レムリアを探せ! って無駄なんですけど ー17ー
『おっ? 事務室から外に出るみたいね。もしかしたら、カジノ側のプレイヤーと勝負が出来る賭け事なのかも』
レムリアが勝手に2Dに切り換えると、二人が事務室を出たのが分かった。しかも、静かだったカジノ内から曲が流れ始めた。こういうのはヒーローが登場する時にしか使えないはずなんだけど?
「いきなり曲が流れてくるなんて……私達の作戦がバレてしまったの?」
会長はヒーローが登場するのと勘違いしたようだけど、逃げようとはせず怪人に変身した。
「違う違う。二人が部屋から出たんだよ。2Dで確認出来るから」
「違う形になったけど、作戦は継続出来るかもしれないのね」
「まぁ……」
ここに座ったのは俺だし、カジノ側は変更してくれるんだろうか? それが無理なら会長が忍び込まなければならないわけで。
「何これ? ……って、タイツじゃない。私も着る事が……無理無理! これは一番駄目なやつでしょ」
何となく会長も戦闘員になれる気がしたんだよね。だって、変身とは違って本当に着替えるだけだし。
『面白いから、今回は許してあげるわ。女の戦闘員も作られるかも』
レムリアから許可が降りた。まぁ、冗談半分で言ったつもりだったけど、会長の姿を想像すると痛々しいかも。
「お客様、お待たせしました。今宵の相手を務めるフローラでございます」
部下の全裸戦闘員達が先に入り、扉を開けた状態で片側には用心棒の怪人の筋肉モリモリの岩男風を連れて登場。
フローラはマントを羽織ってるけど、待ちに待ったバニーガールの姿。ちゃんと頭にうさ耳を付ける。名前からして女なんだけど、オネエ系のオッサン顔。怪人なのか、本人の姿なのか検討がつかない。
「綺麗な人ね」
と会長がポツリと言ったから、これは本人の姿なわけだ。偽レムリアだけでなく、ここにもカオスがいるなんて。
「この場で賭けるのはコインではありませんわ。武器や道具、アバター。他社の情報は質によりけりですが高額な物を支払いさせてもらいます」
他社の情報って、自分が所属してる情報だろ? 悪の組織が経営してるカジノっぽいぞ。
「それで貴方様が賭けて頂くのは何?」
「俺達は無所属だから情報というのはなくて」
レムリアの情報は高額な気もするんだけど、無言の圧力というのか、殺気が頭に流れてくるんだよね。
「プロフィールや道具を確認しても宜しいかしら?」
プロフィールとかはプレイヤーの許可があれば確認出来る。全てが見れるわけじゃなく、能力値や名前、所属、開始日数等。変身前、後の姿は分からない。
『戦闘員だとバレないようにはしてあげてるから問題ないわよ』
フローラに俺のプロフィールと道具を提示。
「開始間もないわけね。賭けれる道具は見当たりませんが」
戦闘員のタイツは道具扱いにはならないらしい。俺が持ってるのはメモ帳だけで、ガチャ券もない。
「面白い能力値ですわね。特別な何かがあるのかしら? もし貴方が負ければ、東雲に所属するのはどうでしょう?」
これはスカウトというやつじゃないか? 極端な能力値に興味を示したみたいだけど。
「こっちが勝ったら何が貰えるんですか?」
「お金、景品何でもどうぞ。彼が着ていたレムリアの服であれば、十万円程支払いますわ。貴方にどれ程の価値があるかは、勝負次第ですわ」
レムリアの服にそんな価値があるなら、所持者である会長が勝負すれば。
「これは私と貴方の勝負。彼が所持する服を賭けるのは認めていいけど……タイプじゃないのよ」
タイプじゃないって、俺はそれに入るわけだ。負ければ身の危険を感じるぞ。
「勝負内容は阿弥陀ゲームよ」




