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幽霊団地

勢いだけで書きましたすいません

 昔バブルがはじけたころにたくさんの自殺者が出たらしい。

都心に電車でほど近いこの場所は山を削っててきたマンモス団地。

田舎の一本道の途中にあるために、学校に行くぼくは必ずその前を通らなくてはならなかった。

いわゆる見える方に所属する僕は、そこに近付きたくなかった。

いるのだ。途方もなく大量の何かが。

 団地の前は駐車場になっていて、ぼろぼろになっ白線で、いくつもPのマークが刻まれていた。

その前を通るときは頭を下げて、急いで道を駆け抜けていたんだ。

学校では幽霊団地と呼ばれており、ビルの前から飛び降りた自殺者は駐車場と同じ数だとささやかれていた。

地縛霊がいるとか、土地に縛り付けられて動けないとか、仲間に引きずり込もうとしているとか。

本当は楽しいことが大好きで、一晩中踊明かした後で自殺したとか。

中でも一番噂されていたのは、幽霊の前で笑うと地獄に連れていかれたり取り憑かれたりするというものだった。


 

 ある夏の午後、僕は友達の一人とその前を通ったんだ。その友達は古い歌を知っていて、英語の歌をよく歌っていたりした。

友達がいる手前、僕はビビることもできずにその前を歩いていたんだ。相変わらず何か漂っていたが気づかないふりをしていたんだけれども。

途中から駐車場を指さしてこう言うんだ。

「ねえねえここって幽霊が出るんだってね」

 大量の何かが振り返る気配がする。

「駐車場の数だけ地縛霊がいるんだって」

 大量の何かがこっちを見ている。

「もし駐車場が100万あったとしたら」

 友達がこっちを見ている。

 友達は笑っていた。

 幽霊も笑っていた。

 

 友達は、幽霊達は笑いながらこう言った。

「Pの数だけ幽霊がいて100万人のPOW!」

 そろってポーズを決めていたんだ。

 

 まず僕の、腹筋が死んだ。


「緊張していたのに一挙一動乱さずにそろってポーズを取るんだもの。くだらなくても笑っちゃったよ」

 眼の前のお兄さんは言いました。

「と、いうわけで僕は呪われて取り憑かれていろいろトラブルに巻き込まれるようになったんだ」

 話かけても無駄なのに。

「あんまりにもひどいんで、いまは神社にお世話になっているんだけれど」

 お兄さんはこっちを見ないで続けます。

「お世話になっているからいろいろ頼まれてね」

 そうですか。

「様子を見てきてくれないかといわれてきてみたんだ」

 それでわざわざこの池に?

「帰らなくていいのかい?」

 私だって帰りたいです。

 池から伸びる子の腕に足をつかまれていなければですが。

「それに今更帰るなんて、死んでいたら無理じゃないですか!」

 水の上のお兄さんは言いました。

「死んでいてもむりじゃないよ」

 お兄さんは笑いながら手を伸ばすと、私を引っ張り上げました。

 池の底から伸びている腕をたくさんの亡霊が引っ張り上げました。

 笑う沢山の幽霊が、腕だけつかんで踊っていました。

 月も星もない夜に薄く光って回っていました。

 結局100万人の幽霊が、100万対の腕を掴んで朝まで激しく踊っていました。

 

 それから私は手を引かれ、お兄さんと神社にいきました。

 未練がはれるまで、しばらくこちらでお世話になるそうです。

後半いらんかったかも

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