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怪童・すうぱあ

「紹介するわ、ナナ。この子がすうぱあよ」


 事務所の玄関まで来訪者を迎えに行って戻ってきたリンちゃんは、そう言って最後のチームメイトを紹介してくれた。

 まずひと目見て思ったのは、大きい女の子だなぁってこと。流石にトーカちゃんよりは小さいけど、それでも180センチは超えている。

 体つきは相当がっしりしていて、ぱっと見の大きさはトーカちゃん以上かもしれない。

 でも筋肉がたくさん付いている訳ではないから威圧感はなく、少し眠そうな瞳も相まっておっとりとした雰囲気があった。

 髪型はポニーテールで、色は茶色。これは多分染めてるっぽいかな。


「ボクはすうぱあ。えっと……そう、歳は14歳です」


「よろしく……って14歳!?」


 仲良くなれそうかなーなんて思っていた私は、彼女の発言に思わず目を見開いた。

 この恵まれた体格で中学生なんだ。トーカちゃんでも中学の頃はここまで大きくはなかったのに。

 ちなみに声はとても可愛らしい。うーん、ギャップの塊って感じだ。

 それに、びっくりした理由はもうひとつある。


「15歳未満でもプロゲーマーってなれるの? ほら、アルバイトとかって中学生ダメじゃん?」


「特別なプロライセンスがあれば大丈夫よ。ちゃんと取らせてあげてるわ」


「ほー……プロライセンスって私持ってなくない?」


「成人してるなら申請だけで取れるわよ。ナナのはとっくに私が申請しておいたわ」


「なるほど」


 そもそもプロライセンスというのは『eスポーツ協会的な団体に登録されてる公式大会』で賞金を受け取るために必要なものらしい。

 例えばゲームによってはそもそもeスポーツ協会的な団体に登録されていなかったり、あるいはプロでも非公式大会メインで出ていたりすると、ライセンスを持ってない人も結構いるんだとか。

 彼女が所得したのは小中学生用の特別なライセンス。「この人の人柄なら賞金を渡しても問題ないですよ」というお墨付きのようなものみたいだった。


「あ、なんかほっといちゃってごめんね。私は……えっと、この場合はナナって言えばいいのかな。これからよろしくね」


「よろしくお願いします」


 脱線しちゃった話を戻して、すうぱあちゃんと握手する。

 配信外なのにプレイヤーネームで答えるのって、少しむず痒い感じがするね。


「すうぱあちゃん……だと呼びづらいから、スーちゃんって呼んでいいかな?」


「はい、大丈夫です。ボクもその……ナナ、と呼んでもいいでしょうか?」


「全然いいよ。チームメイトになるんだもんね。なんなら私よりスーちゃんの方が上手いだろうし、私が敬語を使うべきかも?」


「いえ、そんな、困ります……」


 おずおずと申し出てくる姿は、とても海外に武者修行に行っていた女の子とは思えないほど謙虚な感じだ。

 アルバイト時代、高校生といえばやんちゃでなかなか年上に丁寧語を使えない子も多かった。けど、スーちゃんは中学生だけどその辺はちゃんとしてるタイプらしい。

 サクちゃんもそこは割と雰囲気で通してるところがあったからね。まあ、それは私もそうなんだけど。


 というか、バイトを始めたころの私はそもそも丁寧語を使ったことがなくて、場所によってはタメ口が漏れてクレームを貰ったこともある。

 毎日の仕事の前に親切な先輩から「せめて雰囲気だけでも丁寧な口調を」と仕込まれたくらいだったのだから、中学生で気を使えるだけ立派なものだと思う。


「うん、まあ心配はしてなかったけど、2人ともちゃんとやってけそうね。すうぱあも、何かプレイで改善して欲しいことがあったら遠慮なく言っていいからね。ナナはそういうとこ素直だから」


