秘密基地にスパイみたいに潜入? ー12ー
「こちらにお乗りください」
受付はツインタワーじゃなく、地下行きのエレベーターに行く事を促してきた。何も言ってないのに、行先が分かってるみたいだ。
俺と会長はエレベーターに乗るけど、受付は一緒について来ない。二人で行動させてくれるみたいだ。
「何なの……もしかして罠?」
「否定出来ないけど……誘き寄せる意味がないだろ?」
受付の態度は確かにおかしかった。岩男に紹介され、フローラのフレンド申請を見せた時にもあんな態度にはならなかったし。
「私が本屋を襲撃したとか、商店街側の人間だと知ったとか」
「それなら正義側に送られるか、その場で倒されてると思う。それに会長は触れられてないだろ?」
何かあるとすれば俺。百万人目のプレイヤーという事で、レムリアの存在を知ってるとか。運営が関係してるなら、俺のナビをレムリアがしてるのは承知のはずだ。
「エレベーターが止まったみたいだけど、あそこよね?」
着いたのは社員達がいたフロア……だと思う。けど、見学した時から一時間も経過してないのに、誰一人いない。フロアのライトも全て消えてるし、机にあったPC達だけが光を灯してる。それもキーボードを動かしてる音だけが聴こえてくる。
「罠というより、ホラー映画、ゲームの中に……」
「何でそこで止めるのよ! 怖がらせるつもりなら」
そういうつもりはないんだけど、PC達の光の中に人が立ってるんから。いつからヒーロー作戦はホラーゲームになったんだ。
「あそこに……」
「本当に止めてよ。指差した場所に誰か……いないじゃない!」
会長の目には見えてない。俺だけが見えてる。
「レムリア?」
何故かそう見えてしまった。髪型や顔が似てるんだけど、黒髪と黒の瞳。魔法少女の服じゃなく、俺と会長とは別の学生服。偽レムリアだとしても会長に見えないのはおかしい。




