秘密基地にスパイみたいに潜入? ー5ー
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「ちょっと……間違えてるんじゃないの?」
岩男と一緒に東雲区に移動した後、向かったのは東雲ツインタワー。区の中で一番の高さとクリスタルで作られる一番豪華な建物。
ここが東雲の正義の味方、ヒーロー側の基地。俺と会長が何をしようとしてるのかバレたのか? シャイ婆もいるから、会長は警戒するかも。一度振ったわけだし。
「大丈夫。ちょっと待ってね」
ツインタワーの入口は一つ。岩男は怪人の姿で入る事はせず、それを解除した。筋肉モリモリなのが空気が抜けたみたいに萎み、ヒョロヒョロな体に。解除後は現実の姿に見えるんだけど、本当に痩せた感じのまま。裸だったのをスーツに着替えた。
「お疲れ様です。お客様をお連れのようですが?」
ツインタワーの前に建物があり、そこは受付用みたいで三人の女性が座ってる。同じ顔だからNPCだと思う。外観はクリスタル、内観もクリスタルとけばけばしい感じ。
入口以外にあるのは二つの扉。2Dマップからツインタワーに繋がってるのが分かる。
「えっ……タワーの一つが悪の基地だったりするわけ? 正義と悪が隣り合わせにいるなんて」
同じ区の正義と悪が争う事はないし、カジノでは協力関係にもなってるわけだしね。一緒にいるのなら攻め込む事は難しい。東雲が所属ランキングに入るようになった理由の一つかも。
「違う違う。両方ともヒーロー側で間違いないって」
「違うのかよ!」
俺のツッコミを無視して、岩男は真ん中の受付と会話を始めた。
「ちょっと」
岩男は手招きしてるんだけど、それは俺じゃなく会長に。申請されたのは俺なんだけど、印象が薄くなってるわけ?
「あの……誘われたのは俺ですよね? 扱い酷くないですか」
「そうでした! 雑に扱うのが当然みたいに思うんだろ?」
それは戦闘員と同じ顔だから? 一緒にいる時間が増える事で戦闘員と同じ扱いになるのが目に見えてくる。実際、俺は戦闘員なんだけどな。
「咲哉様はフローラ様のスカウト対象という事ですが、証明は出来ますか?」
俺はメニュー画面でフレンドを公開した。その中に岩男とフローラの名前が募集枠にあるのが確認出来る。
「少なっ! 悩む必要なくない?」
岩男は俺のフレンドの少なさに驚いた。会長しかいないし、枠一杯なら悩むだろうけど、滅茶苦茶空いてるからね。
「それはともかく、黒雪って言うんだ……俺とフレンドになりません?」
会長本来の姿なら別だけど、岩男から見ると変身前のおっさんの姿。さっきの会話だけで、俺をフレンドにするよりも積極的だし。
「確認しました。連れも一緒であれば、特定のエリアだけの見学になりますが」
連れというのは会長の事だろう。一緒じゃなければ制限がないというのなら。




