黒髪の彼女 ー9ー
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金曜日。会長や才波は学校を休んだ。ヒーロー作戦の中にまた閉じ込められたのかと思いきや、普通に体調不良。昨日の酒酒区の酔いが現実でも影響を与えたらしい。
「昨日はごめんね。知り合いに色々あってさ……ハーゲンダックのアイスを昨日のお詫びだから」
今は学校も終わり、『メタモルフォーゼ』の店内にいる。金曜日は定休日なんだけど、発注や軽く掃除をするために店長は出勤している。それに今日は波新さんも来ていた。
波新さんが休んだのはヒーロー作戦関連ではなく、知り合いに何かあったらしい。そこを根掘り葉掘り聞く程、俺も嫌な奴じゃない。
「咲哉は……あれからどうなの? 捜し人は見つかった? また手伝ってあげる事は出来なさそうなんだけど」
「似た奴はいたけど、別人でした。リアっていうNPCなんですけど、何か普通じゃないというか……まぁ、会長や才波も協力してくれるので何とか……」
「リア……その子が姿を消した子に似てるんだ……普通じゃないって、どんな感じなの?」
「もしかして、リアの事知ってるんですか? ヒーロー作戦の事を知らないというか……ヒーローや悪の組織の存在を知らなくて、本当にヒーロー作戦で生活しているというか……酒酒区からも出れないらしくて」
「そうなんだ……その子はプレイヤーじゃないんだ。そう認識もしてないわけね。少し興味があるかも……私も調べてみようかな」
という事は波新さんも知らないのか? リアって名前だけで分かるわけないか。レムリア似とも言ってないし、ヒーローや悪の組織でもないわけだし。
「おいおい……僕を仲間外れにしてないでくれよ。今日も酒酒区に行くんだろ? 波新は……」
「無理です。前も言いましたよね? 普通に飲みに誘ってくださいって。ヒーロー作戦は無理でも、今日は少しなら付き合いますよ」
「くっ……親睦を深めるためには……どっちを選べば……酒酒区のイベントは今週限り……リアという謎の人物を咲哉から紹介して欲しいし」
店長は俺と波新さんの話を盗み聞きしてたみたいで、リアの事は知らないみたいだ。
「リアを紹介って……無理ですよ。無理矢理逃げた感じで、会いたくないというか……それに酒酒区に行けるようになったんで、店長の手を貸して貰う程でもないかな?」
店長、ゲス大佐の力、フレンドの多さは強力だけど、レムリアを探す場合は色んな人達に知られてしまう事になる。リアに店長を会わせた時、ゲス大佐を手下にした日にはどういう展開になるか分からない。




