行方不明 ー6ー
「仕方ないわね。今日は二十時までだし、私が一緒に行ってあげるわ」
「『えっ!』」
俺だけじゃなく、店長も驚いた。九庭さんからヒーロー作戦を一緒にしてくれると言ってくるなんて。
「僕とも一緒にやってくれないのに。一体どういった心境の変化だい?」
「後輩のために一肌脱ぐだけですよ。咲哉はテストだったんだから、ログイン出来なかったわけだし。イベントと教えてもらったのに、少し焦ってるようにも感じたから」
まるで俺の心を読んだかのように、声を掛けてくれるなんて。レムリアの事はなしにして、九庭さんと一緒に出来るのは嬉しいんだけど、心境の変化は俺も知りたい。限定鬼ごっこやサイアーク戦でと結構な状況だったのに、このタイミングなのが少し気になる。
「本当に良いんですか? 」
「ええ……でも、フレンド申請はなしよ。一緒に行くのは咲哉だけ。雪月ちゃん達を誘うのも駄目だから」
前は一緒にご飯を食べに行ったけど、今回はヒーロー作戦で、デートみたいな形になるのか? 九庭さんが男アバでも、俺には現実の姿で見えるわけだし。
「そんな条件でいいなら。どこで待ち合わせをしたらいいですか? 」
フレンド申請も出来ないから、俺が九庭さんの部屋に行くのは無理だし、俺の部屋に誘っても来ない気がする。
「真映区でいいわ。そこまで色んな区に行ったわけじゃないでしょ? 咲哉達の店前だと、雪月ちゃんがいるかもしれないし」
真映区となると、サイアーク前か。サイアークは映画館となり、一番目立つので待ち合わせには丁度良い。
「分かりました。それなら、サイアーク前で待ってます。俺の姿は、このままだと思ってくれていいので」
九庭さんが俺を見つけるよりも、逆の方が早いかもしれない。けど、それをすると何故知ってるか疑問に思うだろうから、止めておこう。
「咲哉君が良いなら……僕も……明後日でも一緒に酒酒区に行くのは」
店長は九庭さんを誘った。九庭さんのアバとか気になるのかも。俺も変身前の九庭さんの姿が見えないのは残念だし、変身後の姿が見れたらとも思ってるんだけど。
「飲みに行くなら、ヒーロー作戦じゃなくて、普通に誘ってください」
九庭さんは店長と一緒にヒーロー作戦をやるのを、やんわり断っていた。




