ハズレくじを引くのは俺ですか? ー13ー
「咲哉君は雪月の事が気になってるのか? そんな関係じゃないよ。近所に住んでた昔馴染みなだけさ」
「それだけですか? そんな雰囲気じゃなかったような」
「う〜ん……咲哉君に説得してもらおうかな」
やっぱり、何かあるんだな。あの必死な感じは告白が失敗したけど諦めないとか。深く聞いときながら、その説得は無理ですよ。
「雪月が向かった先には商店街があるんだよ。そこがホテル開発のため潰されようとしてる。こういうのは仕方がない事でもあるんだけど、雪月はあそこで好きでね」
恋愛系だと思ってたのに、重い話になってきてるんだけど。いや、この問題を店長が解決出来るもんでもないだろ。
「商店街もそれを認めなくて、決着の方法をヒーロー作戦にする事にしたんだ。リアルでの会社同士の争いが、ヒーロー作戦で決着する事もあるからね」
所属が潰れる事がある事は知ってたけど、こういう事なのかも。リアルで会社が吸収された時、ヒーロー作戦でも所属が大きくなった事もあった。
「最後に土地の権利書を持ってた方が勝ち。会社の方は店全てのだけど、商店街側は一つでも残ってたら良いという条件。商店街側が有利に思えるけど、次々とね」
なんとなく、話が分かってきた。店長は『ゲス大佐』とヒーロー作戦で有名人だから、その力を借りようとしてるんだ。
「雪月はヒーロー作戦をやってないから、僕に頼んできたんだよ。僕が熱く語った事もあったから」
店長は会長がヒーロー作戦をやってる事を知らない。というか、会長が教えてないんだ。教えてるのなら、フレンドにゲス大佐がいるわけだし。
「助けてあげないんですか? こういう展開は好きそうなのに」
「商店街とは同じ共同区なんだけどね。あそこはヒーロー側。ヒーローを助けるために、悪と悪同士の戦闘もありだと思う。けど、商店街の人達が止めるんだ。巻き込みたくないって」
会長が商店街が好きというなら、昔馴染みの店長もお世話になってたのかもしれない。この件に関わった結果、店に何らかの影響を与えると商店街の人達なら思うかも。
「……ちなみに相手側の会社、企業は何処か聞いてたりは」
嫌な予感しかない。俺が考えるに一つの所属名が浮かんでくる。
「ランキングに入ってきた東雲。あまり良い噂はいかない。始めたばかりの咲哉君はどうしようもない相手だよ」
俺が所属名を聞いてきた事で何かすると思い、釘を刺してきた。それも今となっては遅いんだけど。
「それに期限は一週間を切ったから。丁度今回のイベント終わりと一緒だよ」




