レベルカンストのステータス(仮)
赤狼戦以来、つまり第15話ぶりのステータス回になります。
なので第15話時点のステータスを前書きで乗せておきます。比較して楽しんでもらえれば。
ちなみにステータス表記の違いは今回の大型アップデートによるUI改善です。ほんとですよ。
PN:スクナ
Lv:21
種族:鬼人族
職業:
所持金:48690イリス
ステータス
HP:299
MP:25
SP:156
筋力:56
頑丈:39+20
器用:74+2
敏捷:62 +2
知力:5
魔防:5
幸運:50
残りステータスポイント:65
装備
武器:-
頭:鉄板の鉢金
胴:鎖帷子
腕:鉄板の篭手
脚:ベルト付きの革ズボン
靴:鉄板のグリーブ
スキル
《打撃武器》熟練度:55
《投擲》熟練度:40
《探知》熟練度:10
《片手用メイス》熟練度:5
《餓狼》熟練度:-
「とりあえず、このゲームのステータスに関しては多分公式のウィキとかを見てもらうのが早いんだけど……私が選択してる鬼人、あっこういう角の生えた鬼みたいな種族ね、この鬼人族は簡単に言うと物理に強くて魔法に弱いって感じ。攻防共にピーキーなのが特徴かな」
ステータスを見せると言っても、まずはその内訳を理解してもらわなきゃ始まらない。
鬼人族の特徴はなんと言っても物理に強く、魔法に弱いというその一点につきるだろう。
メリットは筋力、頑丈、器用、敏捷という4つの物理ステータスに加えて、HPとSPという全プレイヤーに必須のステータスが3割ほど伸びやすくなるという破格の成長性。
そしてデメリットはMP、知力、魔防といった魔法ステータスの初期値が0になり、更に4分の1しか伸びなくなるという悪魔的な代償だ。
「ただ、このゲームだとレベルアップごとにボーナスとして自由に割り振れるステータスが5ポイント貰えるの。例えば鬼人族は魔防がぜんぜん上がらないから本来は魔法にめちゃくちゃ弱いんだけど、ボーナスでしっかり補ってあげれば結構どうとでもなっちゃうんだ。ただやっぱり得意不得意はあるから、鬼人族を選んで魔法を使うとかは無駄が多くなっちゃうね」
『ふむふむ』
『ポイントの割り振りで一生後悔しそうなゲームだ』
『プレイスタイルに合わせて種族を選ぶのかぁ』
『鬼っ娘好き』
『聞いた限り鬼人族ってビルドの自由度低そうね』
『そういうシステムだと極振りとかやりたくなるマン』
『スクナはなんで鬼人族にしたの?』
「私が鬼人族にした理由? 戦うならやっぱりインファイトがいいじゃない? 殴った感覚が手に残るのがいいよね」
『草』
『うーん正直』
『ひえ』
『やっぱりバーサーカーじゃないか!』
『クラッシャーだクラッシャー』
『バリバリヘルスくんの犠牲は必然だった……?』
「あれはリンちゃんが壊していいって言ったせいだし……力を見せるならやっぱり中途半端に点数出すより派手に壊した方がいいかなって」
私だって常に壊す方向で考えてる訳じゃない。
あの時だって2回の挑戦を両方とも上手く使えばカンストで止めることもできた。
リンちゃんに本気でやっていいって言われたから、加減せず壊したってだけ。
ただまあ……力で物を破壊するってことが本能的に楽しいという感情はある。今は制御下に置けるだけで、生まれつきそっちのケがあるのは事実だから。
「さてと、じゃあステータスを見てこっか。装備の紹介もある程度一緒にね」
────
■ステータス■
名前:スクナ
種族:鬼人族
職業:鬼神子
所持金:13264411イリス
ステータス
LV:100★(解放前経験値:127522)
HP:1339
MP:23
SP:675
攻撃力:368
防御力:121
筋力:879 (546)
頑丈:227 (141)
器用:357 (222)
敏捷:439 (210)
知力:0
魔防:70
幸運:210
残りステータスポイント:90
───
■装備■
武器:簒奪兵装・逢魔
頭:月椿の独奏
胴:赤狼装束改・鬼哭ノ奏《4点一式装備》
腕:-
脚:-
靴:-
装:黒狼のチョーカー
装:鬼灯の簪・銅
装:星屑のピアス
特:名持ち単独討伐者の証
イベント:鬼灯の腕輪 ※レンタル
───
■スキル■
※スキルの選択が可能です(残り3)
C《打撃武器》熟練度:500★
M《打撃の極意》熟練度:483
C《片手用メイス》熟練度:341
C《素手格闘》熟練度:469
R《鬼の舞》熟練度:終式発現
R《鬼血》熟練度:-
R《餓狼》熟練度:-
C《投擲》熟練度:741
C《探知》熟練度:1000★
C《瞬間換装》熟練度:200★
───
■称号■
《赤狼の誇り》
《鬼神の愛し子》
《打ち上げ花火》
《打撃武器プロフェッショナル》
《七大災禍》
────
「お〜……ボーナスポイントだけざっくり振ってたからあんまりちゃんと見てなかったんだけど、改めて見ると結構ステータスガッツリ上がってるなぁ……」
当然ながら筋力はずば抜けてる。逢魔の装備にも赤狼装束改の装備にも、500を超える筋力値が必要だったからだ。
逆に武具の装備に必要のない、余りまくっていたボーナスポイントのいくらかを敏捷と器用に振ったからか、全くの無振り状態の頑丈と比べるとどのステータスも高く見える。
それにしてもレベルが94から100に上がっただけにしては異様な程ステータスが増えてるような気もするけど……。
少なくとも戦いの前、筋力値は700台だったのが、レベルアップで多少上がったにせよ800後半まで爆伸びした理由はなんだろう。レベル100のボーナス?