「はい、わかりました。ビシバシいきたいと思います」


 リンちゃんの言葉に、スーちゃんは素直に頷いた。


 まだ出会って数分しか経っていないけれど、スーちゃんからはとても不思議な感じがする。

 なんというか、普通の人とは存在感が違う。

 これまで出会った中だと、多分アーちゃんや黒曜に似てる感じ。

 具体的にどう似てるのかと聞かれると困るんだけどね。


「そんなに見つめられると恥ずかしいです」


「あ、ごめんね」


 ちょっと俯いたスーちゃんに、私は自分がずーっとこの子を見つめていたことに気がついた。


「ええと……とはいえ、まずは合わせてみないとですね。ナナはVRシューティングは初めてなんでしたっけ?」


「似たようなシミュレーションはやったことあるけど、対人でオンライン対戦っていうのは初めてだね」


「了解です。ボクもナナのWLOのプレイは見ました。体幹のブレのなさと重心移動の滑らかさ、アクロバットのセンスに精密な遠距離狙撃能力。正直今からでも本格的にVRシューティングの世界に来て欲しいくらい、ずば抜けた才能がナナにはあると思っています」


「そうなの?」


「はい。今回ボクがWGCSの予選に参加するのを決めた理由の大半は、ナナにあるくらいですから」


「そう言われると悪い気はしないけど」


 スーちゃんはどうやら、私のことを随分と高く買ってくれているらしい。

 とは言っても私はVRシューティング自体は初心者な訳で、いくら才能があると言われても今回は足を引っ張る側になるんじゃないかとは思っている。

 何せ大会の規模が規模だ。付け焼き刃の知識だけでどうにかなるものじゃないと思う。


「とりあえず、まずは武器の試し撃ちをしましょう。感覚を掴むにはそれが手っ取り早いです。何の武器を拾って戦うことになるかはわかりませんが、本番まで時間がないので2~3本メイン武器を決めてもらいます」


「なるほど、りょーかい」


「燈火もすぐ来るわ。別の部屋に4人分機材を用意してあるから、ナナとすうぱあは先に行っててちょうだい。フレンド登録は済んでるから」


「ほーい」


「了解です。ボクたちは演習場にいますので合流をお願いします」


 リンちゃんの一声で、私とスーちゃんは早速フルダイブをすることになったのだった。





 ログインして降り立ったのは映画とかで見たことがある宇宙船の中を思わせるロビーのような場所で、これは動画で見た通りだった。

 とはいえ、周りにある計器はどれもこれも飾りみたいで、触っても全く反応はしてくれないんだけどね。


「ナナ、お待たせしました」


「スーちゃん?」


 突然現れた大柄な女性キャラ。確かキャラの名前は「リトゥ」だったかな。動画の知識を参考にすると、中射程のアサルトライフル系武器に適性を持っていたはずだ。

 ゼロウォーズのプレイアブルキャラクターは12人いて、それぞれ得意な武器と射程が違うという特徴がある。

 得意な射程の武器を持つと武器性能がアップして、苦手な射程の武器を持つと武器性能がダウンする感じで、武器の得意不得意はこのゲームではとても重要だ。

 私が使っている「ルーファ」という黒髪の女性キャラは長射程、とりわけスナイパーライフルに適性があったりする。

 ちなみに私がこのルーファというキャラクターを選んだ理由は単純で、昔リンちゃんと一緒に《ゼロウォーズ》をやった時に使っていたキャラがこれだったからだ。


「はい。付いてきてください、演習場はこっちです」


「船の中なんだ」


「そういう設定ではありますね」


 スーちゃんの後ろについて歩いていくと、通路に足を踏み入れた瞬間に演習場にワープしていた。

 プレイ動画でわざわざ演習場を使っているシーンはなかったし、武器解説系の動画でも最初から演習場にいたものばかりだったから、こういう移動の仕方があるのは初めて知ったな。


 到着した演習場は、動画で見たそのまんまの場所だった。

 武器や道具がひと通り置いてある区画があって、演習場全体に試し撃ち用の的が大小様々に並んでいる。

 角度をつけて撃てるような高台があったり、普通に空に浮かんでいる的があったり、動く的があったりと、撃ち合いが発生する大抵の場面を想定した演習場がそこにはあった。


「壮観だねぇ」


「慣れるとそうも思えなくなりますが、確かにボクも最初は感動しました。さて、早速武器を触ってみましょう」


 私の言葉にサラッと反応したスーちゃんは、時間が惜しいとばかりにすぐに武器を選びに行く。


「ナナの選んだ《ルーファ》は長射程を得意とするキャラですが、狙撃専門の殺し屋であるというキャラ設定上、スナイパーライフルを最も得意とします。……というのは流石に理解してますよね?」


