことなんだ!?」


「そうですよ。今朝紫苑さんから退学って聞いて。先生からも……」


「え、あ、それはやなぁ……」


「委員長のお前が抜けて、代わりに俺が選ばれたんだぞ!」


「はあ?委員長やて?」


「ゆ、裕樹さん……」


「一也の友達ってことで選ばれたんだってさ。意味不明よねぇ」


「ははは」


「はははじゃないだろ!?」


「そんなこと、今はどうでもいいじゃないですか!!」


「は、はいぃ」


「裕樹、情けないのぅお前」


「で、一也さん。どういうことなんですか?」


「どうもこうも親父と言い争ってキレて家出てきただけやがな」


「俺の家に来れば良かったのに……。男同士のが楽じゃないのか?」


「あー、それもそうか。結構焦ってて紫苑しか思い浮かばんだわ」


「「「…………」」」



俺を見て固まる3人。

え?何この空気?俺、なんかマズイこと言った?



「バカ……」


「なるほど。俺たちは最初から眼中にないと」


「良かったですね、紫苑さん」


「知らないわよ!」


「でも、少しくらいは思い出してくれてもいいのに……」


「もう、いいじゃないですか。裕樹さんはとりあえず黙っててください」


「はい、黙ってます」


「弱いなぁ。裕樹君は将来尻に敷かれるタイプね」



俺もお前の尻に敷かれそうやけどな。


というか、何だって最近の女性はこんなにも強いんだろうか?

男尊女卑に賛成してはいないが、あの時代は一体何処へ?



「それでこれからどうするんですか?」


「とりあえずバイトでも探そう思って店に電話してたんやけど、今は募集してないばっかでな」


「あ、だから沈んでたんだ?で、何の店に電話したの?」


「サークルJサンキュー、マイクロストップ、コブンオヤブン、ローンソ」


「コンビニばっかじゃないの」


「バイト言うたらコンビニやろ」


「どんな偏見よ……」


「なあ、里佳さん。俺たちそろそろ帰ろうか?」


「え?でも……」


「事情も聞いたし、これ以上俺たちがいたら邪魔じゃない?」


「うーん。まあ、そうですね」


「もう帰っちゃうの?じゃあまた明日学校でね」


「うん。それと一也、(理性保つように)頑張れよ?」


「ああ」



今の頑張れよにはきっと深い意味があるのだろう。

男同士しか分からない意味が。



「2人ともさようなら」


「うん。また明日ね」


「さいなら」



挨拶を済ませて2人は帰っていった。

その後姿が次第に遠くなってゆく。


紫苑はそれを確認して俺に口を開いた。



「で?何でまだ関西弁なのよ?」


「まだ、あいつらには話さなくていいだろ」


「何で?どうせいつかはバレるんだし……」


「2人だけの秘密ってことで」


「答えになってないじゃん。まあ、それもいいかもね」



答え……か。

別に深い意味は無いさ。


今は、このことを知っているのはお前だけでいい。

なんとなく……そう思っただけ。



「あ……」


「どうかした?」


「飯の支度してなかったのを思い出した」


「えー?何やってたのよ!?」


「バイト探し」


「あ、そっか。うーん、じゃあどこかに食べに行こう」


「食べに行くってどこに?」


「ファミレスがあるからそこにしましょっか」


「金は大丈夫なのか?」


「大丈夫よ。さあ支度して」


「了解」











「ここか?」


「うん。クルールっていうの」


「美味いのか?」


「不味かったら来ないわよ!」


「それもそうか」



カランカラン



ドアを開けてみると、洒落た洋風の空間が広がっていた。



「いらっしゃいませ。2名様ですか?」


「あ、はい」


「ではこちらの席へどうぞ」



店員さんに案内されて腰をかける。



「注文がお決まり次第そちらのボタンでお呼びください」


「はい」


「では、ごゆっくり」



店員は入口の方へと戻っていった。



「へぇ。雰囲気はなかなかだな」


「そうでしょ?結構気に入ってる店なのよ」


「どうせ何日かに1回来てたんだろ?お前、料理のレパートリー少ないからな」


「カズっちは自腹ね」


「すいませんでした」



絶対にいつか仕返ししてやる……。



「アホな会話してないでさっさとメニュー決めちゃいましょ」


「そうだな……」



テーブルの端に立ててあるメニューに手を伸ばす。

開いてみるとハンバーグとかパスタとかグラタンなどのファミレス料理だった。



「あたしはハンバーグでいいや」


「俺もそれで」


「あんた、主体性がないわねぇ」


「どうせどれも同じだろ……」


「結構美味しいよ?カズっちの料理に劣らずとも勝らずって感じで」


「あっそ」



俺はどうでもいいやという気分でボタンを押した。











注文して10分くらいした頃に俺たちのハンバーグが運ばれてきた。



「注文は以上ですか?」


「はい」



さて、どんなもんかね……。

ナイフとフォークを手にとってハンバーグを切ってみた。

するとハンバーグから肉汁が溢れてきた。



「ほぅ」



では、さっそく一口。

パクッ……もぐもぐもぐ。ゴックン。



「う、美味い」


「ほらね。だから言ったじゃない」


「ふん、これぐらいの料理なら俺にだって……」



そこまで言いかけて俺はあることを思いついた。



「なあ。ここってバイト募集してるのか?」


「うん。ってあんたまさか……」


「そのまさか」



俺と紫苑はハンバーグを平らげると店員を呼んだ。

少し待って店員がやってきた。



「注文ですか?」


「いや、ここの店長さんに会いたいんですけど。バイトの面接で」


「バイトの面接ですか?えーと、少々お待ちください」



店員は店の奥のほうへと消えていった。

マニュアルにはないことだろうから焦ってたな。



「何あの店員ばっか見てるのよ?」


「はあ?」


「ふん。どうせ可愛いウエイトレスに見惚れてたんでしょ?」



紫苑はつーんとそっぽ向いてしまった。

ったく女ってやつは……。



「アホ。お前だけだから心配すんな」


「ホント?」


「ああ」


「よし。許してあげよう」



にっこりとご満悦のようである。

こいつにも結構可愛いとこあるんだな。



「お待たせしました。どうぞこちらへ」


「あ、はい。じゃあ、ちょっくら行ってくるわ」


「頑張ってねー」



紫苑にも応援してもらったし、頑張らないとな。


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