兵器を作成しよう ー9ー
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『ん! レムリアが用意したにしては普通だな?』
『何言ってるのよ? 咲哉が行きたそうな目をしてたからでしょ』
前と同様に俺を含めた戦闘員五人が開発局に運ぶ。違いがあるとすれば荷物の形が箱だったのが棺桶みたいな形だった事。
開発局内部も値段に応じたフロア。今回は病院にある手術室のような場所で、白衣を纏った戦闘員が待っていた。
「ゼッ〜ト!」(ようこそ、改造室へ)
いつもの「キー!」と声じゃなくて、今回は「ゼット」。「ゼッ〜ト!」と伸ばす奴もいれば、「ゼッ」とトを省略する戦闘員もいる。黒のタイツと変わらないように見えるけど、胸部分が赤色になってたりする。
『今回は二千も貰えるから……って、半分しかないんだけど』
これは言葉にせず、俺が心の中で思ってる事。戦闘員しかいない場所だけど、普通に話しては駄目な気がする。
「ゼッ」(アイツのポケットが膨らんでるっすわ)
「ゼッ」(博士役だからって、多く貰うとか卑怯ですわ)
博士役の戦闘員は普通に話すけど、他の戦闘員は「ゼッ」でも語尾に『すわ』が付いてる。
その戦闘員達が言うように、博士の白衣が膨らみ、動く度にジャラジャラと音が鳴ってる。博士役で六等分は仕方ないけど、多目に手にするのはちょっと。
『博士が戦闘員だなんて今回は外れね。博士役も色々といるのよ。大金払って失敗とかウケる』
大金払って失敗する時もあるんだけど、その理由が博士役が誰かによってみたいだ。そんなのプレイヤーが分かるわけないし。
『それなら、一番良いのは誰なんだ? 眼鏡とか鼻が大きかったり、白髪のおっさんとかか?』
『そんなの私に決まってるじゃない。気紛れに行くのもありだと思ってるから。ちなみに結果は混沌一択よ』
混沌が一番良いと思ってる時点で、レムリアは外れだろ。もしかしたら、俺がここに来た時、レムリアがいる可能性もあるわけだ。
「ゼッ〜ト!」(さぁ、始めよう。お前達、棺桶を開けるのだ)
博士役でも同じ戦闘員から命令されると嫌な感じなのか、他の戦闘員達は命令を無視して動かないので、俺が渋々一人で棺桶を開けた。
『うおっ!』
改造室とか言ってたから、棺桶の中にいるのは戦闘員かもと思ってた。何かと合成して改造人間、魔獣なんかを作るのかもって。
けど、そこにあったのはゲス大佐。本人ではなく、その人形。新しいアバターを選択するのに開発局は使わなかったはずなんだけど。