スキルと称号は戦闘前と大枠は変わってない。ただ、ノクターンとの戦いが大きな経験値になったのは確かなようで、戦闘中に使ったスキルは平均して100近く熟練度が伸びてた。
《鬼の舞》の終式発現って表示は見たことないな。これまでは他の熟練度が関係ないスキルと同じでハイフンひとつだったような気がする。
『知 力 0』
『↑あまりにも草』
『数字がいっぱいXDDD』
『SPって何?』
『基準がわからんけどパッと見筋力高くない?』
『()の数字はなんなの?』
『★マークはカンストってことかな』
『称号の一部が不穏すぎる』
『ゲームでさえ……!』
『清々しいほど物理特化だ』
『七大災禍とは』
『スキルの横にレアリティ表示されるようになったんやね』
『ファンタジーなのに武具の名前が漢字ばっか』
『簒奪兵装って名前が怖すぎる』
『解放前経験値?』
『UIが心なしか見やすくなってるな』
「ちょこちょこ改修されてるのかもね。筋力はかなり力を入れて育ててきたから偏ってるのは確かだよ。MPと知力は装備の影響で下がってるはず。SPはいわゆるスタミナだね、走ったり戦ったりアーツを使ったりすると無くなって休むと回復するやつ。えーと、カッコの中は多分基礎ステータスの元の値じゃないかな。私の装備には特別な素材が使われてて、物理系の基礎ステータスを1.4倍にする効果があるからさ」
『ほーん』
『なるほど?』
『数値の高さはよくわからんね』
『でも見た感じ敏捷以外は1.6倍くらいない?』
「そうなの? うーん……あっ、ホントだ」
パッと見だといまいち把握しづらいけど、確かに割り算をしたらそのくらいの数字が見えてきた。
敏捷だけは2倍以上あるけど、これは赤狼装束の特殊効果で80くらい後乗せされてるからその差分だろう。
「敏捷は装備で補正されてるからだね。でも確かに1.6倍あるな。なんか全体的に私の記憶よりステータス高いし……なんでだろ」
今日に限ってはリスナーの大半がWLOを知らないのもあって、首を傾げる私に対して色々な意見が飛んでくる。
その中でもハッとさせられたのが、こんなコメントだった。
『職業変わってない?』
『職業補正だと思う』
「ああ! そう言えば戦闘中に転職したんだった! 教えてなかったねそういえば」
《童子》から《鬼神子》へ。
レベル90を超えたことで、特殊職業が進化した。元々職業というのは微量ながらステータスに補正をかけるものだから、ステータスが強くなったのも納得が行く。
《童子》だった頃は数値としてはホントに誤差レベルの補正だったから、職業に就く意味ってホントにあるのかなぁなんて思ったものだ。
「《鬼神子》のステータス補正はどうやってみればいいのかな。あ、タップすれば見られるな。えーと『物理ステータスの基礎値が1.2倍になる』。うん。……うん?」
『理解を拒むな』
『サラッととんでもないこと言った?』
『面白い顔で止まったな』
『1.4倍と1.2倍で合わせて1.6倍!』
『↑なるほど倍率は加算タイプか』
『乗算だと1.7倍近くなるから加算ぽいな』
『このゲームのステータスがよく分からないけどすごいのかな』
『基礎値が上がるのヤバくないか?』
「えーと……このゲーム、武具の装備に基礎ステータスが絡むんだ。色んなバフがあったりして瞬間的にステータスが上がることはあるんだけど、そういう一時的な強化じゃダメなんだよ。んでもって、筋力が高ければ高いほど強い武器を持てるし強い防具を着けれたりするの。だからね、基礎ステータスを底上げするって効果はそれだけで数値以上の価値を産んでくれるんだ」
私の本来の筋力値はカッコの中に記載された546だけど、実際には879まで底上げされている。
筋力値が300違う。その間に存在する拡張性は途方もなく大きい。宵闇と逢魔の間ですら400しか要求筋力値が変わらないのだから。
鬼人族の種族専用装備素材である鬼哭ノ紬がもたらす1.4倍という破格の倍率ほどじゃないにせよ、職業って基本的に特定の武器の攻撃力を上げたり、アーツや魔法の燃費を良くするものだ。
基礎ステータスの底上げができてしまうということが、単なる火力上昇以上の価値を持っているのは明らかだった。
