兵器を作成しよう ー6ー
†
俺は廃墟の中、一人で佇んでいた。他に戦闘員の姿はない。廃墟と言っても、ここは開発局の一フロア。道具も残されてる。
何でこんな状況になったのか回想しよう。
俺が雇い主を選んだ後、戦闘員タイツに着替えたら、移動短縮と同じみたいに飛ばされた。
戦闘員は俺を含めて五人。巨大な箱を神輿を担ぐように『キー』と元気良く開発局に運ぶ。
普通なら扉が開くと、洗濯機のような物に入れられる映像が流れるだけ。俺も一度経験してる。
今回は開発局の扉を開くため、自動販売機みたいにお金を挿入。Pと一緒で最低額の百円。扉が開くと、中はエレベーター。値段に応じた部屋に案内するみたいだ。
百円で案内されたのは廃墟だった。開発に必要そうな道具もなく、真ん中にボロい手術台があるだけ。
その手術台に運んできた箱を置き、中を開ける。そうする事で雇い主が払ったPが換金された状態で手に渡った。戦闘員五人だから五等分。たったの二十円だ。
値段もそうだけど、色々とやる気がなくなってくる。それは俺だけじゃなく、他の戦闘員もそうだった。レムリアもやる気が関係すると言ってた。
「キ〜」(二十円とかやる気出ないすわ〜)
「キ〜」(おっさんからの依頼やる気出ないすわ〜)
「キ〜」(リンゴ、パイナップル、ペンとか、ジョーク嫌いっすわ)
戦闘員は「キー!」と元気に言わず、やる気が無さそうに「キ〜」になってるだけじゃなく、漫画の吹き出しみたいに何を言ったのか分かる。
『っすわ』って、毎回語尾についてるけど、そんな話し方なんだろうか。試しに何も考えずに「キ〜」と言ってみると(そうっすわ〜)と同意する言葉になった。
こんなやる気のない戦闘員達でどうやって始めるのか? ボタンを連打とかゲージのタイミングを合わせるとかミニゲームが用意されてるんじゃないかと思ったんだけど。
「キ〜」(ペン、パイナップルに刺さらなかったすわ)
一人の戦闘員がさりげなくペンを持ち、パイナップルに突き刺そうとしたけど無理だった。それどころかペンが壊れてしまった。
「キ〜」(失敗っすわ)
「キ〜」(解散っすわ)
そう言って、俺以外の戦闘員は開発局から外に出ていってしまった。




