レムリアを探せ! って無駄なんですけど ー1ー
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俺は映画館の中にいる。ヒーロー作戦の世界ではなく、現実の映画館だ。一緒にいるのは阿久真。
「そろそろ始まるぞ。どんな名前なんだろうな。声を聞くのも楽しみなんだ。公式サイトやファンサイトでも謎のままなんだし」
阿久真は興奮してる。親に黙って塾をズル休みしてまで来たイベントだもんな。
映画館に来たのはヒーロー作戦のイベント。ファンサイトの会員番号からランダムで二百人まで選ばれ、ペアで来れる。俺も一応会員なんだけど、今回は阿久真が当たった。
それを参加する事で二百人の中から一人、ヒーロー作戦が当たるらしい。所持者は外れるから可能性はある。まぁ、今の状態だと頭の中から何処かへ行ってるだろうけど。
「……楽しみだな」
俺としては家に帰ってヒーロー作戦をしたい。借金も五万にまで膨れ上がったわけだし。レムリアが五月蝿いからじゃないぞ。この時間にレムリアがヒーロー作戦にいないからだ。
「始まったぞ!」
スクリーンに映し出されたのはレムリア。特殊なゴーグルを付ける事で、スクリーン前にある舞台にレムリアがスクリーンから飛び出したみたいにその場に存在してる。今回のイベントはヒーロー作戦のオープニングが作られ、それをレムリアが歌う。他にもアニソンを何曲か歌う一時間のライブ。
『はじめまして! 私の名前はレムリア。ヒーロー作戦の世界を守る女神だよ。これから宜しくね」
レムリアはいつもの姿に加えて、星の杖とドクロの杖を持ってる。正義と悪の中立だと意識してもらうため? 魔法少女の服装から可愛い方面で攻めるつもりだろうけど、俺としてはおっさんがぶりっ子してるみたいで気持ち悪い。それも普段のアイツを見てしまってるから。
「レムリアって名前が似合ってるな。声もいいよ。聞いた事がないから新人なのか?」
俺もヒーロー作戦を始める前なら阿久真みたいに楽しめたんだろうな。
「ライブを始める前に、ヒーロー作戦をやってる人達に朗報だよ。これも百万人達成のイベントなんだけど、あの世界で私を見つけて、話し掛けるとガチャ券が貰えるの。その期間は一週間で、一日一回貰えるから、私を探してね」
レムリアはウィンクすると観客達は「おおっ!」と盛り上がる。俺としては美味しい話だぞ。他のプレイヤーと違って、毎日会うわけなんだから。
「一曲目を始めるけど、準備はいい? OKって声が欲しいな。準備はOK?」
「OK〜!」
阿久真を含めた観客達は叫ぶけど、俺はそんな事しない。
「あれ? 聞こえないな」
この流れはあるよな。二回言わせるやつ。これは映像に過ぎないわけだし、本当に聴こえてるわけじゃないだろ。
「そこの……Cー8とJー19に座ってる人! アーク君とデモン君の横の子達。一人ずつ声を出してみようか」
レムリアは指差す方向にいるのは俺。デモンは阿久真のファンサイトで使ってる名前だ。阿久真は名前を呼ばれた事に喜んでるけど、俺としては最悪だ。
「時間が勿体ないぞ。Jの子から言ってもらおうかな。言わないとお仕置きだからね」
絶対俺に気付いてる。スマホから盗み聞きしてたからだな。一人で『OK』と叫ぶ時点で罰ゲームみたいなのに、お仕置きとかもろくなことじゃないはず。




