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ゼロノア防衛戦線『接敵』

「むぅ……まるでランニングマシンに乗っとるみたいじゃ」


 氷賢者ダリウスによる号令がかけられてから、およそ5分後。

 まさに今、ゼロノアに迫り来るマグマ流の上。

 街から見て約1.5キロほどの位置にあたるマグマの上を逆走する形で走りながら、アーサーはひとり呟いた。


 遺物レリック、と呼ばれるアイテム群がある。

 それは時代の流れに合わなかったり、技術の革新によって不要と断ぜられたアイテムが廃棄されることなく現代まで残ってしまった場合に、特性のひとつとしてアイテムに付与される称号のようなものだ。

 文字通り、歴史の遺物。しかし、これらは現代では使われなくなったと言うだけで、コストパフォーマンスを度外視すれば基本的には技術的に再現可能なアイテムでもある。


 しかし、遺物の中にはどう作られたのかすらわからないアイテムも存在する。

 それが神代遺物アーティファクト、と呼称される遺物。

 多くは神代に滅びから免れたであろう遺跡から掘り出された一品モノで、現代技術では再現不能な希少性の高いアイテム。

 

 神代遺物アーティファクト・《竜人の脚甲(ドラゴンフット)》。

 たった今アーサーがマグマの上を地面と変わらず移動できている理由となる装備の名前だった。


(ワシらプレイヤーが死んでもアイテムをロストしないのが前提とはいえ、エピックレア相当の耐性装備をポンと貸し出しできるとは恐れ入る。とはいえ、《マグマ渡り》があってもなかなか独特の足場感ではあるのう)


 本来足を踏み入れるのが難しい領域を踏破するためのスキルはいくつか存在する。

 スクナの《空中闊歩》などはまさにその典型例で、似たようなものだと《水上歩行》、そして《マグマ渡り》もまた同列のスキルだ。

 効果はマグマに触れた際に発生するダメージの無効、そしてマグマに沈まなくなること。暑さの耐性までは付けてくれないが、そこは薬でどうとでもなる。


 とはいえ。

 常にゼロノアに向かって緩やかに侵攻し続けるマグマ流の上に立って戦うというのはなかなかに厄介なもので。

 前に出る時の減速感と、敵が迫ってくる時の加速感。慣性故にどちらも極々僅かなズレだが、アーサーのような1秒に多くの選択肢を持つ人間にとってはことのほか大きな違和感となっていた。


「慣れるのが先か、死ぬのが先かじゃ……なっと」


 手にした王鱒剣おうそんけんを振るい、マグマから飛び出して襲いかかってくる体長1メートル弱のワニ型モンスターを両断する。

 吹き出すマグマと共に出現を始めたそのモンスターの名を《サラマンドラ・ベビィ》。

 レベルはおよそ60から80程度と幅広いが、ゼロノア周辺のモンスターと比べて特別に強いということはない。どちらかと言えば弱いと言ってもいいだろう。


(強くはないが……聞いていた通りとにかく速い)


 サラマンドラ・ベビィは、端的に言えば水の代わりにマグマに住み物理攻撃だけをしかけてくるワニだ。

 ワニに近い爬虫類型の魔物としては《リザード種》がいるが、分類上はその中にいると言ってもいい。

 ただ、並のリザード種を相手にする感覚では即死しかねない。アーサーはボス戦と大差ないレベルまで集中力を高めていた。


 何よりの脅威はその機動力にある。

 マグマの波の中を時速50キロ近い速度で遊泳し、一度潜ってトビウオのように勢いよく飛び出してくる時の速度は80キロ近いだろう。

 そして大抵はウルフのように複数匹単位で襲いかかってくるため、一手間違えると一気に形勢を持っていかれる。


(受け止めるのは悪手、回避は無難、じゃがこの手の突撃バカ相手には「置く」に限る)


