黒髪の彼女 ー4ー
これがトラップだとすれば、俺は部屋に戻ってるところなんだろうけど、移動手段のようでダメージには換算されなかった。それでも濡れ方が漏らしてるようで、黄ばんでいたり、割れ目われんに茶色のがついてたら……
「って! 何処まで飛ばされるんだよ」
天井が開いた事で二階に移動するだけかと思いきや、居酒屋の外まで飛んでいる。真上に飛ばされても、そのままに下に着地するだけ。紐なしバンジーで、単なる事故死で終わってしまう流れ。赤の戦闘員に騙されたのか!
頂点まで達して、後は落ちていくだけのはずが途中で止まり、それ以上に高く上がろうとしている。
「一体何が……何? 俺って釣られてるわけなの?」
何かに引っ張られるのを感じて、その方向に顔を向けると商売の神様である恵比寿様が自慢の釣竿で俺を釣り上げていた。といっても、本物の恵比寿様じゃなくて、巨大マスコット。
その恵比寿様の手元に行くんじゃなくて、針が外れて、恵比寿様の後方に。こういう絶叫アトラクションに乗った感覚なのが多いし、意識を失ってもおかしくないレベルだから。
「やっと目的地の場所に……って、着地のクッションとかあるのか!」
鳥の魔獣に運ばれたり、ヒーローに蹴られたりする事なく、そんな事された時点で終了なんだけど、穴が空いた屋根が見えてきて、そこで着地、ゴール地点なんだろう。ゴルフボールにでもなった気持ちだな。
「いらっしゃい。ここから出たければ、お金を払いなさい」
俺の足は地面に着く事なく、空中で止まっている。穴が空いた場所には網が掛かっていて、獲物を捕らえる仕掛けになっていた。
(赤の戦闘員も飛ばされたよね? コイツの……)
「ちょっと! 捕まえたのは戦闘員なわけ? レアタイツなんていらないんだけど」
俺が捕まった場所は月明かりで見えていたけど、奥は暗闇で見えない。そんな場所から姿を現したのは黒髪の女性……じゃなくて、髪の色と服装が違うだけで、レムリアに瓜二つ。声もそうだし、この感じだと性格も似てそうだ。




