最初のミッションは一万円稼ぎます ー15ー
「何してるんですか! 助けてくれたのには礼を言いますけど、安い挑発に乗ってミッションを失敗するなんて」
俺は会長に聞こえるぐらいの声で言った。悪だったら無視して帰るけど、あの行動は正義の味方だ。
「五月蝿いわね。外野が鬱陶しかったのよ。部下を見捨てるのも感じ悪いし、それにまだ失敗したわけじゃないわ」
うん。会長は悪じゃなく、正義の味方に向いてる。会長の手には盗んだ本がない。買ってないんだから、店を出るまで道具欄に入れられるはずがない。その時点で失敗してると思うんだけど。
「戦闘員を助けた……怪人が登場だ! 老人の姿の怪人だぞ」
「爺さんVS婆さん。ある意味凄い展開だな」
「検索検索……無所属の黒雪、レベル低いなぁ。シャイ婆の勝ちだろ」
「その前にあの戦闘員を何とかしろよ」
野次馬達はチュートリアルの時のように色々言ってくる。
「さっさと逃げなさい。貴方の退場を皆が願ってるみたいだから」
さっきから格好良い事を言ってくれる。こういう態度が人気で生徒会長をやってるんだよな。
『お言葉に甘えて逃げるわよ。店内に被害が出て、正義と悪の戦闘になった場合、負けた方にある程度の被害額を支払わせる時があるのよ』
万引きだけなら被害額を払わなくても良かったけど、本棚を倒すなどの暴れた場合、修理費を払う事があるみたいだ。
「私がこの場に来たんだ。正義であれば、逃げる相手を狙う事はしないだろうな」
会長は言葉で俺が撃たれないよう援護してくれる。隠れて攻撃してくるような相手に意味があるかは分からないけど。
そんな態度をしてくれた会長に俺がしなければならないのは。
「命令通り、逃げさせてもらいますね」
選んだのは退却。シャイ婆の攻撃が止まったのも都合が良い。
「戦闘員のくせに逃げるぞ」
「良いんじゃない。邪魔なんだし」
「店員にも負けてたもんな」
好き勝手な事を言ってくれる。俺は決して被害額を払いたくなくて逃げるんじゃないぞ。
「始まったぞ。低レベルの怪人なら、シャイ婆の攻撃一発で終わりだろ」
後ろを振り向くと、会長はまだ倒れてない。俺を狙ったようでもない。
「……何これ?」
会長はシャイ婆の攻撃を受けたというか、何かを貰ったみたいだ。
「シャイ婆からのラブレターだ! 怪人の爺さんに一目惚れしたんじゃないか」