 流れ続けるマグマというあまり深さのない浅い環境、そして粘性が高く流動性の低い液体の中を泳ぎ回っているが故に、マグマを掻き分けて移動する様はよく見える。

 飛び出してくる瞬間の予測も、アーサーにとっては難しくもない。

 故に軌道上に「斬撃を置く」ようにする。

 傍から見れば相手が勝手に死にに来ているように見えるかもしれない。

 だがこれは、アーサー自身に言わせてもらえば音ゲーで判定線に合わせてノーツを叩く要領に過ぎない。


 とはいえ、言うは易し行うは難し。

 動き続ける不安定な足場の上で高速で迫り来るモンスターを相手に適宜最適なポジションを取りながら斬撃を振るう必要があるし、少しでも斬撃の振り方をミスる……つまりサラマンドラ・ベビィの外皮を初撃でちゃんと切り裂けなかった場合には、武器そのものが弾き飛ばされかねないリスクもある。


(この武器ありき、じゃな。まったく良い貰いモンじゃ)


 王鱒剣おうそんけん・アビストラウト。

 スクナから貰ったばかりの、ハイレア★★★★というなかなかお目にかかれない強化値を持つ流水属性の片手剣。

 属性云々以前に基本的な武器としての数値が高く、なんならアーサーのメインウェポンより強い。オークションで買えば数千万イリスはくだらないだろう。


 メタ・サラマンドラを含め、火山帯のモンスターの大半は地中深くのマグマによって形成されたモンスターだ。その身は獄炎属性そのものであり、対極にある流水属性は特攻とでも呼ぶべき強力な弱点として機能する。

 極端な話、攻撃がクリーンヒットしさえすれば剣の腹で殴ってもサラマンドラ・ベビィは倒せる。それほどの強さが王鱒剣には存在する。

 実際にそれをやれば尋常じゃない衝撃を受け止めることになってしまうため、丁寧に一匹ずつ切り裂いているわけだが。


(とはいえ……誰も彼もが上手くできる訳でもないか)


 周囲を見ていると、阿鼻叫喚とまでは言わなくともそれなりに苦戦しているのが見て取れる。

 接敵からまだ1分と経っていないのに、プレイヤーが数人爆散した。逆に前線ここまで出てきているNPCは防衛経験者なのか高レベルなのか、しっかりとベビィの突進攻撃を捌けている印象だった。


(うむ。やはりまくらをこっちに割り当てなかったのは正解じゃった)


 慌てふためくプレイヤーたちの姿を見ながら、アーサーはつい先程のことを思い出していた。





 氷賢者ダリウスの導きの元、多くの戦士達がゼロノア西門に集結する。

 水、あるいは氷属性の魔法が使える魔法使いや、弓などの遠隔攻撃ができる者、そして近接攻撃メインの戦士。それに加えてちらほらサポーターなども混じっているようだった。


 そして、彼らは自ずと二つの集団に分かれた。

 遠距離攻撃が可能な集団と、近接専門の集団だ。


「集まってくれて感謝する」


 ゼロノアの冒険者ギルドで二番目に強いと言われるNPC、《ネームドハンター》ライオネル。

 赤を基調とした金属製のフルアーマーを纏う壮年の男性で、アーサーが名前の印象だけで考えていたよりはずっと硬派な人物のようだった。


「我々のやることは単純だ。なるべくモンスターを間引く。そして真理魔法が落ちてくる前に撤退する。それだけだ」


 近接戦闘に特化したプレイヤー、そしてNPCの戦士たちに真っ先に告げられたのはそんな言葉だった。


「メタ・サラマンドラは行軍の開始と共に《サラマンドラ・ベビィ》と《サラマンドラ・シャドウズ》という二種類のモンスターを無数に生み出し続けるようになる。前者は突撃兵で、後者は砲兵のようなものだ」


 サラマンドラ・ベビィは高速で動き回るワニ。

 ではサラマンドラ・シャドウズはというと、メタ・サラマンドラをミニマムサイズにしたようなモンスターのことだ。

 とはいえ、ミニマムサイズと言ってもそれは相対的な話であって、実物は5メートルから15メートルほどのそこそこ巨大なモンスターではあるのだが。


「奴らはマグマ流の先端にたどり着くと爆散して、周囲にマグマを飛び散らせる性質がある。そうなればメタ・サラマンドラの活動領域はより早く広がり、結果としてこの街に辿り着くのも早くなる。故に、可能な限り奴らを間引いてマグマの到達を遅らせるのだ」


