兵器を作成しよう ー1ー
†
ヒーロー作戦を切り上げてから一時間後、盗んだ本が家に届けられた。次の日、それを早い時間に学校に行って、会長の下駄箱に入れといた。
レムリアは『咲哉って……』とスマホから声が聞こえてきたのを無視して、会長は嬉しかったのか、教室や廊下でキョロキョロと見回してた。きっと、ヒーロー作戦をする時は俺に感謝してるかもしれない。
そして、今日はバイトの日。レムリアなら『金を稼ぐならこっちでしなさいよ』と言ってくると思ったんだけど、文句を言わず許してくれた。リアルマネーがないと生活出来ないし、ヒーロー作戦では借金してる状態。その金を返済しないと何も買えない。
「なんだ? 咲哉君も教えてくれないのか」
ここはバイト先のコスプレ喫茶『メタモルフォーゼ』。警察官や看護師、学生服のコスプレではなく、アニメや漫画の方がメイン。ホールはコスプレしており、客もお金を支払えば好きな衣装に着替えさせてもらえる。
バイトで嫌々お金を稼いでるわけじゃなく、俺としては心のオアシス。第二の家だと思ってる。厨房だから着替え事はないけど、似た趣味の仲間や客達ばかりだから雑談が聴こえてくるだけで楽しい。
「……一緒に出来たから良かったんですけど、色々と条件がありまして」
俺と話してるのは『メタモルフォーゼ』の店長、青柳さん三十歳。店長は黒雪の姿に似てる。個人経営で、男は俺と店長だけで、夜は二人で回している。
「そうなのか? まぁ、波新さんもそうだし、百万人目の記念というのもあるのか」
九庭波新さんはホールリーダーの二十五歳の女性。ベリーショートの髪に眼鏡、執事服のキャラのコスプレを着るクール系。
この二人はヒーロー作戦のプレイヤーだったりする。店長は悪の組織側で、自分の店を所属してる。名前はゲス大佐。所属ランキングやランキングは圏外だけど、それとは別の人気ランキングにはトップ10には入ってる。
それは名言を残す事で有名だから。
『若いな。課金が故の過ちだな』
これは初めてばかりのプレイヤーが重課金をして、店長に挑んだ時。
『負けか……倒したお前だけが、この姿を忘れないでくれ』
負けた場合、初期アバターでなければ破壊されるから出た言葉だ。他にも『絶好調である』と調子を言っただけでも反応が起きるほどだ。
波新さんはやってる事は確かなんだけど、正義や悪のどちらかだけでなく、名前も教えてくれない。所属も店長と一緒じゃないから。それでも、俺と店長の会話によく入ってくる。
俺がヒーロー作戦を手に入れる事が出来たのも、店長が応募ハガキを俺にくれたからだったりする。ヒーロー作戦に所属を持ってたから、手に入れる事が出来た物。誰が当たったのかが店長にも情報が入ってたみたいだ。