「うん、キャラ設定は理解した上で選んでるよ」


「よかったです。ルーファに関してですが、スナイパーライフルを持った時の狙撃性能は紛れもなくトップクラスです。スナイパーライフル装備時限定ですが『ブレ・反動の軽減』『可変8倍スコープの付与』『ヘッドショット時に威力1.5倍』、加えてリロードこそ必要なものの『スナイパーライフルの弾薬消費無効』の特性まで付きますからね。その代わり、短射程も中射程も苦手武器になります。この性質上、使い手には俗にいう陰キャプレイヤーが多いです」


「スナイパーとしてはそれで正しいはずなんだけどねぇ」


「長距離から一方的に撃ち抜かれるのがストレスという人は多いですからね。加えて、狙撃以外の面は軒並みしょぼい性能しかないため、チームプレイ時の後半戦で役割が乏しくなりがちです。正直な話野良では嫌われますし、大会でもめったに見ないキャラではありますね」


「まあそうだろうねえ」


 実際、昨日の動画鑑賞の中でもその風潮は見て取れた。

 動画のネタとして使われているシーンはいくつもあった割に、大会などのみんなが全力をぶつけ合う場面で使われているシーンはほとんど見受けられなかったからだ。

 その反面、割と愛好家も多い印象ではあった。

 ガチでやるなら使わない、でも遊びで使うなら楽しい。ルーファの評価というのはだいたいこんな感じなんだと思う。


「まあ、ナナがそのキャラで行きたいというのなら構いません。ルーファは短射程も中射程も苦手なおかげで逆にサブウェポンを選ばないのと、スナを使っている限り弾切れの心配がないので、弾持ちの良さを活かして荷物持ちにもなれますから」


「弾薬とか回復アイテムの運搬係ってことだよね?」


「そうです」


 バトロワ系シューティングゲームでは、ひとりのプレイヤーが持てる物資の数は限りがあることが多い。

 弾薬、回復アイテム、投擲アイテムなどなど、膨大にあるアイテムの中から必要なものだけを選別して集めていくのだ。

 落ちているアイテムだけでなく、殺した相手からも物資は手に入るため、戦闘を繰り返してどんどん装備を充実させていくのがこのジャンルの醍醐味といってもいいだろう。

 ルーファはメイン武器であるスナイパーライフルの弾消費がないから、他のキャラに比べてアイテムに空きが生まれやすい。そこをチームメンバー用の物資で埋めることで、サポートもこなしてもらうというのがスーちゃんが説明してくれた戦術だった。


「とりあえずまずは《DD》を使いましょう。なんだかんだで使いやすいのとよく落ちてるので、本番でも高確率でこれを持つと思いますから」


「あんまり使われてるところは見なかったけど」


「ルーファ以外が持つと産廃ですから、仕方ないです」


 スーちゃんから渡されたライフルを受け取って、そのリアルな重さに少しびっくりする。

 この細身のスナイパーライフル《DD》は、《デッドリィデーモン》の略称であるらしい。

 極めて精密な射撃に定評があるものの、スナイパーライフルとしてはかなり威力が低い。そのくせ連射性がかなりお粗末で、とにかくダメージ効率が悪い。

 ヘッドショットに補正がかかるルーファ以外が手にすると、どうしても他のスナイパーライフルに劣ってしまう。

 ちなみにそういう「特定キャラ以外が持つとしょっぱい性能になる武器」は他にもあって、それらは『実質○○専用武器』なんて揶揄されるらしい。

 つまり《DD》なら『実質ルーファ専用武器』なわけだ。

 ついでに言うと、《DD》よりもずっと強力なスナイパーライフルがあるというのも、この武器が弱いといわれる所以だった。


「今から指定する的を狙ってください」


「おっけー」


「では行きますよ」


 ライフルを持つ、その感覚にどこか懐かしさを感じながらスーちゃんの指示を待つ。


「まずは右前方、赤の的を」


「了解」


 まずは一射目。この武器の特性を掴むために、ライフルを構え、きちんとスコープを覗いた上で撃つ。

 放った弾は綺麗に的の頭を貫いた。ダメージエフェクトが数値で《135》と表示されているから、基本HPが100のゼロウォーズではヘルメットや防弾チョッキ抜きなら即死級の威力は出ていることになる。