 まるで水風船を地面に叩きつけて水を撒くがごとく、自爆を用いて領域を広げる。

 とりわけベビィはその移動速度も相まって、放っておくと一気に侵攻速度を跳ねあげてしまう。

 幸いなことにアクティブモンスターであるため、彼らはプレイヤーやNPCが居れば自爆より優先して襲いかかってくる。

 間引きという側面もあるが、単純に囮としても人員を割かざるを得ないという現実があった。


「これからここにいる諸君を二つの部隊に振り分ける。間引き隊、それから防衛隊だ」


 防衛隊? と首を傾げる戦士たちに、ライオネルは真剣な表情を崩さずに言った。


「間引き隊にはマグマの上を移動できる装備……装飾品だな、それを貸し出しする。マグマの近くまでの転送も行おう。確か、異邦の旅人は死んでも生き返れるんだったな? 危険な仕事で申し訳ないが、可能な限り前線に行ってくれると助かる。シャドウズは動きが鈍重だから、基本的にはベビィを延々と処理することになるだろう。用意できる装備の関係で最大150人までになるため、早い者勝ちで貸与していくぞ」


 尤も、150人も集まるとは思わないが……。

 ライオネルは残念そうにそう言った。


 アーサーにはマグマ流の上で戦うという感覚はピンと来なかったが、この部隊に参加することがこの戦場で最も危険な最前線への投入を意味することは分かる。

 メタ・サラマンドラの到来が成された場合にどんな被害が出るのかも想像できない現状、NPCにとっては命をかけろと言われて簡単にかけられるものではないのだろう。

 だがそれは、プレイヤーにとってはなんのデメリットにもならない。死ねば生き返るだけだからだ。


「防衛隊はあっちの遠距離攻撃メンバーの護衛役だ。現在、噴火の影響で元々平原に住んでいたモンスターたちが暴走スタンピードを起こしている。膨大な数のモンスターがゼロノアに向かって()()()()()()()んだ」


 ドスオルカ活火山とゼロノアの間にある平原にだって、当然ながらもともと生息しているモンスターというものがいる。

 それらは襲い来るマグマから逃げるために反対方向、つまりゼロノアの方向へと向かってきていた。

 マグマが到達しても耐え抜く程に堅牢なゼロノアの防壁は、モンスターの暴走程度で揺らぐことはない。

 しかし。


「肝心の遠距離攻撃部隊はそうもいかない。彼らの出番はマグマ流がもう少し迫ってきた後になるが、対シャドウズ、マグマの冷却、そしてサラマンドラ本体への攻撃とやることが多い。そんな中大量のモンスターが平原の安全地帯で暴れ回ってちゃ敵わんからな」


 ここに集まった近接戦闘部隊の役割。

 それは、マグマによる侵食が済んだ地帯ではサラマンドラ・ベビィとシャドウズの間引き。

 あるいは、まだマグマが到達していない地帯で狂乱するモンスターたちから遠距離攻撃部隊を守ること。


「どっちにせよ死ぬ危険はある。敵の詳細情報は先に送るから、どうするかは一分以内に決めてくれ。メンバーを選別し次第、間引き隊には必要なアイテムを支給する」


 ざっとモンスターの情報を眺めたアーサーは、即断した。


「よし、まくら、スリュー。お主らは防衛隊に行け」


「……そうですね、私はそっちが良さそうです。でも、スリューさんは?」


「スリューは生きておるだけでワシらパーティの防御を固めてくれる。支援能力もそれなりじゃ。……一応、今黒狼と戦っとるスクナにもバフはかかるじゃろうし、生きとった方が得が大きい」


