黒髪の彼女 ー5ー
「お前……レムリアじゃないのか? って、ヤバっ!」
戦闘員の姿をしてるのに、思わず話してしまった。レムリアなら、様々な戦闘員タイツ着た俺を見てるわけで、すぐに俺の事が分かるはずだ。レムリアよりも、偽レムリアと考えた方が良かったんだ。
「へぇ〜……レムリアが誰なのか分からないけど、普通に話せる戦闘員って珍しいかも。戦闘員って消耗品だし、私の物にしても良いよね。アンタは一度倒れたって事で」
確かに戦闘員は一撃で倒されるだけの消耗品ですけど、俺をプレイヤーだとは思わないのかな?
俺を捕らえた網を外そうと、黒髪の彼女は近付いてきた。少し距離があって分からなかったけど、レムリア似なのは確かなんだけど、若干若いような……レムリアに妹がいたらこんな感じなのかと思うけど……レムリアに変身出来るイベントは終了してるし、アバターをレムリアに出来るはずもない。
「ちょっと待て……レムリアの事を知らないの? 戦闘員を雇えるって事は、酒酒区にある悪の組織側なんですよね」
ヒーロー作戦をやってて、レムリアを知らないとか。『作戦本部』にも載ったし、イベントやライブ等とかやってるのに……本人が聞いたら泣くと思う。いや、この子を消滅させそうだ。
「悪の組織? ああ……あの迷惑な奴等って、そんな風に呼ばれてるんだ。戦闘員はそいつらしか雇えないの? 一緒にいてくれる奴がいるんだけどなぁ……」
黒髪の彼女は俺を無事に網から下ろしてくれた。何だか悩んだ素振りを見せている。
悪の組織って言葉を初めて聞いた……戦闘員やタイツの事を知ってるのに? 一緒にいる戦闘員は赤のタイツを着た奴だろうけど、今は何処にもいないよな。
「もしかして……正義のヒーローも知らないとか? というか、そもそもプレイヤーなのか」
プレイヤーだったらヒーローや悪の組織を知らないとおかしい。だとすればNPC? 二代目カナリアも独自の意識を持ったNPCだった。運営は新しく作ったのか? レムリアが行方不明になって、二代目レムリアにでもするつもりとか……
「プレイヤー……私は遊んでるわけじゃないんだけど……ヒーローとかも、分からない事ばかり言ってくるよね。アンタって、一体何者なわけ?」
NPCだとしても情報を持ち合わせてないよな。プレイヤーを説明したら、別の世界から来た人間とか思われるとか? いや、戦闘員の存在を知ってるなら、すんなり理解もするかな?
「それは俺が聞きたいところなんだけど。悪の組織でもないのに、悪どい事してる君は一体何者なのか?」




