秘密基地にスパイみたいに潜入? ー8ー
「貴方の扱いは戦闘員以下なわけ?」
俺だったら気にするところを、会長はズバッと岩男に言い放った。けど、そんなにダメージを受けた様子もなく、岩男は質問に答えた。
「戦闘員は道具扱いで、持ち主の延長でドアが開いただけ。俺の戦闘員では開かないから」
「……そうなんだ。もう見学は終了で構わない。この場所からでも移動短縮は可能なの?」
「東雲所属になれば可能だけど……見学終わるの早すぎません!」
岩男も驚いたけど、俺も驚きだ。まぁ、訓練所や居住場所を見ても仕方ないし、権利書がありそうなのは社員達がいるこのフロアか、もっと上の人間がいる場所。意表をついて正義側にあるかもしれない。
それにドアを開けようにも、岩男だとたかがしれてるし、会長と一緒に見学した事で移動場所も制限されてる。
「もしかして……咲哉さんもですか!」
目が凄く怖い。ここで断られると岩男に対するフローラ並び東雲の評価が下がるかもしれないわけだ。
「うん。就職とかまだ興味ないし、最初にこんな場所見せられると」
『クリスタルも趣味悪いし、堅苦しそうだし』
「そこまで言いますか……無所属からの後輩が出来ると思ったのに」
俺の言葉だけじゃなく、レムリアの言葉も岩男には届いたみたいだ。会長も謎の声が聞こえたみたいに、周囲を確認してる。
見学が俺一人になった場合、移動場所が増えたとして、無理矢理契約されかねない気がする。移動短縮で逃げる事も出来ないんだから。
「はぁ……エレベーターに乗りますよ。気分的にきつい方から出ていってもらいたいけど、受付を通したわけだし」
ぶつくさ言ってるけど、それは機密情報に近いのでは? 出口が別にあると言ってるようなものなんだけど。
2Dマで確認すると、受付の場所とは違い、エレベーターの場所は分かる。階段があるのも確認してる。それが地上に繋がってるといえば、そうじゃない。
そのままでエレベーターに乗ると、フロアが次々と変わる中、途中で階段は途切れてしまった。受付まで行かないのが分かる。
「あの……フレンドは!」
外に出ると、嫌がらせをしようとしてたくせに、未練たらしく引き止めてきた。それも俺じゃなく、会長を見てるし。
「無理ね」
豪速球で三球三振。申請を軽く避けられ、見学も早く切り上げられ、再度申請も拒否される。会長にとって東雲は敵だから仕方ないかもしれないけど。




