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エリシアその3

慌ただしい侍女としての生活から三年が、過ぎた。

昼食を終え、人心地のエリシアとリル。階下に降りようと、廊下の最奥…大階段に向かい、歩き合う。エリシアが、突然!大声を上げる。「あぁ!!!。」驚き、戸惑いつつ、「ど、どうしたの?!」尋ねるリル。その声を無視して、エリシアが、階下に走り出す。慌てて、後を追うリル。地下から現れた〈六の剣〉。かなり…オーラが、低い。オーラを感知出来るエリシアが、近づき、恐る恐る…声を掛ける。

「また…拷問でも…してたの?!。」「んうん…?!まあーそんな処だぁ!。」はぐらかされ、きょっとんとするエリシア。其処へ!面前と走って来る〈六の次代〉達。「〈次代〉か!。」のほほんと言う〈六の剣〉。荒い息を整える〈六の次代〉達。皆…憔悴しきっている。それでも…〈六の剣〉の姿を確認して、安堵の表情を浮かべる。小首を傾げるエリシア。リルも分からない顔をしている。「哨戒は、済んだのか?」「はい!。」〈六の剣〉の問いに、〈六の次代〉が、答える。「少し、休む。」「はい!。」自室に向かう〈六の剣〉。その後を〈六の次代〉達が、続く。エリシアは、ぼんやり…見送る。リルは、「ほーんと、人騒がせなんだから!。」「……う、うん!。」答えるも…〈六の剣〉が、心配で、たまらないエリシア。なまじ…オーラが、感知出来る故に!!!。


〈魔王シセリウス〉の治世なって、早200年。ここ100年は、大きな動乱も無く…平和な日々。それでも…〈剣〉達は、辞めない。〈拷問〉と〈同衾〉を!!!。〈六の剣〉曰く、必要だからと…。〈剣〉達は、皆…美しい…。力[オーラ]も有る。それ故に!…。〈魔族〉の…〈魔王シセリウス〉の代わりとして犯される。人なら耐えられない苦痛。〈剣〉は、それでも…自死は、許されない。死さえも…〈魔王シセリウス〉の意思に従うーそれが〈剣〉。


一抹の不安を抱えつつ…侍女としての仕事に励むエリシア。エリシアと同じく…オーラを感知できるミラは、優しい笑顔を称えながら…「エリシア!心配いらないわ!。」「う、うん!!」応えるも…不安は消えない。「まぁー!いつもよりオーラが、低いけど…。お歳だから…きっと!。」《お年?!》……確かに!会った時と、全く!変わらない姿をしてるけど…〈剣〉様と一部の〈次代〉様は…。

〈剣〉は、〈シセリウス陛下〉に謁見し、正式な〈次代〉になると、歳を取らない。大体…二十代半ばまでに行う。ちなみに…〈六の次代〉は、謁見済み。まぁーどういう理由で、歳を取らないのかは分からない。誰も教えてくれない…て言うか、秘め事の為、教えられないのが本音。まぁー知りたいとも思わない。いつも…のらりくらりの〈剣〉達の相手は大変!!!。着替え中だろうが、食事中だろうが、お茶の時間だろうが、お構いなしに…平然と、拷問や同衾の話をする。年頃の女の子としては、気持ち悪いやら…恥ずかしいやら…複雑な心境である。とは言え、何時もの事!。慣れれば、無視出来る…とは、言えない。余りにも…生々しくて……。結婚し、子供が、出来れば、慣れる…のだろうか?……思い悩むエリシア。「エリシア!大丈夫?!。」リルが、心配そうに声を掛けてくる。「う、うん!!………だ、大丈夫………。」「ふぅー!。」息を整え、仕事に励む。考えても仕方ない事。この先も…何も変わることがないのだから。そう…自分に言い聞かす。

それから半月が、何事もなく過ぎた。

明日は、いよいよ…姉の元に…故郷に帰る日。一月の休みを貰った。とは言え、実質は、八日程。〈テルアデス〉で、一日。そこから船で、九日。ヤフー車で、一日掛かる。姉や親戚に配るお土産を大きな鞄[キャリーバッグ]に詰め込む。詰め込みながら…姉の容態を心配する。最近は、庭を散歩するぐらい…元気になった姉。だが、油断は、出来ない。元気な日が長ければ長いほど、その反動で、倍以上寝込んでしまう。その繰り返しの日々。それでも…姉は、いつも…笑顔を見せていた。そして、私を気遣ってくれた…優しい姉。18までは、持たないと、影で、言われ続けてきた姉が、もうすぐ…なる。町を上げての盛大な宴が、催される予定。あくまでも予定に過ぎない。姉が寝込んでしまった、去年のように…中止なるかもしれない。どうか無事に過ごせますように〈大地母神スフィア〉に祈る。祈ることしか出来ないエリシア。歯がゆく感じ、何も出来ない自分を責めるようとするも、逆に姉に慰められてしまう。ほーんとうに!姉は優しい。幼い頃は、二つ年上の姉に甘えてばかりいた。毎日ように寝室を訪ねては、本を読んでもらったり、髪を結ってもらったり、一緒にお昼寝をしたり、また、摘んだ花を持ってきたり、花輪を持ってきたりもした。姉の婚約者カイルも…姉が、12になる迄は、よく一緒に訪ねて来ていた。12になると、中人と呼ばれ…未婚の男女が、二人きりになったり、寝室に入るのは、禁じられる。また、正式な婚約もこの時に行われた。

ばたばたばたーーー廊下を慌ただしく走る侍女達。気になり…顔を覗かすエリシア。〈六の剣〉の侍女の一人…マリアナと顔が合った。「どうしたの?」「〈六の剣〉様が、倒れられたの。」「えぇ!!!。またーー!!!。」つい三日前にも倒れた〈六の剣〉。その時は、《歳だからなー》と、けろりとした顔で、〈副官〉のソラに支えてもらった。「心配ないと思うけど、エリシアも来る?」「う、うん!」小走りで、〈六の剣〉の部屋に向かう。姉の身と重ねて心配するエリシア。《ほーんとうに!何も無ければ良いのだけど》不安が、過ぎる。

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