 パーティ自体は解散していない。

 故に、今のアーサーたちにはパーティメンバーの状態がひと目でわかる。


 スクナは既に接敵している。おそらく相手は黒狼ロンド。

 戦闘が始まっているのかはわからないが、幸いにしてHPはまだ減っていない。

 彼女の戦いはこの防衛戦とは関係ないものの、臨時パーティを組んだそもそもの目的が黒狼探しだったのだ。

 生き残れるかはさておき、ゼロノア防衛戦線のことだけでなくスクナに対してもできる限りのサポートはしてやりたい。

 そのためにはスリューの生存は地味に重要だ。


「あ、そういえばアーサーさん、デスペナは……」


「ワシのことなら心配いらん。最悪、死んでも戻ってくるだけじゃ」


 噴火による死から現在までまだ10分も経っていない。

 15分まで短縮されたデスペナルティだが、復帰にはもう少し時間がかかり、それまではステータス半減のデメリットを背負うことになる。

 アーサーがまくらとスリューを防衛隊に回した理由には、このデスペナルティも含まれていた。


 しかし、そのデスペナルティを加味しても、アーサーが防衛隊に行く意味は全くない。なぜなら彼女は防御系のスキルやアイテムを全く持ち合わせていないからだ。

 そして、月狼防具と王鱒剣の存在。ステータスの半減を加味しても、戦うのに十分な装備がアーサーにはある。


「じゃ、ワシは行ってくる。なるべく死ぬなよ」


「……はい、お気をつけて」





 そんなやり取りを経て、実は未だにデスペナルティの解除されていない体でアーサーは戦いの最前線に立っていた。


(デスペナのステータス半減は文字通りに数値が半減される訳ではなく、単なるデバフじゃ。そうでなければ人によっては防具も武器もリスポーンする度にすっぽんぽんに剥がれてしまうからのう)


 攻撃力半減のデバフ魔法を食らっても武器を取り落としたり装備をパージしたりしないのと同じで、デスペナルティは要求筋力値等の計算式とは異なる形で存在する。

 そうでなければ、武具の性能でゴリ押す戦法は取れなかっただろう。


「……っ!! っと、もうここまで来たんじゃな」


 ハエたたきの如くベビィを切り落としていると、不意に直径3メートルほどの火球が猛襲する。

 難なく躱して飛んできた方向を見れば、100メートル以上も離れた位置から、サラマンドラ・シャドウズが巨大な火球ブレスを吐き出しているのが見えた。


(突撃兵と砲兵、とは随分過小評価したもんじゃ。死兵と自律式迫撃砲と言ったほうが正確なんじゃなかろうか)


 サラマンドラ・シャドウズの特徴は、鈍重な高火力。

 ベビィのような素早さは一切ないが、一撃一撃が上級獄炎魔法に匹敵する巨大火球ブレスを分間2発のペースで発射してくる。

 レベルは概ね100から200。個体のレベルだけなら時に黒狼をも凌ぐほどだ。そしてそのレベルの幅広さからわかるように、強さの個体差も大きい。


 彼らは大きい個体ほど弱い、という特徴を持ち、15メートル級のシャドウズはブレスしか吐いてこない。

 逆にレベル200、つまり5メートル級のシャドウズは、通常のブレスに加えて最上級獄炎魔法を放ってくる。 

 単なる砲兵レベルのレベル100個体に比べるとその脅威度は桁外れで、更にこれがベビィとの戦いの最中に横槍のように飛んでくる。

 ベビィも、シャドウズも、メタ・サラマンドラの活動時間が長くなるほど高レベルの個体が生み出される傾向が強い。


(それはつまり、戦いが長引くほどジリ貧になるということじゃ。真理魔法の投入は恐らく経験則からそれを見越してのことなんじゃろうな)


