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童貞RIPの道程

 上条 翔(かみじょう かける)26歳。小柄で幼い顔立ちぐらいの特徴しかなかったが、友人からのアダ名はプリーストだった。


 アダ名の理由だがまず、彼の職業は司教や牧師ではなくだだの地方公務員である。

 性格が温厚で道徳心があり、模範的な人であったがプリーストと言われる理由は特殊すぎる第六感があったからだ。

 彼はなぜか一目見ただけで、相手が経験者か非経験者かを瞬時に識別出来る能力を持っていた。


 上条はある時、偶然にも友人が女性とデートしている場面に遭遇した際、二人の邪魔にならない様に軽く挨拶を済ませてその場を離れたが、この時には友人彼女が非処女だと見切っていた。


 後日、友人と宅飲みしていた時に酔いも回って友人は彼女との進展話をして、友人は次回家デートで互いの初体験を迎える話となった。


 「俺より早く卒業するだと〜!!今まで黙っていたが絶対に相手は猫かぶっているぞ。初体験はお前だけだ!!」


 友人は軽く彼女を馬鹿にするなと文句を言っていたが、酒の酔いもあって上条に妬みだろうと友人は嘲る。


 友人彼女は小中高と女子校に通う箱入り令嬢で男慣れしていない内向的な性格をしているが、柔らかで凛としていて奥ゆかしさの象徴とも言える風貌だった。

 友人は自信満々に上条に彼女は処女であると言い放ち、なんなら賭けで飯を奢ってもいいと持ちかけ、その言葉に上条も乗り気になり、互い賭けは飯の奢りとなった。


 後日友人は、何とか彼女と初めての夜を過ごせたのだが……色々と違和感があって追求していくと結果はドス黒いクロであった。

 彼女は既に結婚していてむしろ、旦那と小さい子供もいる家庭を築いていた。


 友人は彼女が既婚者という事実を知らなかったので、なんとか慰謝料の発生はなかったのだが、その事実を立証する為に色々と時間と労力を使い精神的にも疲弊していた。


 上条は賭けに勝っていたが、友人の落ち込み具合から流石に他の友人達も誘って一緒に飯を奢り、友人が相手と示談話をする度に慰める事にした。


 第何回慰労会で相手との示談が落ち着き、友人も引きずっているが今回の件を自身から酒の肴にする様になった時に、上条の第六感も話題になった。

 流石にマグレだと思い、他の友人達が彼女・女友達を呼んで処女・非処女の実験を試したのだが…彼の能力を裏づける結果となった。


 以後、その神懸かり的な能力を尊敬してまた、童貞だろうと思い友人達は彼をプリーストと呼ぶようになったのである。


 しかし、別れは突然に訪れ彼が交通事故で亡くなると友人達は悲しみに暮れていた。


 「アイツ、少女を庇って轢かれたらしいぞ」


 「ペドフィリア!……アイツらしい死に方だな……童貞のまま清らかにいきやがって。」


 ……酒がまわっているが、友人達は悲しみに暮れていた。


 「童貞のままか……アイツ、悔いしか残ってねえだろうな……。」


 「……じゃあ、神様にあの世で捨てられるように頼むか!!」



 悲しみ……?に暮れていたが友人達は早速、地元の神社や教会で彼があの世で童貞を捨てれるよう絵馬や祈りを捧げるなどの行動を起こしていた。

 断定して言うが友人達は悪ふざけの気持ちは微塵もなかった。

 純粋に純潔を送り出したかっただけだった……。


しかし、結果としては規模がおかしくなった。


 まず、亡くなった友人に祈りを捧げる行為は世界中どこにでもあるような事であるが、内容が内容だったのでSNSや一部のウェブニュースに取り上げられる事となった。


そして便乗した動画配信者が【祈りを捧げてみた】を投稿したのだがそれが流行し、ネット界のムーブメントとなったのである。


 終いには【童貞RIPチャレンジ】という文化がネット上そして二次性徴も来ていないガキにも流行り学校で【童貞RIPチャレンジ】を授業中でも行う為、クラス崩壊が全国的に発生してしまった。


 その為、この話題はついに地上波を流れ、老若男女問わず周知される様になったのである。


 ついでに全国的に流行となる同時期に海外の有名人がSNSで『童貞RIPチャレンジ』の忌憚のない意見を述べ、これは純潔を守り抜いた英雄に捧げると書き込むと……【童貞RIPチャレンジ】を生配信で投稿した。


 これまた話題性がある有名人だった為、世界に『童貞RIPチャレンジ』を発信してしまう形となり、世界中で『童貞RIPチャレンジ』が認知されてしまって世界中から沢山の祈りを捧げられる事となってしまったのである。



そう、世界は一つになった『童貞RIPチャレンジ』によって。




 後日談だが、友人達は上条の両親に童貞RIPチャレンジ騒動の謝罪に土下座しにいき、悪ふざけの意図はないと弁明した。

 彼らの土下座は不倫案件に強い友人が監修の元統制され、一糸も乱れない所作だったと言われている。


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