 とはいえ、ヘッドショットで1.5倍の威力が出ていてこのダメージと考えると、やっぱり攻撃力は控えめだと言わざるを得ない。

 というのも、防弾チョッキを着ている敵は基本的にHPが倍になっているような扱いになるため、135ダメージでは敵をワンショットキルできないからだ。

 しかもこれは難易度の高いヘッドショットを決めた場合の話。大抵は良くて胴体に当たるだけだし、胴体に当たった時のダメージはいいとこ50くらいだから、連射性の低さを考えるとダメージの効率は最悪だ。

 

 とりあえず、威力以外のところに意識を向けよう。

 反動は想定内。

 再装填時にやや右斜め上にブレるけれど、これも想定の範囲内だ。

 弾のブレはほぼ無いけど、ほんのわずかに着弾点が想定の位置からズレていた。

 こういう微細な感覚は実際に撃ってみないとわからないなと思う。

 ま、このくらいなら修正は簡単だ。


「次、紫、青、黄色の順で」


「了解」


 指定された順にピタリと照準を合わせて、きっちりと撃ち抜く。速さより正確さ重視だ。

 武器の特性は把握した。

 確かに威力は低いけど、その分反動も抑えめで弾も思い通りに飛ぶ。射出音もスナイパーライフルにしては静かだ。

 総じて従順で素直な、とても扱いやすいライフルなのは確かだった。


「緑、赤、白、黒、虹色を」


「了解」


 指定の色の的を撃つ、撃つ、撃つ。

 狙い通りの場所を弾が綺麗に通過していく。

 ライフルが長年使ってきた武器のように手に馴染む。

 ああ、やっぱり私、狙撃武器って好きだなぁ。


「全弾ヘッショ……ナナ、本当に初心者ですか?」


「こういうのは得意なんだ。昔から、ずっとね」


「静止した的とはいえ、全弾で寸分違わず頭の中心を撃ち抜くのは流石に異常ですよ。ボクでもその領域に達するのには1か月はかかったのに」


「できないとは言わないんだね」


「このゲームでボクにできないことはないので」


 スーちゃんの言葉に宿る絶対的な自信。

 そのあまりに揺るぎない瞳に、私は思わずゾクリとしたものを感じた。


 私も詳しくスーちゃんの実績を知っているわけではない。

 でも、スーちゃんについて語られているネットの記事では「最強」とか「無敵」とか「チート使っても勝てないバグ」なんて呼ばれ方をしているらしい。

 昨日見ていた動画の中にも「野良マッチで出会ったすうぱあを討伐する系」の動画は結構あって、だいたい9割5分が負けていたくらいだから、その実力は疑いようもない。

 まだ相手視点でしか見たことのない、スーちゃんの実力。

 早く間近で見てみたいなと、私は心の底からそう思った。



「ナナ姉様ぁぁぁぁぁ!」


「あ、トーカちゃ……うぐっ」


 演習場とロビーを繋ぐ扉から全力で走ってきた少女を受け止める。

 低身長のキャラクターだけど、声が一緒だから間違いなくトーカちゃんだろう。


「お久しぶりです! ああ、その姿の姉様も素敵ですね……!」


「トーカちゃんが小さいと違和感あるね」


「たまにはこういうのもいいかなと! あと小さいキャラは当たり判定が小さいので」


「割と現実的な理由」


 トーカちゃんの説明に苦笑する。

 このゲーム、当たり判定に関してはキャラクターの輪郭がそのまま反映されるから、大きいキャラより小さいキャラのほうが弾丸の当たり判定は小さいのだ。


 これだけだと「小さいキャラ有利じゃん!」と思うかもしれない。

 でも、大きいキャラは大きいキャラで利点がある。

 まず、そもそも小さいキャラに比べて弾丸で受けるダメージがわずかに軽減されること。これ自体は小さいキャラだと「15ダメージ」のところが「13ダメージ」になる、みたいな軽微なものだ。

