レムリアを探せ! って無駄なんですけど ー16ー
「まずは着替えるためにお花を摘みにいかないと駄目よね」
トイレに行くという隠語だな。監視カメラが設置されてるから、その場で着替えるのとレムリアじゃないとバレてしまう。俺もトイレで着替えないと。
「……いいのか? もしかして俺も」
『別に私は止めないけど?』
扉を開けると、男子トイレと女子トイレに分かれてる。俺は勿論男子トイレなんだけど、会長は女子トイレ。普通なら問題ないんだけど、他人から見たらオッサンの姿なはず。俺が入っても……会長に冷たい目で見られるだけか。
「それにしても……本当に嫌だな。タイツには慣れてきたけど、全裸に似たタイツは……」
今回は顔を隠す部分がないから、どんな表情をすればいいのか。何もないかのように歩けるほど、俺のハートは硬くない。
「着替え終わったわ。田中君は事務室の二人がこちらに来たタイミングを狙って、忍び込むのよ」
会長から携帯で連絡が来て、俺は2Dマップに切り換える。オッサンの姿をした会長がトイレから出て行く。そこからカジノ内をウロウロして……コインを全部使うべきじゃなかったのでは?
『動かないのは私に興味がないって事なの!』
事務室の二人はまるで動こうとしない。監視カメラでレムリアの姿をした会長は見えてるはずなんだけど。
「あっ! 変装自体がバレてるんだな」
監視カメラがあるんだから、会長がトイレで変装したのはバレバレだ。
『初日から降臨するのは嫌だからね。ライブで疲れてるのは知ってるでしょ』
レムリアは俺が頭で思うよりも先に断りを入れてきた。突然レムリアが入口を通らず、カジノ内に登場したら本物だと思うはずなのに。
「今回は失敗だな。監視カメラの存在が分かっただけでも良しするか。キャンペーンは一週間あるわけだし」
俺はタイツに着替えず、会長に話し掛けた。監視カメラの存在に気付いてなかったようで、かなり落ち込んでる。
「キャンペーンはまだ続くから」
俺は会長を励ますために、コインに代わったお金を取り戻そうと、ディーラーのいない謎の机の椅子に座った。すると、NPC達がざわめき始めた。というか、ざわざわと周囲に文字が浮かび、視認出来るんだけど。




