東雲崩壊序曲 ー5ー
「一旦電話を切るから、帰ってきてから続きを」
昼休みの時間もあるし、早めに会長の耳に入れておかないと。
「田中君。ちょっと……」
戻ってみると会長はスマホを弄っていた。状況確認のためにヒーロー作戦を見ていたのかもしれない。
「拓兄さんが仕事を四日程休むってコネクトで連絡入ったんだけど、何か聞いてる?」
コネクトは連絡しあえるアプリでメールや電話の上位番みたいな物だ。グループに分けたり、コネクト自体にゲームもあったり。ヒーロー作戦に取り入れられる情報もある。
「何も聞いてないけど……病気だとしても」
毎週金曜は『メタモルフォーゼ』の定休日。今日は金曜日だし、売上の高い土日を休むなんて余程の事だと思う。病気で休むなんてありえないんだけど。
「定休日を外すと、東雲との約束の日なのよ。これって何か関係あるんじゃないの?」
「えっ! それはないんじゃ……東雲は大騒ぎになってるみたいなんだけど」
俺はレムリアの名前を伏せて、東雲の現状を話した。商店街に構ってるのなら、今の状態を修正しないと。
「他の区には起きてないのね。運営のお知らせにお詫びとかバグの発生の報告はないんだけど」
ヒーロー作戦に入ると運営からの『お知らせ』という項目が度々出てくる。それは新しい区や所属が誕生したり、無くなるのを教えてくれたり、イベントの開催もそう。レムリアが勝手に始めたイベントも運営が後から追加してくれてる。
「東雲区に関する事は企業側の問題としてるみたい」
東雲のホームページにはリニューアルと書かれてたけど、運営も初めて聞かされたのかも。そんな事したら、ヒーロー作戦から撤退させられるかも。
「そう考えるとやっぱり、店長が休むのは東雲とは関係ないでしょ……っと、店長からコネクトが……」
けど、それを否定するような物が俺に届けられた。
『ヒーロー作戦から手が離せない状態になった。こんな都合で悪いんだけど、店を閉めるから、咲哉君もその間は休みになるから』