「……ま、いっか! なんか基礎ステータス高くなるのも今更な感じだし!」
『草』
『草』
『考えるのやめてて草』
『これは知力0の風格』
『爽やかで草』
『嫌いじゃない』
『強くなるのはいいことだ』
「そうそう。また装備も更新するだろうし、高くて困ることないし。とりあえず誰かウィキにこの情報書いといてもらえない?」
『任せろ』
『いやここはワイが』
『いやいや俺が』
『なんの私が』
『編集合戦すな』
《鬼神子》の性能についてメニューカードの記載を配信に写して、情報を共有しておくことにした。
新規のプレイヤーも増えるし、そしたら当然鬼人族のプレイヤーも増えるし、その中の一部は《童子》を選ぶこともあるはず。
間違いなく強力な効果だけど、魔法ステータスを一切育てられないという欠点を持つのが《童子》であり《鬼神子》。そのデメリットに釣り合う成果なのかを判断してもらうためにも、こういう情報は共有すべきだ。
『流れたから教えとくけど解放前経験値ってのは経験値の貯蓄。レベル上限解放すると一気にレベルが上がる仕組みだよ』
「んお、ありがと、解放前経験値ってそういうことなんだ。あんまり経験値を数字で意識したことないけど、レベル100になってもまだ余りあるくらい月狼戦でたくさん経験値貰ってたんだね」
これまで以上に有識者が多いおかげで、色々と情報が拾えてありがたいな。
と、ここで気になるコメントがあった。
ついに来た、と言ってもいいかもしれない。
『赤狼装束って一式セットの装備じゃなかったの?』
それは核心を突いた質問だった。
これまでステータスを直接リスナーに見せなかった最大の理由。
装備欄を見ればわかってしまうからと、装備強化時も装備を外して隠し通してきた私の最大の秘密だ。
これに関しては突っ込まれたら答えていいと、リンちゃんや子猫丸さんと相談済み。はるるも「そろそろいいんじゃないでしょうか〜」と言ってくれた。
「よし、じゃあ気付いてくれた人もいるみたいだし、そろそろ打ち明けてもいいかなって感じだから答えます。質問の内容は、赤狼装束は一式セットのネームド装備の筈なのになんで頭装備が違うの? ってことだよね」
『言われてみると確かに』
『そういやそうだな』
『一式装備ってなんか某狩りゲーみたいね』
『ネームド装備ってなんですか?』
『↑固有の名前を持ってるボスの素材で作った装備のこと』
『月椿の独奏ってなんか綺麗ね』
『頭に着けてる花飾りがソレか?』
「ネームド装備はそう、フィールドに不定期に出てくるめっちゃ強いボスの素材で作った装備のこと。動画のアーカイブでいうと、赤狼、黄金の騎士、巨竜、それから最新の月狼辺りがそれにあたる大ボスだね。そのボスが初回討伐時に確定で、それでなくとも低確率で落とす《魂》ってレアドロップがあるんだけど、それを使って作った装備は別次元の強さになるんだ」
殺人姫・ロウが有する、ボス相手でさえ状態異常耐性を下げ続ける効果を持つ《誘惑の細剣》。最大クラン・竜の牙を束ねるドラゴさんが持つバ火力大剣《天空剣・蒼穹》。
ネームドボス自体は既に色んなところで狩られていて、初回討伐の確定ドロップのことを考えると少なくとも同数以上のネームド装備は作られている。回数を重ねればレアドロップとしての入手もあるだろうから、実際にはかなりの数が流通してるはずだ。
でも、私のコレはその中でも別格。
サービス終了まで使い倒せるであろうぶっ壊れ効果を持つが故に、これまで秘匿してきたネームド装備。
「赤狼装束は《魂》の籠ったホントのネームド装備じゃないんだ。私のネームド装備は最初からこの《月椿の独奏》だけ。効果はね、凄いよ。装備者のあらゆるSP消費を半分にしてくれるんだ。わかりやすく言うと、装備するだけで実質スタミナ2倍ってこと」
『は?』
『え?』
『は?』
『草』
『ほぇ』
『嘘やろ?』
『わあ』
『は?』
『lol』
『冗談でしょ』
『ワロタ』
ある種の静寂に近い困惑が、リスナーの間に広がっていく。
私が投下した爆弾が破裂したのは、それから10秒くらい経ってからのことだった。
なまじぶっ壊れ装備を主人公に与えたせいで迂闊にステータスを公開できなくなった作者の末路が230話ぶりのステータス回でした。今後はもう少し増やします……。