黒髪の彼女 ー7ー
こういう時にレムリアがいたら、魔法で何とかしてくれるんだけど、今回は探すのが目的だから……本当に迷惑な奴だな。
「何を今更騒ぐのよ? 早速だけど、アイツの姿もないし、何か料理作ってよ。冷蔵庫の中の具材は何を使ってもいいから」
赤の戦闘員は俺を身代わりにしたのか? 別の誰かを連れて来る事で……アイツは首輪も手錠もされてなかったけど。
「あの……開発局とか、市販のご飯で簡単に。それとこんな姿でするのはちょっと」
「開発局って何? どうせお金が掛かるんでしょ。それに市販のは高いし、ここに売ってるのは酒とつまみばかりなの。料理しにくいなら仕方ないわね」
リアは手錠の鎖を少し伸びるようにしてくれた。これでリアを締め殺せ……ません! そこまで悪役じゃないから。手が動かしずらいのもあるけど
「それもあるけど! タイツを脱いで、パンツ一枚だろ。火を扱うのは怖すぎだろ」
冷蔵庫にあるのは卵、ウインナー、玉ねぎ。冷凍庫に冷凍庫ご飯、外に調味料多数。日常感半端ないな。一人用鍋とフライパンもあるし、簡単に作れるのは炒飯ぐらいか。それをパン一でするのは油との戦いになる。せめて、エプロンを……男の裸エプロンは想像するだけで嫌だ。しかも、俺自身が着るわけだし。
「タイツを脱いだのはお前だろ……そういえば、お前に名前はあるの? 下僕で良いなら、そう呼ぶけど」
「……咲哉だ」
ここで名前を教えるのもどうかと思ったけど、姿を知られたわけだし、リアといる間、戦闘員の姿になる事もないだろう。
「咲哉ね。う〜ん……何度か口にした言葉な気がするんだけど……服を用意すればいいんでしょ。はい」
リアも少しは優しさがあるみたいだ。けど、首輪と手錠があるから簡単に服を着る事は出来ないので、解いてくれると助かるんだけど。
「はい……って、何も用意されて……もう着てる! しかも、俺が脱いだタイツじゃないかよ!」
汗をかいたタイツをもう一度着るはめになるとは……戦闘員のままなら名前を教えず、下僕で良かったのかも。
「嫌そうね……男物の服なんて用意してないんだから。私の服をさなら何枚かあるけど、咲哉に着せると私が着れなくなるというか……」
「遠慮します。これで結構です」
戦闘員として行動するか、女装して行動するかを選ぶなら、戦闘員を俺は選ぶ。




