1,カイトの出会い
〜カイトside〜
俺は、化け物だ。 2歳の時、力が目覚めた。それまでは、両親から可愛がられて育った。
俺が化け物とわかると、両親は周りからは俺を隠し、夜になると家から俺を追い出すようになった。
それが当たり前。それが普通。それが毎日。それで良かった。
人の心を読む力を授かった俺は、全て分かっていた。
「おまえなんか産まなきゃ良かった」
「おまえはいらない」
その言葉に嘘はなかった。
小学校でも変わらなかった。この青い目は目立ち、殴られ、蹴られ、5年間過ごしてきた。 自分以外のことなんて考えなかった。同じ化け物のことなんて考えなかった。
そのまま6年になった。
その日、俺は夕方から追い出されていた。
PTAで化け物の親と呼ばれたからとのことだ。
その日は、学校だけでなく家でも殴られていたから動こうにも動けなかった。
雨に打たれながら、家の前に座りこんでいた。初めて 死にたいと思っていた。
「あなたも化け物なの?」
頭の上から声がした。見上げると、そこには同じくらいの年の女子が紫色の目を光らせていた。
「……」
こいつは、なんだ?
そう思いながら見上げていると、いきなりその女子が腕に触れてきた。
「え……」
腕を見ると、殴られたあとは消え、痛みも引いていた。
「私、結城スミレ。触れた相手の心と体の傷を癒す力を持つ、あなたと同じ化け物です」
同じ……化け物……?
「同じクラスのカイト君でしょ。家に入れないんだよね。ウチにおいでよ」
話がいきなりすぎてついていけない。同じクラス?なんで家に入れないことを知ってる?ウチに来い?
「家って……遠いんじゃ……」
スミレは首を傾げる。
「遠いもなにも、隣だけど……」
「え?」
「じゃあ早く行こう!ウチのお母さんも良いって言うよ!」
「いや、でも……」
家って……
「ほら!」
無理矢理腕を引っ張られる。こいつは結局なんなんだ。
……まあ悪い気はしないかもな。
そうやって俺はやっと普通の人間になるためのスタートラインに立った。