還る
〈先代六の剣〉との別れの時。皆、郷愁に駈られつつもそれぞれの持ち場に戻る。エリシアは、一人…〈先代六の剣〉を追いかける。
一時後。貫頭衣姿の〈先代六の剣〉が、〈六の剣〉、〈六の次代〉、〈六の刀〉達と共に…城門前に集まり、他の〈剣〉や〈次代〉、〈次代候補〉、〈刀〉達と、別れの挨拶を交わしている。其処へ…侍女姿になったエリシアが、ミラ達〈六の侍女〉達と共に!慌てて…集まる。名残惜しそうに、言葉を交わしている〈六の剣〉達。ぽろぽろと涙を溢している〈六の次代〉。〈先代六の剣〉が、抱き締めながら「また、会える。」「…は、はい!。」言葉を詰まらせながら答える。エリシア達に気付くも、「お時間です!。」〈十の剣〉の声に…「分かった!。」用意された輿に…いそいそと乗り込む。先頭を〈十の剣〉、後方を〈九の剣〉が、受け持ち…前方の担ぎ手四人は、〈十の、後方の担ぎ手四人は、〈九の刀〉が、受け持った。また、周りをそれぞれの〈副官〉と〈刀〉達が、取り囲む。「出発!。」〈十の剣〉の声と共に!輿が上がり、ゆっくり…立ち去っていく。残った者達は、深々と、頭を垂れている。そのまま…輿が、見えなくなるまで、動かない。大門が、ゆっくり…左右五人係りで、閉められる。郷愁の想いにかられながら…皆、それぞれの持ち場に戻って行く。
呆然と、暫し…眺めているエリシア。徐に…近くに居たオサダに、「〈先代〉様の故郷ってどこ?。」「!!!。」言葉を詰まらす。「?。」周り居る〈六の刀〉達は、皆…在らぬ方を見る。〈六の侍女〉達…いや、その場に居る者達、全員が、在らぬ方を見るか、そそくさと、立ち去る。その様に、異変を感じるエリシア。オサダを問い詰めようとすると、後退りをする。その間に入ったのは、〈六の次代〉。「〈先代〉様は、お還りになられた。」「?。」「人間の言葉で…」「〈次代〉様!。」オサダの制止の声を遮り、「死ぬと言うことだ!。」「!!!……嘘!そんな事………嫌!!!。」恐のき、わなわなと震えながら後退りする。踵を返すと、一直線に!閉まった大門叩き、必死に!開けようとする。「エリシア!!。」リルが、側により、止めようとする。振り払い、爪を立てて、必死に!開けようとするエリシア。ぼろぼろと大粒の涙を流しながら…血が滲むのをお構い無しに!!!。だが、びくともしない大門。崩れるエリシア。その様に!「ソラ!」〈六の次代〉が、動いた。
「〈次代〉様!」「構わない!」〈六の剣〉が間に入る。「時の狭間で、叱られよう。」「はい。」〈六の次代〉が、答える。ソラが、懐から左右に在る通用門の鍵を出し、〈六の次代〉に、手渡す。左側の通用門の扉を開ける〈六の次代〉。「急げば、間に合うだろう…。」「〈六の次代〉様!。」リルに助けられながら…よろよろと立ち上がると「ありがとございます!」一礼し、脱兎のごとく立ち去るエリシア。その様を見送る一同。リルは、手を振る。