 わかっている限りの戦力を頭の中に思い浮かべながら、アーサーは戦況を分析する。

 現在、この平原において展開されている戦線は以下の通りだ。


 ①火山から這い出てきたメタ・サラマンドラの本体。

 ゼロノアからの距離は約1.8キロで、マグマ流の先端からは300メートルほど奥の位置。

 戦線の最奥部からゆっくりと前進しており、予想到達時間は残り15分から20分ほど。

 ただ歩行しているだけのため現時点では本体に脅威はないが、本体からマグマが零れ落ちる度にモンスターが生まれている。

 さながら歩く特大モンスタースポナー。産み落とされるベビィとシャドウズが尽きることは無い。



 ②火山流侵攻地帯。

 メタ・サラマンドラの位置からマグマ流の先端までのマグマ地帯には、主に2種類のモンスターたちが跋扈している。

 ひとつ目は元々火山に存在したロールキャベツなどのモンスターたち。こちらは噴火後に生まれたものではなく、噴火前から火山にポップしていたモンスターが噴火の衝撃を耐えた後、メタ・サラマンドラに押し出される形でゼロノアに向かっている。

 二つ目は言わずもがな、サラマンドラ・ベビィとシャドウズ。モンスターの総数から見て、9割方はこちらのモンスターだ。


 氷賢者ダリウスの言っていた「到来まで残り15分」という言葉から、アーサー達がライオネルの元に集まり前線に投入されるまでの5分を引くと、マグマ流のゼロノアへの到来時間は残り10分程度のはず。

 だがそれは、アーサーの肌感とは若干ズレている。


 実際にマグマの迫り具合を見ていると、その予測は恐らく「一切サラマンドラを間引かなかった最悪の場合」を想定したものなのかもしれない。

 なぜなら、間引きの開始前後で明らかにマグマの侵攻速度が鈍ったのだ。このままアーサーたちが間引きを頑張り続ければ、ゼロノアへの到着を数分は遅らせることが出来そうだった。


 現在、最前線であるマグマ流に転送され戦っている戦士の数はアーサーを含め122人。

 150人には満たなかった上に既に数人欠けたが、真理魔法の発動まで可能な限り間引きを続けるのが彼らの命をかけた大仕事だ。



 ③マグマ流が到達していない平原地帯。

 ここは一見すると安全なようで、元々平原に生息していたモンスターたちがマグマの脅威から逃げるために暴走スタンピードを起こしている。

 ゼロノアの防壁は堅牢で、平原のモンスターがどれほど襲いかかって来ようとも破壊されることはない。

 ただ、マグマ流への対処のために派遣される遠距離攻撃部隊は基本的に耐久力の低い魔導師や、機動力を捨て射程を確保した重弩おおゆみを構えるアーチャーが多く、暴れ回るモンスターを彼らだけで処理しながら戦うのは難しい。

 故に近接戦闘部隊から遠距離攻撃部隊に対して防衛隊を結成した。防衛隊は74名。遠距離攻撃部隊の人数を合わせると、200人近い大所帯となる。


 遠距離攻撃部隊がまず暴走スタンピードの殲滅に力を注いでいるため、順調に制圧は進んでいる。

 5分ほどもあれば制圧がひと段落し、メタ・サラマンドラ勢力との本格的な火力のぶつけ合いが始まることだろう。


(何かひとつイレギュラーが起これば、均衡は容易に崩れるじゃろう。()()が当たらんといいんじゃが……)


 緩やかに歩を進めるメタ・サラマンドラ本体。

 領域を拡げんとするベビィ、シャドウズの大群とそれをマグマ流の上で間引き続ける約120人の近接戦闘部隊。

 平原で狂乱する一般モンスターたちの処理に当たっている遠距離攻撃部隊123名と、それを支える防衛隊74名。


 そして、リラ・リロ商館にて真理魔法の発動を補助すべく立ち上がった、数多の魔導師たち。


 ゼロノア防衛戦線、戦闘開始より約2分。

 イレギュラーが起こることも無く、今のところは互いに順調な滑り出しを見せていた。

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お帰りなさい(・∀・)あまり無理はしないで下さいね。
久しぶりの更新嬉しいです!!!
見かけてから一気読みして続きがすごく気になっていました! 更新ありがとうございます!!!
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