 重要なのはもうひとつの要素。それは強力な武器にありがちな強めの反動を、体感で5割ほど軽減することができることだ。

 そのため、大きいキャラは小さいキャラに比べて強力な武器の装備がしやすく、また扱いも容易になるというメリットがある。

 プレイヤースキルがあれば反動の制御もできなくはないけど、より簡単に制御できる方がミスは減る。

 そんな事情もあって、体躯の大きなキャラと小さなキャラはどちらも同じくらい人気があるみたい。

 特に上位プレイヤーは的が小さかろうが的確に弾を当ててくるから、上に行くほど大きなキャラが人気な傾向みたいだ。


「お待たせ。すうぱあ、ナナは使えそう?」


 お腹に抱きついて離れないトーカちゃんを撫でてあげていると、入口から最後のひとりが歩いてきた。


「射撃センスは期待を遥かに超えていました。この精度なら背中を任せられます」


「ふふ、貴女のお眼鏡に適ったなら十分ね。試し撃ちは終わったの?」


「いえ、まだ《DD》だけですから、ひと通り試したいですね」


 リンちゃんとスーちゃんがこのあとの予定について話している。

 リンちゃんが使っているのは服装からして「タイタニオン」というキャラだと思う。元は男キャラのはずなんだけど、リンちゃんのキャラクターはどう見ても女性のソレだ。


 それもそのはず。VRのゼロウォーズではなんと全キャラクターに「男女アバター」が存在するのだ。

 もちろん、「ルーファは女」「タイタニオンは男」のような基本設定はあるんだけどね。

 仮想空間技術の真骨頂と言うべきか、今どきの風潮に考慮してか、最近のゲームではこういう性差による違和感を無くすための措置が盛り込まれていることが多いそうだ。


 ちなみに仮想空間では女性が男性の、男性が女性のアバターを使う際には、身長を20センチ変化させたのと同じくらい違和感を覚える……らしい。

 キャラクターをマウスやコントローラーで動かしていた頃は、プレイヤーの性別に関係なく、どのキャラを使うのも自由だった。

 でもVRになったことで、「違和感のせいで使いたいキャラが使えない」という悲しい出来事が多発したらしい。

 身長まで変えてしまうと流石にバランス調整が困難だということで、せめて性別くらいは自由に変えられるようにしよう、という流れが主流となってきたんだそうだ。

 

 ちなみにタイタニオンの身長は元のリンちゃんと同じ、ルーファも私と変わらないサイズだから、4人の中でキャラとリアルの姿に極端な身長差があるのはトーカちゃんだけってことになる。


「じゃあ、ナナが良さげな武器を見つけたら今日はガッツリ合わせていくわよ」


「うい」


 射撃武器だけでだいたい30種類くらいか。どれも動画で見たからどんな弾が出るのかは想像できるけど、実際の反動とかは撃ってみないと分からないし、試し撃ちはしないとね。


「ボクも少し試し撃ちを……」


「あ、すうぱあさん、そしたら少しタイマンしましょうよ。金チョッキ割れた方が負けでどうです?」


「いいですよ」


 トーカちゃんとスーちゃんがそんな会話を交わして、お互いに遮蔽物となる壁の後ろに隠れる。早撃ち勝負と言うよりは読み合い勝負かな?

 どうやら2人は既に知り合いらしい。それも、割と気安い仲みたいだ。

 むしろ前日までスーちゃんと関わったことのなかった私の方がおかしいような気もする。


「ナナ?」


「ごめん、今行くよ」


 その後、私が良さげな武器を見つけるまでの30分ほどで、トーカちゃんは25回ほどヘッドショットを決められて完敗していた。

 完敗してさめざめと泣くトーカちゃんを、スーちゃんが心配するようにつんつんと突っついていたのがちょっと面白かった。

活動報告も投稿しましたが、ニコニコ静画 (マンガ)さんでコミカライズ版の連載が今日から始まりました。よければ読んでみてください~!

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― 新着の感想 ―
[一言] 漫画を読んで面白いと思い読み始め、時間を忘れて読んでしまいました。 とても楽しい作品で、今後の展開に期待しかありません。 更新を楽しみにしています!
[良い点] 漫画から来て一気読みしました。面白かったです。続きも楽しみにしています。
[一言] 更新ありがとうございます! ニコニコ漫画の方も読ませていただきました。気長に更新をお待ちしてます。
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